前哨戦
「……この辺りか。」
俺は走り初めて数分、殆んど生徒に出会う事はなかった。が、地面には気絶した生徒が倒れていた。
あいつらの戦いに巻き込まれたのか……。予想よりも規模がデカイようだな。
「死ねぇ!!【闘気術・転弧】!」
「邪魔!」
「[フレイム・ミサイル]!!」
制服を着た美男子が剣が描く弧のような剣擊をジャスミンが杖で弾き、その隙にエリカが生み出した幾つもの炎の弾を放ち、男に直撃する。
あれだけの炎の弾を同時に制御するのは恐らく世界でも片手で数えれる人数だけだろう。エリカのやつ、数年でそこまでたどり着いたと言うのか。
「ぐぬぅ……。まだだ、まだ倒れん!我らが受けた屈辱、確実に払わんといけん!」
「ま、ボクたちに押されてる時点でルーナたちには勝てないよ。彼ほどの天才が君ほどの弱者に勝てるわけないじゃん。」
「そもそも、ルーナさんは剣術、魔法、どちらも一線級。私たちに勝てないようならまず無理ですよ。」
「テルトラ殿、大丈夫か!?」
「テル!」
俺の反対側の森の奥から濃い青の髪をした少女とアネモが走ってきた。
その体には致命傷ではないが所々出血している。どうやら、エリカたちにやられたようだ。
……そろそろ混ざろうかな。
「俺は大丈夫だ。それにしてもあいつら、あそこまで強かったのか……!」
「幾らなんでもおかしい魔法を多く使っていますし、何かトリックが……。」
「それより、テルトラ殿は下がっていて下さい。……後は生徒会が。」
「あー、それなら俺一人で相手してやるよ。」
俺は森から跳躍し、エリカたちとアネモたちの間に降りた。
それにしても、岩場から戦場が森エリアになったけど、ここら辺一帯には木も草も何も生えていない。
まぁ。おおよその検討はついているのだが。
「あ、ルーナ。」
「ルーナさん?校庭で作業していると聞きましたが……。」
「あぁ、終わらせてきた。」
俺は二人に説明したあと、アネモたちの方を向く。
こいつらには特に恨みはないし、手加減しておこうかな。まぁ、相手の実力次第だけど。
「……何故、敵対する、ルーナ殿」
「うーん、勝手に恨まれてもこっちは困るんだよ。」
俺は考える振りをしながらアネモの質問に答える。
恨まれてもこっちは困る。これは紛れもない事実だ。もし恨まれて復讐の邪魔をされたら困るどころか怒り狂うだろうな。
「……なら、倒させてもらう。」
「私は援護する。テルは?」
「俺も出る。あいつに我ら『サラマンダー』は泥を塗られたのだ、あいつだけは俺が倒す。」
相手方はどうやらやる気のようだ。
俺としては別に構わないが……。少し準備するか。
「『アビス』、『聖人殺しのナイフ』」
俺は『アビス』から毒々しい色合いのナイフを取り出し、持つ。
少しこのナイフの性能を確認しておきたいし、こいつらなら試し切りには丁度いいだろう。
「では……行く
「遅い。」
俺は瞬間的に加速してテルトラを袈裟斬りにする。
あのさぁ、何で自分から攻撃に出るタイミング言っちゃたんだ?これは試合じゃなくて戦闘なんだぞ?タイミングを言っちったら攻撃する意味がないだろうが。
「ぐ……あぁ……!なんだこりゃあ……!痛てぇ、痛てぇぇぇぇぇえ!」
「テル!?」
「他人の心配している場合か?」
痛みに苦しむテルトラに駆け寄ろうとしていた青髪の少女の腹を蹴り飛ばし、木にぶつける。
これで二人だ。
「テルトラ殿、ミーネ殿!?」
「やっぱり弱いな。」
「弱い……だと?ふざけるな!!」
さて、アネモも動き出すし、そろそろやり初めますか!!




