エルフの子供たちの救出
「あ、ルーナ!今までどこに」
「すまん、こいつを頼む!」
俺はエメラルド色の髪をしたエルフのガキを作業していなかったジャスミンに渡す。
俺は魔法とかには高い知識を持っていると自負しているけど魔力そのものに関してはそこまで知識があるわけではない。
それなら俺らの中で最も知識を持ち合わせているエリカに渡す方が効率的、かつ効果的なはずだ。
「この子、魔力が殆んどないじゃない。……話しは後ね。取りあえず、この子を寝かし私たちの馬車の荷台に寝かせてきて。」
「……分かった。」
ざっとガキの体を見たジャスミンはエラにそのままガキを渡して、エラはすぐに馬車の方に向かって走っていき、ジャスミンは他の囚われていた人たちの怪我を癒しに戻っていった。
えーと、なんだっけ。確かトリアージだっけか。あいつ、一瞬で彼女の状態を把握して優先順位を決めて後に回したな。こいつもまた異端であることには変わりがないな。
この世界、かなり命の価値が軽い。それなのにジャスミンは命の価値を重く見ている。それは俺らのような能力の異端ではなく思想の異端とも言って良いだろう。
「……お兄ちゃん……お姉ちゃんは……?」
お、こいつはあのエルフの妹のほうか。
「大丈夫、ちゃんと助かってるよ。」
「ありがとう……本当にありがとぉ……!うわあぁぁぁぁぁぁん!」
俺に感謝の言葉を言った瞬間、妹エルフは大泣きし始めた。
自分の大切な姉が救われたんだ。泣いて、当然か。それに、こっちのほうが年相応だし。俺としても救える命を救えれたのはとても気分がいい。
「そうだ、パパとママは?」
「……うぅ……ひっぐ……。パパもママもいない……あの男たちに……殺されちゃった……!」
「…………。」
泣きじゃくりながら言葉を紡ぐガキを見て俺は目線を揃えて少しだけ納得する。
成る程な。エルフのガキが何で二人だけしかおらず、こいつの母親と思われる女性の魔力を感じれない。人は産まれた親と子で魔力が似通っているからな。
けど、どうしようか……このガキどもを誰か育ててやれそうな奴がいたかな……。俺としても、劣悪な孤児院に入れるなんてことはしたくないし……。
取りあえず、今はその事について考えるのは止めよう。
「おい、ルーナ。隠し財産が見つかったぜ。取りあえず運び出したいから手伝ってくれ。」
「了解。それじゃあちょっとお兄ちゃんは行ってくる。」
「うん……ありがとうお兄ちゃん……!」
俺はキュールに呼ばれ、立ち上がりガキの髪をわしゃわしゃして歩きだす。
「おい、ルーナ。あの子供に妙に良く接しているな。どうかしたんだ?何か気になることでもあるのか?」
「……いや、特にはない。けど」
「見捨てれないから、かな。だからつい気にしちゃう。」
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結論から言えば。
ツリーの部屋の一角に金貨とかが隠されていた。それもあの頭領が言っていた量よりも二、三倍ほどの量があった。
あの頭領……数え間違えていたのかよ……。
「ふう……疲れた。」
俺らが隠し財産を馬車の一台に積み込み、囚われていた人たちの怪我を癒していたら日が傾き始めた。
こりゃあ、予想以上に時間がかかったようだ。俺らだけなら夜でも街を目指せるけど、まだ体の調子が整っていない人たちが倍いる状況だ。動くのは得策とは言えない。
取りあえず、今日は夜営するか。
と、まぁというわけで―――――
「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」
俺たちと囚われていた人たちはそれぞれの木のジョッキをぶつけて酒を飲む。
飯はエラとリーニャがそこの川で釣ってきた魚の塩焼き、エリカとディアと獣人の冒険者が森の中で取ってきた薬草とキノコ、干し肉を煮込んだスープ、少し固い黒パンである。
「貴方、エルフなのに酒を嗜むのですね……。」
「生憎、ハーフ何でね。そう言った固っ苦しい常識には囚われていないのさ。」
俺は全身を白い巫女服のような物で着こんだ鳶色の髪に藍色の瞳をしたエルフの商人、カーネが水を飲みながらこちらに話しかけてきた。
彼女、何でも山奥の古い村の出身でそこではエルフの昔からの潔癖なところがある。
俺としてはそんなのどうでも良いわけだが……彼女、少し堅苦しいところがある。そこはあまり好きにはなれない。
「それで、あの子供は大丈夫なのですか?」
「ジャスミンが言うには問題ないらしい。魔力がかなり消費されてるけど自然回復していっているってよ。」
「それならよいです。」
カーネは少し呟いた後、静かにスープを飲み始めた。
因みに、エルフ姉は火を囲うように食べているところの近くに代わりばんこに看病している。なお、男厳禁である。
「お姉ちゃん、大丈夫かな……。」
「大丈夫だよ。後はゆっくり休ませるのが一番良いことだった聞いたしな。」
「うん……でも心配だよ……。」
「大丈夫、今の番はジャスミンだから、万が一何かあってもどうにかしてくれるよ。」
「うん……。」
俺の隣でエルフ妹……カスミが少し暗い顔をしながらパンを食べながらエルフ姉……セチアの方をチラチラ見ている。
俺としては問題ないと思うけどな……。
「おーい、リーダー!そっちの酒を投げてくれ!」
「分かったー!」
俺はすぐ近くにあった酒瓶をアルンに投げ渡し、アルンはすぐに開けて茶髪のジャガーの獣人と一緒に酒を飲む。
あいつ、人と仲良くなることが早いな。コミュニケーション能力が高い、って言うんだっけ?俺には少し羨ましいよ。
「さて、少し寝るか。」
「あ、お休みなさい。」
俺は食事を取ってすぐに馬車の中に潜り込んだ。
俺は夜中に見張りをしなきゃいけないし仕方にいよな。取りあえず少し布を被ってっと……。
(………………)
すぐに俺の意識は暗くなる。




