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第6話  友なのに、分からない事がある。

 突然だが、俺には友がいる。長年の腐れ縁というモノだ。

その友の名は、ゼン=アスタル。


 大きな体に似合わず、ふわふわとした喋り方をするヤツだ、キモイ。


だが、そんなヤツに会うために俺は身支度を終え、村の中心部に向かうのであった。


「あっ、おはよう!ゼノン!」


「おうっ」


歩きながら軽く手を上げ、俺はアスタルの近くで立ち止まり見上げた


「なんか、デカくなってね?」


「え、そう?」


そう言って、アスタルは自分の体を確認するように首を後ろに動かし背中を見るようにした。


「いや、筋肉がじゃねーよ。身長だよ、身長」


毎回見るたびにデカくなってるような気がする。


「あ~、そっち?。別に嬉しくないな~、昨日は背中を結構重点的に筋トレしてたから、こっちだと思ったよ」


アスタルは、ちらほら草が生えている地面にうつ伏せになり体を反らし背筋をした。ここが村の真ん中で人が行き来してるって分かってんのかな?、ま、もう皆慣れてるから別に今更誰も見向きしてないけど


「仕事始めようぜ」


背筋をしているアスタルの横を通り過ぎながらそう言った。


「おけ~」


アスタルはそう言い、俺の歩いている横に直ぐについた。アスタルの汚れた服を俺は手で払い落とした。

なんか、こういうのが慣れていっている自分がいるような気がする・・・。



しばらく、たわいのない会話をしながら村の外周を警備で回っている時にアスタルが突然、いや、いつもの様におかしなことを言った。


「でもな~、人生が一度だけの理由が分かったよ。二度も体験すると、もう、なんていうの?、なんか違うな~っていう感があるっていうか、後悔とかじゃなくて、なんか違うっていう感があるんだよな~」


「ま~た始まった」


俺はため息交じりそう言った。アスタルはそんな事に構わず喋り続けた


「僕さ~、日本で格闘技…、う~ん、格闘技って伝わらないよな~。どう説明したもんかなぁ~、まぁ安全なコロッセオの習いごとをしてたんだよね~」


「安全なコロッセオって、なんだそりゃ。コロッセオの時点で危険だろ」


アスタルは、目を空を見るようにし、考えるように「危ないでもあるか~」と軽く言った後に、喋りを続けた


「軽く試合も何度かしたけど、でも、本当に護身術とかダイエット目的で行っててね。僕はもっと強くなりたいって思ってたんだよ」


「お前が?、もう強いじゃん。」


 大型の角大豚に軍隊並みのゴブリンの群れの撃退はアスタルが倒して来たモンスターの中では弱い方だ。俺は見てしまったからな、つーか、助けられた。


 自分の村よりもデカいドラゴンを、短剣一つで討伐したことを。


あの光景を思い出すと今でも鳥肌が立つ。


赤いドラゴンの頭は近くで見ると、赤と言うよりは黒に近かった。そして、その頭がない赤いドラゴンの背中に胡坐をかいて座るアスタルの姿。


「今は、まぁ強いと思うよ。でも、前の世界じゃそうでもなかったんだよ。」


そんな言葉は信じられないが「へぇ~」と軽く相槌をする


「身長も、ゼノンよりも小さかったよ。体格は良かったからゼノンと戦っても負けないけどね~」


アスタルと勝負とか、考えただけでもゾッとする。体がいくつもあっても足りない…。


俺は「へぇ~」と少し声を震わせながら言った。


「けど、前の世界じゃ負けることも多かったよ。」


「嘘つくなよ」


俺は笑いながら言った。


歩きながら喋っていたので、太陽に照らさせた木々の影がアスタルの姿を暗くした。


気温が高いな、今日は。


「結局さ、デカい奴が強いんだよ。どんなに技術を磨いても考えても、ソレをしたデカい奴には勝てないからね。ステータスが違うのに努力の量が同じなら、そりゃステータスが良い方が勝つに決まっている。素手同士なら特にね」


「…おう、そうか」


陰に隠れて、アスタルの顔が見えないのが少し不安になった。


「でも」


木々の影を抜けた時、アスタルの顔が見えた。アスタルはうっすらと口角を上げ笑顔だった。


ほっ、良かった。


「でもさ、それで良い様な気もしてたんだよ。負けるけど楽しいもん。しかも、たまに勝てるんだぜ?、自分よりもデケーヤツにさ。あっちの方が体重軽くても嬉しいのよな~コレが。」


そう楽しく言うアスタルの顔は笑顔だった。アスタルは今みたいにたまに口調が荒くなる、その時はなんだかうれしい。


「僕が最初からデカい状態だったら戦い自体に意味を見出す事は出来たのか?って考えてたけど、この世界に来てから分かった。俺は自分が逆境に立たされないと本気が出せない、自分が弱い立場じゃないと燃えない、そんなめんどくさいヤツだったんだな~って事が分かった」


