裏帳簿
「……シッ!」
「ムグッ!?」
俺は見回りをしているゴロツキの背後から忍び寄り口をふさいで喉に即効性の毒を塗ったナイフを突き刺すと抵抗することなく男は絶命する。
裏帳簿のある場所は分かったが……どうにと雇った見回りのゴロツキがうろうろしていやがる。バレないように殺るのも面倒なんだからいないで欲しかったが……これでも少なくなっているほうだろう。
「いやー、なかなかの手際ですね。」
「暗殺の依頼もよくするからな。」
俺は死体を物影に動かして『アビス』に押し込む。
因みにそこら辺にとんだ血はウェルが回収している。なんでも、魔法陣を描くときに使えるからだとらしい。
「では、私も……。」
ティターンは跳躍して天井を蹴り飛ばし目の前に来そうなゴロツキの脳天を杖から取り出した仕込み刀で突き刺して捻ることで脳を傷つけて殺す。
さすが、というべきか……こいつはかなりの武闘派だが、特にあの業物の仕込み刀での刺突を得意としている。
あいつに突きでの闘いのなかで勝てたのは俺ぐらいらしいことか見てもあいつは実力だけならSランクレベルの実力がある。
「ほいほいっと……」
「マスター、来るぜ!!」
ちっ、こっちはまだ死体を仕舞えてないのに……!
「ほいっと。」
十字路の角から顔を出したゴロツキは爪を伸ばしたウェルに顔を引き裂かれ、痛みの声をあげる暇もなく首筋を噛まれ、ミイラのような状態となる。
ウェルもウェルで殺しの手際がいい。
元盗賊だとしてもこの手際の良さの奴はそうそういないだろう。
「……ここか?」
「ああ。」
俺たちは裏帳簿がある部屋の扉の近くにある物影に身を潜める。
あそこの前には二人ほどのゴロツキがいる。どこをどうしてもあの部屋にはあの二人のゴロツキをどうにかしないといけない。
暗殺の手口でいってもいいけど……どう考えても片方に助けを呼ばれる未来しか見えない。それは余りにも困る。
「ルーナさんの力でも無理ですか?」
「ああ。どの手段を使っても確実に一人殺しそびれる。」
さて、どうしたものか……。
「じゃあ、俺が何とかするぜ。[血よ、血よ、我が血脈に潜みし怪物よ、その力の一端を見せよ『ブラッド・ファング』]」
ウェルの周りに血のように赤い魔法陣が生み出され、魔法が発動する。
次の瞬間
「ごぼぁ!?」
「ぐひゅ!?」
二人のゴロツキは何者かに食い散らかされたような無残な何かになった。
これ……魔力で血を操作して中から血が食い破ったのか……!いくら外からの攻撃に強くても中からの攻撃を避けることも防ぐことも出来ない。まさに即死だろう。
「私の魔法は『血属性魔法』。血を触媒として発動するオレの種族のみが使える属性魔法だぜ。」
「なるほどな……それと、掃除は頼むぞ。」
「分かってる。」
俺はウェルが血を回収している間に人だった残骸を回収して扉を開けて中に入るのだった。
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中は多くの籠と棚が敷き詰められていた。そして、籠の中には多くの羊皮紙の帳簿が置かれていた。
これが、裏帳簿か。後はここから回収する……いや、記録した方がいいな。
「おい、ティターン。これを使え。」
「うわっとと。……なるほど、記録球ですか。」
俺は買い込んでおいた記録球をティターンに投げ渡してそれぞれ裏帳簿を記録していく。
かなり裏帳簿は多いからちょっと時間がかかりそうだな。
「マスター、入るぜ。」
「ああ、それとお前も裏帳簿から『ダンタロッサ商会』に関することが書かれた帳簿を探してくれ。」
「わかったぜ。」
俺は帳簿を記録しながらウェルに命令を下す。
探せば探すほど出てくるは出てくるは。王族やら貴族やら大手商会やらにかなりの違法奴隷が流されている。
にしても、ウッドの帳簿がないな。……本店に隠している可能性も出てきたな。
「おい、ルーナ。こっちにあったぞ!」
「出かしたぞ、ティターン!」
俺は笑顔で手を振るティターンの方に行き、手にもった帳簿を記録する。
「やはり、『ウッド』の出所はダンタロッサ商会でしたね。」
「予想通りだったな。用はすんだし戻るぞ!」
俺たちは記録球をしまい、交易場から出ることとなった。
これで……!最後のピースが揃ったぞ……!恐れろ、ダンタロッサ。お前の金で積み上げてきた地位が崩壊するのも近いぞ……!




