丘の上の骨董品店③
「エヴァ」には七つの大陸が存在する。
その七つの大陸の周りにはそれぞれ独特な個性を持つ海があり、その七つの海を描いたのがあの七枚の絵である。
絵は一見どれも普通の海を描いた絵に見える。
しかし、何度も見るうちに絵一枚一枚から深みを感じて、それが単なる海の絵という枠を超越するのだ。
あくまで私の贔屓目の感覚がそう思わせるのであって、他人からしたら普通の海の絵に思えるかもしれない。
まあ、そんなことは正直どうでもいい。
私が想像出来ればそれでいいのだから…
更に六倉さんから「エヴァ」の様々な話を聞かせて頂いた。
「エヴァ」には「ルウ」と呼ばれる不思議な力が存在するらしい。
それは物を動かしたり、火や水をつくりだしたり、人の精神すらコントロール出来るなど様々だ。
私たちの世界の感性で例えるならファンタジー小説やロールプレイングゲームによく出てくる魔法といったところだろうか?
「エヴァ」の世界において「ルウ」は必要不可欠であり、普段の生活においてもその「ルウ」を使うらしい。
料理に使う火も洗濯物を洗う水も「ルウ」の力を使い、更に船を動かすのも「ルウ」の力なのである。
そんな心踊る話を聞かされてしまってから、私の妄想は益々止まらなくなった。
その影響で、ここに絵を見にくる時以外でも妄想に浸ってしてしまうことが度々ある。
例えば授業中に気がつくと妄想の世界に入ってしまっていたり、道を歩いている時もまるで妄想の世界を歩いているような感覚になってしまっているのだ。
おそらく、その時の私の表情はとても気持ち悪いものになっていただろう。
今、思い出しただけで恥ずかしさで消えてしまいたくなった。
勿論、自分でも自分はどうかしているという自覚はある。
だけど、それでも六倉さんからもっと「エヴァ」の話を聞きたいのだ。
だって、それだけが今の私の生き甲斐なのだから…
今日は一体どんな話を聞かせてくれるのだろう。
そんなワクワクを胸にもう一度コーヒーを口に運ぶ。
「七海さんお待たせしました」
六倉さんがそう言って、奥の部屋から戻ってきた。
右手には何やら古びた紙をラミネート加工した物を持っている。
思わず、視線をそれ一点に向けてしまう。
すると、私の視線に気がついた六倉さんがクスクスと笑い始めた。
「やはり気になりますか?フフフ…早く見せてと言わんばかりの顔ですね」
六倉さんに言われて、ハッとなり思わず顔を俯かせる。
馬鹿っ!私の馬鹿…!
ついつい「エヴァ」のことになると周りが見えなくなってしまう。
「さて、今日はこれを七海さんに見せたくて持って来ました」
六倉さんは私の向かいの席に腰掛けて、右手に持っていたラミネート加工された紙をテーブルの上にそっと置いた。




