第5話 村の警備の仕事 (F12お前は許さん)
村の警備の仕事について早二か月、今は少し蒸し暑い、日本でいう所の6月の季節感だ。
僕は深夜の警備巡回をしていた。
突然だが、僕はこの時間が好きだ。
この深夜と言う時間帯には村には気配がなくなる。人の気配が無くなる。皆、寝ているのだろう。
手に持っている、吊るされた小さいランタンの光が一番大きく見えるほどに、村からの光が消える。
村の外の巡回をしながら、僕は村の方を横目で見た。
「あっ、村長さん、まだ起きてるんだ」
一番高い三角屋根の建物にふとオレンジ色の光が出ているのに気が付いた。
そういえば、もう少しで村の祭りがなんとやら、とか言っていた気がする。
「こんな暑い中で祭りとか、よくやるよなぁ~この世界の人間も」
祭りの国と言われるまでの日本で、僕は祭りに行ったことがなかった。
正確に言えば、少年期は行っていた、だが、それも2、3回程度だ。
祭りというモノにあまりはまらない自分はなんなのだろうか?。という事を少年ながらに思っていた記憶がある。
皆が好きというモノにハマれない自分。思ってみれば、球技もそこまで好きじゃなかった。
何が楽しいのかが大人になった今でもよく分からない。(まぁ、大人になって数日でトラックに引かれてこの世界って感じけど)。
あ、そういえば、中学生の時、球技の事を「ボール遊び」とつい言ってしまった時の野球部の人たちのあの顔は今でも思い出すな。
首を動かし、頭を前に出し「えっ」と言いたそうなあの顔をしながら、若干の苛立ちを感じさせる雰囲気・・・。いや~悪い事したな~。
僕は、そんなことを思いながら村の外を巡回をしている。
村の周辺はほぼ緑と言っていいも程に、山と木々で囲われている。
その木々が風になびかれ、軽いざわめき音を発している。
「あ~、いいな~~」
僕はふと木々の揺れを目で追いながら眺めた。
次は目線を上に上げ空を見た。
「お~~~」
夜空って感じの空だ。無数の星が幻想的に水色に光っている。こういう宝石をなんといったか。
この時、初めて僕は宝石を買う人の心境が分かった。だが、買おうとは思わない。
「あっ、そうか」
なんで、祭りに行かなくなったか思い出した。
従兄達が一緒に行かなくなったからだ。
少年の目から見た従兄達は大人びて、なんだが一緒にいてわくわくしていた。
だけど、年が進むにつれ従兄達は、従兄だけが知っている友達同士でいく様になり僕は祭りの日は家でテレビを見るようになっていた。
だけど、それも良かった。
父が花火の音を聞くと二階のベランダに行き「お~~~」と言った後直ぐに、二階のリビングでテレビを見ている僕の方に顔を向け少し大きな声で「花火、お前も見るか!?」と僕に言い、僕は返事をすることもなく、ベランダに足を踏み入れ、父と花火を「「お~~~」」と腑抜けた声をあげながら見るのが好きだった。
それも、僕が死んだからもう出来ないことだけど。
正直、初めて祭りに行ったときは少し、ショックを受けた。
アニメみたいに神社でやっていないし、祭りはお金がかかる。屋台をやっている人も少し怖そうでなんだか嫌だ、ヤクザがやっているとからしい。浴衣も着ている人が少なくて、祭りなのに浴衣を着ている人達が若干浮いている。(そう思っているが、浴衣も着物も一回も着たことがない)
だけど、あれも中々よかった。僕は祭りは好きじゃないが、親しい人が祭りの余波で喜んでいるのは見ていて好きだ。
「祭りか~~。楽しみだな~」
僕は少し笑みを浮かべながら、村が祭りで賑わっているのを想像した。
僕は自分の足踏みが少し軽くなったのを感じた。
「村人だけの祭りだけど、楽しそうだもんなぁ~~」
僕はその軽い足踏みのまま、村に続く土の道になっている所に立った。
そして、後ろの腰に装備している短剣を抜刀した。
「さぁて、かかってこいよ。一匹も通さないぜ」
僕は腰を落とし、臨戦態勢に入った。
僕の目の前には、ゴブリンの群れがよだれを垂らしながら棍棒を手に持っていた。
「数が多いな。」
ゴブリンは『雑魚モンスター』という称号がみんなの中であるがそれは違う。
まず、ゴブリンは意外に頭が良い。良いと言ってもチンパンジーに毛が生えた程度だが、それでも他のモンスターと比べると比較的にマシな頭脳を持っている。
その証拠に、全てのゴブリンは棍棒も常に持っている。自分らの力が弱いという事を理解している。
