前哨戦終了
「よっと!」
「はぁ!」
「ヘブシッ!?」
「ぐぶぅ!!」
俺は斬りかかってきた相手の手を絡めとり、勢いを利用して投げ飛ばし、わざと見せた隙をついてきた奴の腹に頭突きし、相手が怯んだ瞬間テルトラが剣の一閃で一撃で沈める。
連携が取れてきたのは良いことだが、校舎に近づくに連れて敵の数が多くなっている。
「……これ、テルトラはどう見る。」
「俺としては逐次投入系……恐らく、指揮官によって統率の取れた行動をしているのかと思うが。」
「……となれば。」
俺はそこら辺で伸びている奴らの体を検査する。
いくら統率が取れていたとしても、それを指揮するために通信伝達系の魔道具を持たせているはずだ。
もし、持たせているのであれば……相手を混乱させることが出来るぴったりな魔法がある。それの触媒に使える。
「あったな。」
「どうするんだ、ルーナ。」
「ちょっとね。」
俺は生徒の一人の首にかけられていたネックレスを取り、地面に置く。
さて、儀式を始めるか。
「[呪いの精霊よ、魔なる力を触媒とし、怨嗟の鎖を繋げよ『カース・チェインアウト』]」
黒い禍々しい鎖を生み出した瞬間、その鎖が空中を飛び、円を描く。
「な、なんだあれは!?」
「俺の魔法だよ。……まぁ、呪いと言うよりは『天罰』と言った方がいいな。……あれもしとかないと。[黄昏の精霊よ、魔を隔離する領域よ、我が天文台に築け『トワイライト・ボーダー』]」
俺が詠唱した瞬間、地面に魔法陣が描かれ、辺り一帯に瑠璃色の光に覆われて気がつけば黄昏時の空になっていた。
この魔法は空間隔絶結界。簡単に言えば物理的、魔法的、法則的にも隔絶させられた領域であり、俺はそれに干渉出来る。
言い換えれば、世界の一部を支配したのだ。
「こ、これは……!?」
「俺の魔法。ま、そろそろ来るはずだ。」
造り上げられた結界に驚きを隠せないテルトラに対し、俺は冷静に一つの『宣言』を待つ。
『そこまでじゃ!!』
校内にドリスの声が響く。
俺としても、今回の前哨戦は何かしらの勝利条件が組み込まれていると予想していた。
その場合予測できるのは『制限時間』と『バトルロワイアル』のどちらかだ。
だが、前者の場合、追う側の方がメリットが大きくなってしまう。それは基本的に平等に人を見ているドリスがやるとは考えずらい。
なら、後者の場合ならどうだろうか。
この方式だと仲間割れが起きてしまうため却下。
それなら、二つを合わせたようなルールとなる筈だ、と予測できた。
『生存者は学園長室に来るように!!』
「行くか。」
「あ、あぁ。」
俺とテルトラは学園長室に向かう事にした。
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「あ、ルーナ。」
「ルーナさん。」
「……ルーナ。」
「おす、リーダー。あれもリーダーの魔法か?」
「あぁ、そうだ。てか、お前ら生きていたか。」
「「「「(……)Aランク冒険者が闘いの素人に負け(ますか)るか?」」」」
ごもっとも。
「て、テルトラ殿……。」
「テル……背負って……。」
「あいつら、強すぎるだろ……。」
「あいつら、あれで本気じゃないって……。」
「お、お前ら大丈夫か!?」
「「「「大丈夫なわけないでしょ!!」」」」
アネモたちはボロボロだな。
水色髪をテルトラが背負い、アネモが剣を地面に突きながら歩き、左右逆で目の色が違うコンビが倒れる寸前であった。
「……さっさといこう。」
俺は学園長室の扉を開けて中に入る。
執務用のイスにドリスが座り、その隣に眼鏡をかけた水色髪の知的そうな女性がたっていた。
……ん?何で知的そうな眼鏡は今にでも泣きそうな顔をしているんだ?
「うむ、良く生き残れたのう。」
「が、学園長……。これは一体……。」
「お主らがこの学園の代表と言わしめるには丁度よかったじゃろ。……まぁ、最後は全員昏倒させてしまったのじゃが。」
「成る程。つまり、ボクらの実力を疑う奴らがいるから査定した、と言うことですか?」
「うむ、そうなるぞエリカ。」
うわ……エリカの奴、笑顔のまま滅茶苦茶キレてる。
「まぁ、説明は個別に行うとして……合格じゃ!これにて剣魔祭前哨戦を終了とする!!」
ドリスは机から出したマイクのような役割をする魔道具を使い、全校に伝える。
「して……早くお主の魔法を解かんか!」
「ん?あぁ。解除。」
俺はドリスに言われた通り、チェインアウトとボーダーを解除する。
さて、今回の件について、説明してもらいましょうか。




