表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SEVENS OCEAN  作者: おきゆむ
5.ブルー
PR
37/87

なないろのブルー④

カウンター越しに店主にお礼を言ってさっきまで座っていた席に戻って待つ。


すると、あんなに食べてしまったせいなのか、急にトイレに行きたくなってしまった。


…しかも今度は大きい方だ。


言い出せずに我慢して座っていると、女の店員さんにもしかしてトイレに行きたいのと悟られてしまう。


図星だと顔に出してしまった私は店員さんに店のトイレへと案内された。


「遠慮しないで言ってくれたらいいのに。我慢は体に良くないわよ」


という笑顔に私も何で我慢していたのだろうと反省した。


トイレの扉を開けると私の世界で言えば和式のような便座があった。


しかし、見渡しても紙や洗面所のような物はない。


代わりにもやっとした透明の物体のようなものがあちこちにあった。


そして、トイレの壁の貼り紙に目がつく。


一瞬、読めなかったが、六倉さんがかけてくれた「ルウ」の力おかけで書いてある字がスラスラ読める。




「ルウの使いすぎに注意」




その書き込みにこの透明は「ルウ」なんだと理解する。


半信半疑でトイレを済ませた。


すると全てのことを「ルウ」がやってくれたのだ。


紙は不用で流す水もいらなかった。


手はどこで洗うの?と思ってトイレの中の端に目をやると、丁度手の高さのところに「ルウ」の塊が浮いていた。


その中に恐る恐る手を入れる。


すると、塊は青く光り出し、中は水になっていて自動で水がぐるぐると回り始めたのだ。


なるほど、たしかに「ルウ」は生活においても必要不可欠だと思った。


トイレから戻ってくると店主が私を手招いたので、小走りでカウンターへと向かう。


「いくつか作っておいたから、お腹が空いた時にでも食べておくれ。あと、水も入っているから」


と少し小さめのボンサックを開き、中を私に見せてくれた。


いくつかの包み紙と水筒が入っている。


「何から何まで本当にありがとうございました」


思わず目頭が熱くなった。


さっきの騒動のあとだから余計に優しさが心に染みる。


「困った時は助け合うものだというファーシルの教えは嘘じゃないさ…たまにああいうのもいるが、この国の民は基本優しい人が多い。このメキラの町も私が知る限り良いところだよ。だから、あんなことがあっても、この町を嬢ちゃんには嫌いにならんで欲しいんだ」


店主がどこか遠くを見るような目で語る。


「…はい。私はこの町もこの店も好きです。嫌いになんかなりません」


「ありがとう。私はコナンだ。またこのメキラの町を訪れた際には是非立ち寄っておくれ」


とコナンさんが笑顔で言った。


「私は七海です。はい、是非立ち寄ります。その時はちゃんと自分で代金を払えるようになっておきますね」


私の言葉にコナンさんや他の店員さんたち、周囲にいたお客さんが笑う。


「気をつけてな。ナナミの旅に幸あることを祈っているよ」


そう言ってコナンさんをはじめ、店の中にいた人たちが私を優しく送り出してくれた。


再度、頭をぺこりと下げて店をあとにした。


アクエリアスを抱えながら、ボンサックの紐を肩に掛ける。


荷物は増えたが私にとっては貴重な食料だ。


しかし、この世界で制服姿はやはり一際目立つ気がした。


おそらく、さっきのあの奴隷商人も私のこの変わった身なりで近づいてきたのかもしれない。


早くこの世界にあった服装が欲しいと、店にいるときに切に思った。


私だけ違う格好をしているような違和感…


でも、そんな怪しい私にもあの人たちは優しかった。


「ファーシルの教えか…」


思わず口に出してしまった。


私にもファーシルの王族の血が本当に流れているなら、私はその教えを大切にしたいと思う。


そう力強く決心したあとで、六倉さんの言っていた人探しを再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