これは凄いことだ。ゴブリンの種族内では力が強いモノもそれに現を抜かさずに棍棒を持っている、という事になる。
冒険者の中ではゴブリン退治をする時に「ゴブリンを退治するぞ~~」と軽く言うらしいが、その考えで生き残れているのは、奇跡だろう。
群れから離れたゴブリンはすでにゴブリンから嫌われたという事だ。つまるところ、協調性がなく大した才能がないゴミという事だ。
そりゃ、倒せる。
だが、群れになったゴブリンは別だ。
群れになったゴブリンを相手するのは、パーティーを組んだA級ランクの冒険者でも苦戦するほどだ。
そして、最悪のパターンはゴブリンに拉致られる事が起こるという事だ。
そのあとは、想像の通りだ。だから、最悪のパターンなんだ。
だけど、この記録を残した冒険者の話を今でもほとんどのこの世界の人間は理解しない。
なんなら、その記録を残した冒険者を皆で嘲笑ったらしい。
「バカだよなぁ~。想像力がない奴っていうのは。その記録を残したという事は、その女性の体は当然、傷があっただろうな。目に見える傷も、見えない傷も。それを会話しても分からない、目の前で見ても分からないというクソみたいな想像力。」
その女性は、可哀そうだな。
僕はその女性の事を思いながら目を瞑り、息を吐いた。
吐いた息は白かった。
季節的には夏だが白い。その息は僕の頬を伝い頭蓋をそいながら宙へと消えた。
その吐いた息は冷たかった。今の僕の心の様だった。
土を踏みしめる靴の周りに土がめり込む。
「よし。殺してやるよ」
群れのゴブリンが強いのには他にも理由がある。これは、単純な理由だ。
メンタル面が強い。
原始人が、群れでマンモスを狩るように、戦争で国民が団結するように。
群れのゴブリンには確かな統率力がある。
統率力があるモノと戦う。そう分かった時点で、すでに戦争をするつもりで戦わなければならない。
「たとえ、相手が弱くても」
よだれを垂らしたゴブリンが、一斉に前に走ってきた。 つまり、僕に向かってきた。
僕を無視して、村に走っていきそうなゴブリンもいた。
「おい、行かせねぇ、って言ったよな」
僕は短剣を一振りした。
チ。血が舞った。
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「ふぁぁぁああ~~~。お~い~~アスタル~。交代の時間だぞ~~」
お、もうそんな時間か。
僕は周りを見た。朝日が出てきそうな色をしていた。
「お~~い。あすたっ!!!!」
「おっ!おはよ~ゼノン」
「な、何があったんだ!!!」
ゼノンは目を見開き驚いた顔を僕に向け、駆け寄ってきた。
僕の体を確かめるように触りながら「ケガはないか!!?。大丈夫か!!?」となんども聞いていた。
「ダイジョブだよ。これも全部返り血だし」
僕は顔に付いた血を親指でふき取りながらゼノンにそう言った
「ゴブリンの群れだっただけだよ」
「え、この血の海はゴブリンだったのかよ・・・、跡形もないから分からなかった…」
ゼノンは周りを見渡した
「そりゃ刻まないと、生きてたら嫌じゃん。ゴブリンとかは特に」
「それにしても、刻みすぎぜ・・・。ゴブリンはまぁキモいけど弱いじゃん」
「はぁ~~、ゼノンもその考えか・・・ゴブリンスレイヤーをみせたい」
僕は深いため息をつき、ゼノン顔を見て顔をがくっとさせた。
「つーか、ゴブリンの群れってお前は言うけど、どーーー考えでも、この血の量は群れじゃないだろ。軍隊位のゴブリンがいたんじゃねぇのか??!!」
あ、軍隊か。その言葉が一番分かりやすいな。今度、手紙を襲われた女性冒険者に送ろうっと、「ゴブリンの群れより、軍隊の方が分かりやすいんじゃないですか?」と書いて送ろう。
「それより、アスタル・・・・・おまえ、臭いが凄いぞ」
「え!、急にそんな事言われてたら、傷つくじゃないか!!」
僕はゼノンに近づきながらそう言うと、ゼノンは僕が近づく度に後ろに下がっていき、距離を取った。
ムカッ。流石にイラついてきたぞ。
僕は、ゼノンに向かって思いっきり走った。
ゼノンは「ギゃーーー!!!」と、女の様な悲鳴を上げながら逃げていった。
僕は、その後を全速力で追った。
そのあとすぐに、ゼノンは足を挫き転んだ。
「ゼノン~~逃げないでよ~~」
「や、やめろ。。。ちか。。近づくな・・・・」
「ギゃアァアアア!!!!!!!!!」
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




