第8話 女神は裸足
前回のあらすじ
勇者の話を断ったら、女神が家まで来た
「あ~、なんで、僕にそもそも、勇者になってほしいんですか?」
僕は気まずそうにファリスさんに訊いた。
「そ、それは・・・・」
ファリスさんは顔を赤らめた。
「あ、そっか。なんか予言がどうたらって話だったですね」
ファリスさんと初めて会った、勇者の剣がある森の所で髭の長い小さい爺さんが言った事を僕は思い出した。
「そ、そう!!、予言があった!!」
なんか、今、思い出した口ぶりだな・・・。まさか、文句言われた腹いせだけで家まで来たって事はないよな・・・。
僕は少しファリスさんの顔をみた。
それにしても、顔が整っている。女神の様だ。あっ、女神だったか。
「」
あ、目を逸らした。
ファリスさんは、僕から目を逸らし、もじもじしていた。
「で、その予言っていうのは何なんです?」
「え、あぁ、それは」
ファリスさんは、しどろもどろに説明した。「遠い予言があって~~~」とか「はるか昔に~とか」とか「その選ばれた者が~~」とか、とってつけたような在り来り様な典型的なヤツだ。
「なるほど~~」
僕は、前に置かれているマグカップに注いだ熱いココアに口をつけ一飲みした。
なるほど、ファリスさんの話は、
全部ウソだ。
僕は、口と目をニコッとさせた
「あっ、ファリスさんもココア飲みます?」
「飲もうかな・・・(急に笑顔になってる・・・)」
僕は席を立ちあがり、リビングと直で繋がっているキッチンに足を運ばせた。
少し僕の家の構造を説明すると、玄関には靴箱や靴を脱ぐ所はなく、廊下に入った直ぐ横には風呂場がある、そして、その向かいにトイレがある。
僕とファリスさんが居るリビングは周りの家と同じような作りで大きなリビングにキッチンやテーブルや休むソファーや冬に使う暖炉が置かれている様な設計だ。
ソファーの後ろには大きめの窓があり、よく母がそこで本を読んでいるをよく見る。
そして、リビングの隣には部屋が二つあり、一つは僕の部屋で、隣は母の部屋だ。
まぁ、この世界の作りに、キッチンやリビングの概念はあるかどうかは分からないがそんな感じだ。
家の外見は田舎の異世界って感じのレンガの屋根に木造って感じの典型的なヤツだ。
自分で言うのもなんだが、凄くいい立地だと思う。周りには似た様な家があるが、庭がウチも周りも広いのでそんなに窮屈さは無くて良い。建売住宅の様だったら僕はストレスで発狂していたと思う。
僕は、ファリスさんに喋りかけながら、透明な瓶に入っているココアの粉を、スプーンで適量に入れていく。
「あ、歴代の勇者も、僕みたいな感じで選ばれたんですか?」
「え、あぁ!!そうそう!!そんな感じだ!・・・・」
ファリスさんは僕の方に振り返りそう答えた。明らかに目が泳いでいる。しかも、不安を和らげる為なのか、何故かお尻の方の椅子を掴んでいるし、その握りも力が入っている。
「あ、出来ましたよ」
僕は熱いココアが入っているマグカップをファリスさんの前に置いた
「あ、ありがとうな」
ファリスさんは笑顔でそう言い、マグカップを両手で持った。
ふと気づいたが、この暑い時期にココアを勧める僕はなんなんだろうか。
そして、そのココアを嫌な顔せず感謝の言葉を言ったファリスさんは意外と良い人なのかもな。人じゃなくて女神だけど。
ファリスさんは息を「ふーふー」と当てながらココアを冷ましていた。
そして、熱いココアに口をつけた。
「・・・・全部、嘘ですよね」
「ブぅ!!!!」
ファリスさんは僕の言葉に驚きココアを少し吹き出した。その際に、マグカップからココアがこぼれ、ファリさんの手にかかった。
