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盗賊襲撃

「……あ?」

俺はその言葉を聞き、僅かながら殺気を放つ。

勇者?勇者だと?しかも複数人?どうゆうことだ。

「おい、どうかしたのかリーダー。手が剣に伸びてるぞ。」

「……いや、何でもない。キュール、それはどういうことだ?」

俺は剣に手をかけていたのを戻し、キュールに話しかける。

予想外だが、今は感情よりも合理的に相手から情報をとるべきだ。

……最も、あの勇者だったらどう復讐するか考え直さなければならない。

「実は数ヶ月前……俺たちが学園に入学する数日前にドルトマス王国の国王と姫が勇者召還の儀式を行ったんだ。」

「数ヶ月前?」

俺の村が勇者どもに焼かれたのは九年前。ということは、俺の村を焼いた『ユウ』ではないと言うことか。なら、殺す必要は無いかもな。

「あぁ、何でも魔大陸の魔族たちを殲滅するつもりで呼んだらしい、がそこから来た勇者は高い能力を持っていた代わりに技術がなかった。」

……なんとなく予想がつくな。おおよそ、その勇者たちのの中で戦闘に強い者を今回の剣魔祭に出させ、擬似的に実戦の経験を積ませる算段かもな。

「その顔、何か分かった顔をしているな。」

「あぁ。……正直な話、俺たちはそれでも勝ちに行かなければならない。ただ経験が欲しければ命をかけなければ意味がない。……そう思わないか?」

「あったり前だ!俺たちは入って直ぐに魔物たちと闘い、勝ち、そこから己に必要な物を極めていったのだ。」

「それはそれはいつ死んでもおかしくない状況だった。なら全身全霊を持って闘うしかない!」

「それなのにただ経験が欲しい?それなら魔物の群れの中に放り込んでやろうか!?」

「死ぬ気で来ない奴ら何かに負けるつもりはない!」

キュールが、ディアが、ウォルフ(狼の獣人の名前)が、アリーゼ(黒猫の獣人)が怒りの声をあげる。

てか、もうこいつら酒の酔いが抜けていやがる。まぁ、俺たちは少しほろ酔いの気分を味わっているだったけど。

「おい、てめぇら動くな!」

突如馬車が止まり、俺たちは僅かに態勢を崩す。

何故止まった……?いや、この場合あれだな、盗賊。それなら面倒だが潰すか。

「おい、兄貴。馬車に乗っている奴らがいまっせ!」

「女は拐え、男はころ――

「黙るニャ。」

「……うるさい。」

入ってきた一人目の男はリーニャの槍に喉を貫かれ、もう一人はエラの二本のナイフで両腕、両足、首を一瞬で切り落とされる。

うわ、早っ。けど、開戦の一番槍としてはもってこいかもな。

「行くぞ、ルーナ!合わせろ!」

「お前が合わせるんだよ、キュール!」

勢いよく出たキュールは身の丈程の斧を振り、近くにいた盗賊を吹き飛ばし、俺が近づく。

よし、ちょっと久々に『あれ』をしてみるか!

「[夜風・剣式(つるぎしき)夜刀]!」

黒い風を纏った剣が吹き飛ばされた盗賊たちの腹を両断し、その軌跡に黒い風が残る。

「やるじゃねぇかルーナ!」

「そっちもな、キュール。」

「なっ!?てめぇ!」

その軌跡の中に勢いよく入っていった盗賊は腹を両断され(・・・・・・)、崩れ落ちるように倒れる。

剣式。俺が今まで作り上げた魔法を剣に付与し、その特性を扱えるようにするものだ。威力をそのままに一流には遠く及ばない接近戦の能力を底上げ出来る。

更に、この状態は魔力を消費量が普通よりも少なくてすむ。魔力消費がネックの無詠唱にとってはかなりメリットが大きい。

因みに[極宝穿ち]と剣式は全く違う。極宝穿ちは剣を魔法の噴出口にしているだけである。

ただ、この状態は闘気術を使わなければならないため普通の魔法よりも複数の事を考えなければならないというデメリットがある。

が、この程度の相手なら簡単に倒せる。

「【闘気術・二斬】!」

「おらおらぁ!この程度か!?」

俺らとは反対のほうではアルンの二本の剣が盗賊の一人を三等分にし、背中を預けるようにウォルフが両手に着けた爪で盗賊たちの頭を引っ掻き、頭を三等分にする。

うっへぇ……あいつら、なかなかいいコンビじゃねえか。

「あ、皆さんに伝えておきます!頭領の思われる人は殺さないように!」

「尋問出来ませんので!」

「[夜風・裂風殺]」

普通にヤバい事を言っているジャスミンとアリーゼを無視し、逃げようとしている盗賊を捕まえ、黒い風で一瞬で肉塊に変える。

うーん、まぁ何で襲ってきたか気になるし頭領だけ捕まえるか。

「引け!引けぇ!くそっ、こんなんなら依頼を受けるんじゃ無かったぜ!」

馬に乗っていた筋肉質のドワーフの指示に従い、盗賊たちが逃げていく。

あいつが盗賊たちの頭領か!

「ほいっと。」

「[フレイム・ミサイル]」

「ギャヒ!?」

馬車の奥から期を狙っていたディアが馬の後ろ足に矢を当て、痛みで暴れ出した馬に振り落とされたところにエリカの炎の弾頭が直撃する。

「あの、殺してませんよね?」

「一応火加減は調整してありますよ。」

「ならいいです。」

後ろで話しているディアとエリカを尻目に盗賊たちの頭領をロープで縛る。

あ、残党たちは問題ないよ。だって……


「「「「「「ぎゃああああぁぁぁぁぁ………」」」」」」


頭領を置いて逃げた盗賊たちは断末魔を上げ絶命する。

殺され方な串刺し。実は俺たちが盗賊たちが戦っている間にエラとリーニャが盗賊たちの背後に回り込んでいたのだ。

そして、これ程の杭を撃つ魔力はエラは持っていないからリーニャの精霊魔法の属性は恐らく『土』なんだろうな。

「……やり過ぎたかな?」

「うーん、頭領は巻き込んでニャいし問題ないニャ。」

多くの人を殺したエラとリーニャは当たり前のように歩いて血に濡れながらこっちに歩いてきた。


「じゃっ、俺たちもやりますか。」


俺は縛り付けた頭領を引きずり馬車のほうに戻っていく。

これから、この頭領は死ぬよりもきつい悲惨な状況になるだろうな。

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