「で、何が言いたい?、てか、どういう話だっけ?」


「・・・・」


アスタルは顎に手を当て考えている様だった。忘れてんじゃねーか


「ま、人生は一度だから良いんだー。っていう話だったって事って」


「まーそういう事にするか」


俺は、背中に差していた弓を取り出し、魔力で矢を作りだし、弓の弦を引き狙いを定めた


「そうだねー」


アスタルも軽くそう言い、後ろ腰から短剣を取り出し構えた。相変わらず変な構えだ、まるでモンスターだ。


俺たちの前にいるのは来る道中で木々をなぎ倒した少し大きなモンスター、体毛が黒くムキムキな体に牛の顔。てか、体以外牛だ。


「ミノタウロスだな。アスタル、お前はヤれるんだったら、倒してくれ。俺は周囲の警戒と援護をする」


とか言っていた10秒前、アスタルは直ぐに倒した。早すぎだっつーの。


「周りに他のモンスターはいなさそうだな~」


俺は周囲を確認した後にアスタルにそう言った。


アスタルは短剣をもう鞘にしまっており、ミノタウロスの前で首を傾げていた。


「どーするこれ?」


アスタルは首から血を流したミノタウロスに指をさしながらそう俺に訊いてきた。


確かにそうだ。普通のモンスターなら食うか、そのままにするっていうのが基本だが。ミノタウロス、コイツの体と角と頭、全部が貴重部位で高値で売れる。


「う~ん、そうだな~。もう今日は切り上げるか。」


「今日の仕事はもう終わりでいいの?」


「ま、ミノタウロスだし、村長も持っていけば納得するだろ」


俺とアスタルは、近くの川まで行き、ミノタウロスの血抜きをした。


血抜きをした後は、アスタルがミノタウロスを背負い、村まで歩いて行った。


村に到着して直ぐに、俺は村長に報告しに行った


――10分後――


「お~い、アスタル~、そのミノタウロスを解体場まで運んだから今日はもう上がっていいそうだぞ~。仕事はそれで終わりだ~~」


村長の家から出てきた俺は遠くでミノタウロスを背負いながら空をぼーっと眺めているアスタルに向かってそう少し大声で言うと、アスタルは手を振って解体場の方に向かった。


「・・・手を振ったけど、どういう意味だ?。バイバイの手の振りか?」


つーか、俺もこの後やる事ねーな。少し風呂に入った後にアスタルの家にでも行くか、久々にアイツの親にも挨拶しないとだし。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ただいまー」


僕は家に玄関を開けそう言うと、「おかえりー」と料理をしている音と共に聞こえた。


「あれ?。もう、そんな時間だったかしら~?」


母が玄関からの廊下にキッチンから顔出し僕に優しく言った


母の目は息子の自分から見ても優しく、ロングヘアーを止め、肩の前に来るようにしている。人妻感が凄い。おっとり具合はたまに見てて不安になってくる…。


「なんか、ミノタウロス?ってのを倒したから早めに帰って良いってなったんだ。」


僕は玄関に入るや否や、廊下を歩き、左横の扉を開けた、そこは、風呂場になっており、近くに魔法で使う洗濯機の様な物があり、そこにズボンと服を入れた。


シャワーも魔法で動いている。なんといったか、魔道具というヤツだ。


「ママは心配よ~。村の警備なら危なくないと思ったのに~、ミノタウロスもいるなんて聞いてないわ~~」


母は料理をしながら、心配そうな声でそう呟いた。


「ま、大丈夫だよ~」と言い、僕はシャワーの蛇口を捻った。


―――――5分後―――――


「ふースッキリしたーー、やっぱ風呂っていうのはどこの世界でも最高だね~」


僕は風呂場の扉を開け、パンツと、首にタオルをかけた状態でそう独り言を言った。


「ご飯できるわよ~、おやつで作ったんだけど食べる~でしょ~?」


「分かったーー」


僕はそうタオルで頭を拭きながらそう言い、母の方に行こうとした。


コンッコンッ


「ん?、誰だ?」


玄関の扉を小さくノックする音が聞こえた。


「あっ、ゼノンか。丁度いいし、一緒にご飯食べるか聞いてみようっと」


ゼノンかと思った理由は、ゼノンしか友達がいないからである


「ゼノンー」


僕はそう言いながら、玄関の扉を開いた


「あれ?誰もいない」


勘違いだったかな?


僕は玄関を締めようとした。


「あの・・・」


「ん?」


僕は目を下に落とした。


「!!!」


えええ??、な、なんん???、えええ??。脳がバグったように?マークしか浮かばなかった。


「な、何日も待ってたのよ。な、なんで、来ないのよ」


白銀の髪をした女性は、その最初は綺麗だった髪を逆立ちさせながらそう喉の奥で怒った口調でそう口を開いた。


「・・・・誰ですか?」


僕は体外に出そうだった汗を体に引っ込めそう言い、真顔で玄関の扉を閉めた。


「ちょっ、待――!!」


な、なんで???、と言うより、なんでここが分かったんだ!?。


なんで女神ファリスが僕の家を知っているんだ!?、しかも実家だし。


「アスタル~~??どうかしたの~??」


「え、いや!、な、なんでもないよ。お腹すいたなぁ~~はははっ」


僕は思わず声を裏返させながらきょどった様な喋り方になっていた。実際、だいぶきょどっていた。


ドンドンドン!!!!


「ひっ!!」


大きなノック音が玄関の扉を揺らしている!。


扉の向こうからは小さな声で、「開けて開けて開けて・・・・」とブツブツ言っている声が聞こえる。


ファリスってそういうキャラだっけ・・・??


「な~に~?、アスタル~?、誰が来てるのぉ~~??」


やばい!!お母さんがここまで来てしまう!!、絶対ややこしくなる!!。



「た、助けて~ゼノン~~~!!」


僕はそう助けを天に向かって吠えた。



。。。面白ければ、ブックマーク、評価をお願いします。

感想!!!アドバイスお願いします!!

この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




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