剣魔祭前哨戦3
「勝ったな。」
「……あぁ。」
最後の一人を組伏せ、そのまま強引に腕を伸ばし脱臼させた後、両足を踏みつけ、骨折させながらテルトラに話しかける。
辺りには出血はしていないものの脚の骨を砕かれた人たちが悶絶している。
今の俺たちには今拘束具が有るわけではないからこうでもしなきゃ復活されてしまう。別にこのくらいだったら復活されてもいいが、それはそれで面倒くささがあるからな。
ま、最悪の場合ポーション(回復薬。そこそこ高価。不味い)を飲ませれば問題無いだろう。
「ルーナだったか。強すぎないか?」
「んー……一応Aランク冒険者だし、このぐらいなら当然かな。」
「Aランク……アルンたちと同じか。」
「まあな。」
「一つ聞きたい。貴様はどうやって強くなった。」
俺が他の生徒たちを片付けているとき、テルトラが話しかけてきた。
強くなれた理由か……。そんなのは最も簡単で、お前には最も難しいことだ。
「考える事を止めなかったこと、かな。」
俺は少し考えて、真剣な顔で答える。
どうやって簡単に敵を殺すか、どうやって効率良く殺すか、どうやって残酷に復讐するか。考えて考えて考えて。考えた過程で俺は強くなっていった。
もし、考えていなければ俺はまだまだ弱かっただろう。もし、考えてなければ俺は復讐するを諦めて平穏な人生を送っていたかもしれない。
それはダメだ。復讐を誓ったからには平穏なんて歩む事なんて出来ない。諦めてる事なんてもってのほかだ。
故に考える。考えた果てにしか俺の未来は存在しないのだから。
「……考えること?」
「貪欲に知識をため、応用し、技術に変え、身につける。この過程で重要なのが考える事だ。最も、貴族とか身分とかプライドとかに囚われている間は強くはなれないだろうな。」
俺は呆れた口調で首を振りながらテルトラに語る。
プライドとか身分に囚われていたら確実に面倒な考え方になってしまうものだ。身分主義とかヒューマン至上主義のようなものがそれに該当する。
俺の場合平民、そしてプライドとかはあの日ズタズタにされ、精神が歪んだから考え始めることができた。
だが、テルトラは貴族だ。
貴族がその地位に執着するようにこいつは自分の考えを歪めない。歪めれない。もし歪むとしたら家が潰されて、全てを失ってからだ。
「貴族のプライドを、矜持を捨てろと言うのか!?」
「違う。プライドと利益を考えろと言うことだ。」
「……割りきれない。俺は……公爵家の長男として割りきることが出来ない……!」
「なら、歪めずに強くなれ。最も、全てを失った時、歪まないかは知らないがな。」
俺はさっさと荷物を整えて歩き始め、それを見たテルトラも俺の後を追い歩き始める。
「何故ついてくる。」
「貴様と俺は考え方が真反対だ。だが一緒なら少しは生存できる確率は高くなるだろう。」
俺は立ち止まり、振り向いてテルトラに話しかける。
……確かにな。
テルトラはここで秒殺できる雑魚だが肉壁程度の役割は出来るだろう。俺とテルトラと、利益は合致しているようだ。
「生存の保証は出来ないがな。」
「分かってるさ。」
そして、再び俺たちは歩き始める。