「あちっ!!!」
ファリスさんは大声を出し、思わず手の力が抜けたのか、マグカップから手を離した。
そして、そのマグカップは床に落ちた。割れてね。
割れたマグカップから飛び散ったココアが自分の足に飛んできたが、僕はそんな事には気にも留めずにファリさんに笑顔で質問をした。
「で、僕を選んだ本当の理由はなんなんです?」
「よ、予言で・・・」
「嘘ですよね?」
「本当に予言が・・・」
少し大人げないと思ったが、僕は答え合わせの様な事をした。
「明らかに泳いでる目。ストレスを誤魔化す様に掴んでいる椅子。そして、今、僕の突然の質問に動揺してココアを吹き出した。そういうのはまぁカマかけですけど。なにより、ファリスさん・・、予言の話をしていた時のあなたの顔は明らかに嘘を言っている人のそれでしたよ」
「・・・・人じゃないもん。女神だもん。」
ファリスさんは顔を俯かせそう呟いた。
「そんな事は今はどうでもいいですよ」
僕は肘をテーブルに置き、手の上に顔を乗せた。
「それよりも、重要な事は―――!!」
僕はある事を思い出し、テーブルの下を覗いた。「キャ!」と小さい悲鳴を上げファリスさんは手で自分の下半身を隠すようにした。
「あ、やっぱり、そうか~。」
僕はやらかした時に出すため息を出し、直ぐに椅子から立った。
「ファリスさんは、動かないで下さいね」
「わ、わかった・・・?」
僕はキッチンの方にある、あるモノを取り出した。一つは、取っ手が付いているあるモノを集める道具、もう二つ目は、長物だ。
僕はそれを片手に持ち、ファリスさんの横に立った。
「!、な、なに!?」
ファリスさんは驚いたような声を出し、椅子から立とうとしていた。
「待って!」
「」ビクッ!
「マグカップの破片があるので、危ないです」
僕はしゃがみ、ちり取りとホウキでマグカップの破片を集めた。
テーブルの下を覗いた時に気づいたが、ファリスさんは素足だった。
流石にマグカップの破片で足から血が出たら申し訳がない。
日本では素足が普通だから、つい忘れていた。
「あ、ありがとう」
ファリスさんは、僕から目を逸らしながら、顔を赤らめながらそう小さく呟いた。
「で、僕を選んだ本当の理由はなんなんです?」
「う・・・」
ファリスさんは僕の質問に狼狽えていた。
「私が選んでいないから・・・分かんないの・・」
「・・・あなたがあの剣の女神なんじゃないんですか?」
『勇者の剣』と呼ばれているモノには、大体はその剣に宿っている妖精とか加護がメインで剣自体は入れ物に過ぎないと思うが、違うのかな?。この知識も、ぶっちゃけゲームの知識だから実際は違うと言われればそれまでだけど。
「あの剣は、確かに私が入っているけど・・・選んでいるのは、メルディなの」
「メルディ?、あぁ、あの爺さんか・・・」
僕はちり取りに集めた破片をゴミ箱に捨てた。
そして、ファリスさんの向かいの席に座った。
「でも、メルディが選ぶ人には、条件が幾つかあるの」
喋り方がさっきと変わっている様な気がするけど、こっちが素なのかな?。
僕はぬるくなったココアを口に運びながら、ファリスの話を聞いた。
「その条件の一つは、他の者よりも圧倒的強い者。」
なるほど、それが、僕を選んだ大まかな理由か。
「アスタルで、名前はあってる?」
「あ、はい」
ココアを飲み干し答えた。
なんで、いきなりそんな質問をしてきたのだろうか。
「でも、私からはあなたには別の名前も在るように見える。」
「どういう事です?」
別の名前?、何を言っているん・・・・!!!!まさか!!
「アスタル、もしかして、あなたは異世界転生者?」




