生徒会長との戦い
「はぁっ!」
「せやあぁぁぁ!」
俺のナイフとアネモの直剣がぶつかり合い、辺りに火花が飛び散る。
予想していたがアネモの実力は冒険者のランクに換算するとBランク下位と見積もっていたが……。かなり強い。恐らくBランクの中でも上位に入るほどの実力はあるだろう。
それでも俺は手加減してるけどな。
「何故、弱いと言う!!彼らは自分の弱さを理解し、補おうと必死に努力をしていたのに!」
「弱さを補う?はっ、あの程度の非効率の極みの授業に違和感を感じなかった時点で補っていないではないか!!」
「ぐふっ!?」
俺のナイフとアネモの剣が鍔迫り合い、その隙にナイフを持っていない手でアネモを殴り飛ばす。アネモはそのまま地面に叩きつけられ、受け身をとる。
「騎士の戦いにおいて、剣以外に使うとは卑怯な!」
「卑怯?そうだろな。お前ら騎士には理解出来ない冒険者の戦い方だからな!」
俺はナイフを投げ、相手の視線を誘導させ、移動する。
相手が正統派であればあるほどこの手にはよく引っかかる。何せ、正統派の考え方なんて大抵同じなんだからな。
「はぁ!」
「隙あり!」
「甘い!」
アネモはナイフを弾き、剣を回転させ地面に突き刺し、俺の拳を両手で防ぎ、後方に飛ぶ。
今のを防ぐか。案外、柔軟な戦い方をしている。剣を教えた人間が良い教育をしたと見ていいだろう。
「我が師は冒険者でありながら真っ直ぐで、最短な剣技をしていた!貴殿とは大違いだ!」
「確かにな。だが、その師はその剣しか出来なかったのではないか?何せ、お前の剣にはお前の顔がない!」
「ぐぅ……!」
俺は再接近し、アネモの手を掴み引き寄せ、鳩尾に肘を打ち込み、アネモはそのまま後ろに吹き飛ぶ。
アネモの剣にはアネモの顔……『癖』がないのだ。基本、『癖』があるとそこを付け入り、倒すのが定石だが、アネモの剣技にはその癖が何一つないのだ。
ある意味、完璧な剣技とも言えるが、それは剣士でもなければ騎士でもない。俺たちと同じ、ただの怪物だ。
「さっきから違和感を感じないとか顔がないとか……うるさいのですよ!」
アネモが俺に近づき、拳を放つ瞬間を見計らい、アネモの顔面に拳を打ち込み、怯んだ瞬間回転蹴りを顔に打ち込む。
まだだ、もう少しやるべき……ッ!?なんだ、この殺気は!?
「『アイス・アウト』」
「[夜風・黒宝珠]!」
「[ガイア・ドーム]!」
「[アンデット・シールド]!」
上空から放たれた氷の波を俺たちはそれぞれの魔法で防ぐ。
この出力……これほどの範囲……。なるほど、あいつか。
「ドリス・ホワイトか……!」
「ほう、今のを防ぐか、少年たち。」
空中を見れば何時よりも圧倒的なエネルギーを纏ったドリスがいた。
あれほどの魔力、俺も見たことがない……!もし、戦ったとしても勝率は一割を切るだろう。いや、奇襲なら三割ほどだろうか。
「お主ら……。少しやりすぎじゃ。こやつらのような全うな剣士や魔法使いたちなら主らは確実に強者に分類される。儂ですら油断すれば負けるじゃろう。……そして、ルーナ。あとで学園長室にくるのじゃ。」
「……はぁ……。」
「ふむ、怪我の酷いテルトラの怪我を癒しておくか。[癒しの風よ、汝の痛みを静め、祝福せよ。『ウィンド・エクストラヒール』]」
あっ、
「ぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぬっ!?これは!?」
「[夜風・呪刻解除]!」
回復魔法をかけた瞬間テルトラの体に裂傷が走り、傷口が焼け爛れ始めたため、呪詛を解除する。
忘れてた……。このナイフ、傷を付けた場合、回復魔法を使うと更に傷が深く、酷くなっていくんだった……!
「い、今のはなんじゃ……?」
「取りあえず、行きましょうか。」
「う、うむ……。」
(話をそらしたね。)
(話をそらしましたわね。)
話を強引に切り替え、俺とドリスは学園の方に向かって歩いていった。
あぁ……めんどい、眠い……。




