このタイミングで勇者にならないかって言われても・・・・困る。
「な、なんで…」
ファリスが目をおろおろとさせ狼狽えながら僕にそう聞いてきた
「怖いからです!。そんな僕には魔王は倒せません!!」
ファリスはその言葉を聞くと、稲妻にでも打たれたのかのように、口を開き驚いていた
「え、嘘だろ?」
「嘘じゃないです!」
「予言の勇者なんだよ?」
「多分、そこの老人のボケが始まったのでしょう!、完全な間違いです!」
マジでなんで、僕なんかが予言の勇者なんだよ。他にもっと適任いるでしょうよ。
この時、ファリスが小さく「あっ」と言い、自分の隣に老人がいることを思い出したようだった
「お主の間違いなのか!?」
「ほぉ~~~」
老人は「ほぉ~~」と奇怪な言葉を発し、魂が抜けたような間抜けな白い顔になっていた
「メルディ!?しっかしろ!!」
老人の名はメルディと言うのか、意外と女っぽい名前だな~。
ファリスは腰を落としメルディの肩を掴み思いっきり揺すったり、往復ビンタをメルディの爺さんにしていた。
やりすぎじゃない?
「ハッ!!」
メルディは頬を腫らしながら正気を取り戻したようだった。
異世界だから、こういう事も可能なのか~、と顎を触りながら僕は感心した。
「・・・アレ、なんの話してたんだっけ?」
メルディの爺さんが本当に爺さんみたいな事を言い出したので、嘘が本当になったかと流石に心配になったので「お爺さん、大丈夫ですか?」と肩を心配で触ってみた
「おっ!」
手から伝わってくる、この「筋肉の重さ」…只者じゃないと直ぐに分かった。
「あぁ・・・大丈夫じゃよ」
メルディの爺さんは肩に乗せた僕の手を優しく振りほどき、「よいしょ」と言い、腰をさすりながら立った
ファリスはその横で心配そうにメルディの爺さんを見ていた
ファリスは銀髪の髪を指で触りながら口を開いた
「もう行くのか?・・・」
「まだじゃよ…、心配するな。まだまだアッチには行かんよ」
ファリスの心配そうな眼差しにメルディは微笑を浮かべながら答えた
なるほど、そういう事か。と僕は理解した
だが、無理なものは無理だ。それは出来ない。
「で、ファリスよ。何の話だったかのう?」
「この勇者が勇者にはならないって言ってる話だ」
「・・・・」
メルディの爺さんはそのファリスの話を聞くと、僕の方に顔向け、言葉を発した
「ほぉ~~」
メルディの爺さんは先ほどの様に白い魂抜けた顔になり、「ほぉ~~」という甲高い声の奇声を発していた。
「メルディ~~~!!!」
ファリスが涙を浮かべながらメルディの爺さんの肩を思いっきり揺すりながら顔に往復ビンタをした
ーーー5分後ーーー
「で、なんでなりたくないんじゃ?」
その前に顔の腫れがハリセンボンみたいになっているのは大丈夫なのか、と僕は思った。
「なんでじゃ?。勇者になれば良い事尽くしじゃよ?。力も手に入れられ、富も手に入れられ、名誉も手に入れられる。その他にも最高峰の美酒や食材も腹一杯食べられる。美女も手に入れられる、しかも性格が良い美女がじゃ。そのチャンスをお主は他に与える、と言っているのじゃよ?、分かっておるのかその事に。」
メルディの爺さんは長い髭を触りながら、最初に会った時の様な優しい顔でそう僕に言った。
まるで、体験したかの様な言い草だな。と内心思った。
「それでも・・・」
「怖いと?」
「そうです」
「う~~む・・・・」
メルディは腕を組み空を見つめ深く考えている様だった。
怖い、怖い、と言ったが、実の所そんなに怖くはない。
勇者になりたく理由、それは――――
めんどくさい から である
『勇者は皆の憧れ』。それはこの世界の住人にとってはの話だ。僕はそもそもこの世界の人間じゃない、いや、死ぬ前まではそうだった。
ランニング中に飲酒運転をしていた大型トラックに跳ねられ即死だったと思う。目が覚めると赤ちゃんになり黒髪でロングヘア―の美女の母乳を飲んでいた。ここでは状況は掴めなかったが、1~2歳になる事には「あ~異世界転生ってヤツか」とテンプレの様なセリフを呟いた。
この時、僕が口に出して喋ったのが始めてだったらしく、危うく名前が「ゼン=イセカイッテヤツカ」に改名される所だった。必死に両親に泣きながら懇願し「今の名前が良いです~~!!」と前世でもした事がない土下座をした。人生二回目がキラキラネームスタートは流石に嫌だった。
まぁ、あとはなんやかんやあり、今に至るという事だ。
それが、どうだ?。『勇者?』。『富も名声も力も手に入れられる?』、ワンピースかよ。
この世界の僕の人生は別になんてこともない普通だ。美女に囲まれるハーレムもなく、魔王の軍勢が村を滅ぼしに来るって事もなく、異世界転生者だから忌み嫌われるって事もなかった。
本当に普通の異世界人生だ。エロ漫画に出てきそうななんの面白味もない異世界か、とショックした事もあったが、よくよく考えると別にそれでも良いかと思った。
こんなタイミングで「あなたは勇者に選ばれました」と今更言われても困るという事だ。
絶世の美女がいきなり求婚して来てもそれが家族で映画館で映画を見ている時だったら誰でも嫌だろう。
そんな感じだ。
「じゃ、ワシが修行をつけてやろう、それでどうじゃ」
なので、断る
「あ~すいません~スゥーーー、本当にちょっと無理ですね~。いや~すいません~。申し訳ない、はは」
前世で陰キャながら身に着けた、「やんわりの断り方『極意』」。これを使う事にした
この技の使い方は言ったって簡単だ。「スゥーーー」という謎の考えてる時に口から出る変な風切り音を考えていない時に出すというのがこの技の使い方だ。
相手は「考えてくれたんだー」という考えに至り、やんわり断ることが出来る。これは悪用厳禁だぜ。
「あぁ~~、そうかぁ~残念じゃのぉ~」
メルディの爺さんは髭を触りながら、優しい笑みを浮かべながらそう言った。その笑顔はどこか悲しそうであった。ファリスは隣で顔をずっと俯かせたままだった。
「すいません」
流石に胸が痛む…。ごめんなさい、メルディのお爺さん。僕は勇者にはなれません。
僕は心の中でそうメルディの爺さんに謝罪した
「じゃ、これで」
僕はメルディの爺さんに軽く会釈をし、勇者の剣から背を向け、その場から離れようとした
その時だった。
服の袖が誰がに掴まれた
「本当に・・・勇者にならないのか?」
白銀の髪の女神ファリスが僕の袖掴み、上目遣いでこちらを寂しそうな顔で見つめていた。
どきっ!
