アジト侵入
「――ルーナ、そろそろ着くよ。」
「……もうすぐか。」
俺はエラに揺すられ、木箱の上から起き上がる。
ふむ……体の疲れのとれ具合から見て約一時間位がたった場所にあるようだ。
てか、何故荷台に見たことがないお香のようなものがあるんだ?
「お、ルーナが起きたか。なら、俺は休ませてもらう。」
俺が出るのと同時にウォルフが馬車の荷台の中に入る。
……俺の近く範囲内に俺ら以外の魔力の反応がある。そう言えば、街道なら古代の勇者が建てたとされる『サークル』と呼ばれる魔物避けの失伝された魔道具があったって聞いたことがある。
恐らく、騎士たちの巡回から避けるためにその街道からそれた場所に作っているようだから、魔物避けの範囲外だ。
なら、俺たちがこの馬車の警護をしなきゃならないようだ。
「お、ルーナ、起きたのか。」
「あぁ。……魔物は何体程来た?」
「今のところは来ていない。もし、街道の外から魔物が来ても良いように魔物避けの魔道具を持っているんだ。今、荷台の中央に置いてある。」
あぁ、あれか。
「どこで手にいれたんだ?」
「遺跡だよ。簡易的に使えるやつ。定期的に魔力を入れないと使えないけど。……見えてきたぞ。」
キュールが指を指した方向に水辺の近くの雑木林に擬態させた盗賊たちのアジトがあった。
なるほど、元々あった雑木林の中にアジトを作ったのか。これなら素人や実戦経験の薄い騎士なら目を欺けるだろう。
「さて、入るか。ウォルフ、アルン、ディアは外で待機して魔物が来たら殺せ。エラ、アリーゼ、ジャスミンは捕まった人たちの解放。俺、エリカ、キュールは中の金貨等をを運び出す。」
俺はアジトに入る前に矢継ぎ早にそれぞれに指示をだす。
昔、前世のドラマで見たが、こういった監禁事件や性犯罪の事件の場合、被害者のケアをしたりするのは女性警察官だった。そのため、回復系統の魔法が使えたり、体の不調の箇所を見分ける程の人体の知識を持つ奴等がいるのだからそいつらに任せた方が良いだろう。
あと、野郎共は外だ。魔物が入ってこないようにするためもあるが馬鹿をする可能性もある。それはちょっと避けたい。
俺たちは単にそういうことをしなそうで動きやすそうだったからだ。
「では、行くか。」
そう言って、俺たちはアジトの中に入っていった。
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「……凄いな。」
「……はい。」
俺とエリカは雑木林のアジトの中を見て驚嘆した。
雑木林のな中にはツリーハウスやそれに繋がる小屋が建てられていて、それを繋ぐ橋がツリーハウスとツリーハウスを架かっていてまるでエルフの隠れ里のような感じがした。
「おい、これは幾らなんでも探すのに時間がかかりそうだぞ。」
「俺らの探す物は金貨とかだ。恐らく、管理がしやすく、頭領の目につきやすいように小屋のどれかのはずだ。」
「手分けして探しましょう!」
俺たちは再び別れようとした瞬間、草むらから何かが飛び出してきた。
「[夜風・空落とし]」
飛び出しきた物を回転して避けてそれに向かって黒い風を纏った脚で踵落としをする。
すると、それはあっさりと潰れ、俺に返り血が飛ぶ。
「「「「グルルゥゥ……。」」」」
草むらから何体もの大きな灰色の狼の魔物が現れた。恐らく、俺たちの匂いを嗅いで来たのだろう。
この魔物の名前は『グレイウルフ』。群体でDランク、個体でEランクの魔物だ。基本的に群れで動き、食べれそうな物なら何でも食べる雑食性。魔物の中でもゴブリンと続くポピュラーな存在だ。
また、この魔物の肉は保存が利き、保存食にした場合三年は持つらしい。俺が食べてたあの干し肉はグレイウルフの肉だ。
ま、雑魚だから一瞬で終わるけど。
「せりゃあ!」
「[マリン・エッジ!]!」
「ほらよっと。」
キュールが斧を投げてグレイウルフの一匹を潰し、その瞬間幾つもの水の刃がグレイウルフたちに刺さる。それすら避けてきたグレイウルフの首を一瞬で切り裂く。
僅かに感じたのだがエリカの奴、俺に当たりそうになった水の刃の直接動かしたな?
俺としたら助かったけど、かなりの高等技術を使ったな。俺でも出来るか分からないのに。
でも、こう見るとあいつも俺と同じ異端児であることがよくわかる。あいつの魔力操作のセンスはかなり高い。高すぎる。それに頭も良い。正面戦闘では俺にかなわないだろうけど遠距離戦になったら勝ち目は殆んど無くなる。
「ここは街道沿いじゃないから魔物がいる可能性もある。取りあえず、魔物ともしものために盗賊が仕掛けているであろう罠に注意して探すぞ。」




