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SEVENS OCEAN  作者: おきゆむ
2.エヴァ
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ファーシル王国②

「お待たせしました」


そう言って、奥の部屋から六倉さんが淹れたてのコーヒーをトレイに載せてやってくる。


そして、丁寧にテーブルの上に二つコーヒーカップを置いた。


「ありがとうございます」


六倉さんはトレイを別のテーブルの上に置き、私の向かいの席に腰掛けた。


「さて…今日はさっき言っていた代わりのお話をしましょうか」


その言葉にコーヒーの湯気越しから六倉さんの顔をじっと見つめた。


「昨日、ファーシル王国の話をしたのを覚えていますか?」


六倉さんの質問にこくりと頷く。


「緑も豊で作物も豊富。そして、ルウの発祥の地でもある。だから、ルウの発展が最も優れている王国。でも、国王が亡くなってからは王の跡目争いで王国は混乱しているんですよね?だから各地で反乱が起き、かつての豊かさはもうない」


私がそう語ると向かいの六倉さんが目を丸くする。


「そうです。流石、七海さんです」


六倉さんがクスッと笑った。


その反応に自分のファンタジー症候群が暴れてしまったことを恥じて、自ずと俯いてしまう。


「では、今日はそのファーシルのお話をしたいと思います」


その言葉に下がっていた顔をパッと上げて六倉さんの話に集中する。


「ファーシルの王がまだ生きていた時は非常に国は豊かで、王の優しさが国全体で現しているかのようでした。更に王妃がとても慈悲深い方で国民からとても愛されていて、ファーシル王国は争い事もなく平穏な月日が流れていたのです」


私の興味が一気に六倉さんの話に注がれる。


「しかし、ファーシルの大臣が新しく変わったときから異変が起こるようになりました」


「大臣…?」


「ええ。前大臣はファーシル王の伯父であり、老衰で亡くなったため、後継者にファーシル王の弟君おとうとぎみが選ばれたのです」


そう言ったあとの六倉さんの表情が一気に険しいものに変わった。


「ファーシル王の父親は先代の王で弟君も父親は一緒でした。しかし、母親が違ったのです」


六倉さんの真剣な眼差まなざしをじっと見つめ返した。


「弟君の母親はファーシル王の母親を嫌っていました。おそらく先に子供を授かったからでしょう。嫉妬にまみれた弟君の母親はファーシル王の母親の食事に毒を盛りました。しかし、それは失敗に終わり、そのことを先代の王に知られた彼女は処罰されてしまいます」


「…処罰?」


「はい。ファーシル大陸の南西にある島の塔の中に幽閉されたのです」


実際の歴史の中にもそういったことがいくつかあったなと自分の中の歴史の知識を巡らせた。


「弟君は罰を受けることなく、ファーシル王の母親に兄弟仲良く育てられたといいます。しかし、弟君は自分を産んでくれた母親を追いやった先代の王やファーシル王の母親を許せなかったのでしょう。先代の王が死んでファーシル王が王になると同時期に、ファーシル王の母親が不審な死を遂げます」


「まさか、その弟君が…」


「…証拠や根拠は何もなかったので、誰も弟君を責められませんでした。現にそれからはしばらくの間、何も起きませんでしたから…」


「でも、その弟君が大臣になった途端、異変が次々と起きた…」


六倉さんがこくりと肯定する。


「ファーシル王が信頼していた側近が原因不明な病に侵されて亡くなります。続いて王妃の世話役が何者かに城の中で剣を胸に突き刺されて発見されました」


「…それも大臣の仕業なんですか?」


「分かりません。ただ、大臣の後ろには有能なルーラーがいることは間違いありませんでした」


「ルーラー」とは「ルウ」の使い手の総称である。


以前、六倉さんが教えてくれた。


「そして、遂にその魔の手はファーシル王と王妃の愛娘にまで迫ったのです」


ごくりと固唾を呑んだ。


いつしか六倉さんの話を聞く私の表情もかなり真剣なものになっていた。

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