心臓が跳ねたのを感じた。このままじゃやばい・・・・。
「ごめんなさい」
僕はファリスの綺麗な手を優しく触り、丁寧に振りほどいた
どんっ!!
「え!!」
手を振りほどいたのと同時にファリスが白銀の髪をなびかせ僕の胸に飛び込んできた。甘い香りが鼻頭に触れた
「お願い…、勇者になって。」
ファリスは顔を上げた
「!!」
ファリスは目に涙を浮かべていた。驚いたからの涙ではなく本当の涙だろう、と分かるほどの澄んだ透明な淡い雫だった。
ドキッ!!
「やばい…」
小さな声だったが、思わず出してしまった。これはやばかった、前世でも恋愛経験がない僕はやばかった。
「お願い…私を救って」
僕はやばかった。ファリスの柔らかなたわわが僕の胸にしっかりと密着していた。女の柔らかさを感じたのは、これが初めてだった。
だから、やばかった。
僕の股間がやばかった。
「ちょっと離れて下さい・・・・」
声が震える。股間から体が熱くなってくるのが分かる、この熱さが恋なのかと僕は知った。
「勇者になるって言うまで離さないんだから。」
「あっ!」
僕の図太い声が漏れでた。ファリスは僕にもっと密着してきたからだ。たわわを当てたわわが潰れたスライムの様に胸に広がる、ファリスは胸に包帯しかしていないのでそれが余計にたわわをたわわにしていた。サラシじゃないのよ!と思った。
しかも、やばいのは下半身だ、ファリスの長いスカートの中には柔らかく大きい太ももがあるのだという事が分かるほどの密着を僕の下半身につけていた。息子の方ではない、僕の足が後ろに下がったら僕の足にファリスは足を密着させてきた。
息が苦しい。呼吸が荒くなる。
「勇者になるの?」
ファリスがどんな顔をしていたのかは分からなかった。僕の目にはファリスの上から見えるたわわの谷間しか見えなかった。
ファリスの息が僕の首筋に当たる。思わず肩をすくめる
「お願いだ・・・。お前が欲しい」
ファリスの薄赤いピンク色のふっくらとした唇が色っぽく僕の目に映った
やばい!!このままじゃやばい!!、思わず「勇者になります」と言ってしまいそうだ!!
僕の体よ!!!動けぇぇぇ!!!
「キエえええええええぇぇええええ!!!!!」
「「!?」」
僕は空に咆哮を放った。森中の鳥が僕の声のデカさに驚いて飛び去って行くのが木の隙間から見えた。
「(声だけで大気が揺れているじゃと!?、やはりこの者が予言の――!!)」
僕は叫ぶの止め、ゆっくりと息を吸い、ファリスに顔を向けた。ファリスは驚いた顔ときょとんとした顔が混ざった顔をしていた。
僕はファリスの両肩を両手で掴み、ファリスと距離を取るために腕を伸ばした。
言うんだ。言え!!
僕はファリスに顔を凝視した
「なに・・・?」
ファリスの顔がほんのり赤くなるのが分かった。僕に期待しているのだろう。
僕はファリスの目と自分の目を合わせた
「」ドキッ!
そして、こう言った
「しつこい」
と、真顔で言った。
「・・・・・え」
ファリスの顔をきょとんとさせ、腰が抜けたように地面に尻もちをついた
「え」
「それじゃあな!二度と喋りかけてくんなこの痴女、あと爺さんも!」
「え?」
僕は後ろを振り返らずに全力で村まで走った。
―――その後、しばらくたった頃――――
「うそでしょ・・・」
――女神ファリスはしばらくたっても、その場で尻もちをついていた――
「私って、女神なのよ。噓でしょ、あんな態度を神に向けるの?えっ、嘘でしょ。痴女って噓でしょ…私は女神だよ…。アレ?私って本当に女神だっけ?」
―若干、自暴自棄になっていたのであった――
「おい、ファリス。もう寝た方が良いんじゃないかの~?辺りも暗くなってきた事だしのぉ」
「メルディ?私のダメなところってなんだ?」
「え?口が悪い所とかかのぅ」
――トドメの一撃を入れたのは、長年の相棒の元勇者・メルディであった――
「そう…、女神辞めるわ」
「はいはい・・・・え?なんて?」
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この物語はフィクションです、実際のモノとは関係ありません( ^ω^)・・・




