嵐の後
あれから数ヶ月がたった。
あの後、公式に糞聖職者トリスタンが破門された事実が発表され、公にあれが背負った罪を公開された。
そして、新教王としてデルタが教王となった。
俺達の生活は今までの反動か穏やかな生活を送りながら、次の復讐の為の下準備ができた。
休日を使い小遣いを稼ぎ、平日はそれらを使って資材を買い、情報を集めて整理する。そんな生活だ。
クリアとカリアは雇用された際に用務員用の小屋に入る事となった。……彼女らには黙っているが、小屋にはもしものために警報のような働きをする魔法『ウィンド・ブザー』と大地から魔力を吸い、複数の侵入者排除の結界を常時発動する『トワイライト・ガーディアン』の魔法陣を刻んである。
とまぁ、こんな感じに比較的満足のいく生活が出来ている。
ただ……。
「おーい、ルーナ君。何か考え事をしているか?」
「……授業が簡単でつまらなさ過ぎてな。」
魔法理論学(魔法基礎の応用のような物。男女別)の実習棟の部屋でぼーっとしてたら隣にいたケネスがつついてきた。
この魔法理論というやつは本当につまらない。何せ、俺が使っている魔法よりも非効率な型落ちの物をスタンダードとして教えているからである。確かに、入学してすぐに魔法の基礎を教え、そのあとに応用を教えるのはいいことだ。だけど、その応用方法が間違い過ぎている。
まず、一つ一つの魔法陣に関わる情報量が多すぎる。基本的に魔法陣には『威力』『距離』『速度』『効果』を設定すれば簡単に発動する。だが、この授業ではそこに『外れた場合』『命中した場合』何かの不必要な情報までもが入ってしまい、情報過多でうまく成功出来ない。
ゲームのプログラムじゃないからわざわざそんな情報を書き込む必要はない。
あと、変な詠唱改変がされている。
詠唱は確かにイメージ出来ればある程度自由に変えれる。だが、何故イメージしにくいように詠唱が改変されているんだ?する必要のない改変はただの害悪だ。
「えっ?簡単なのか、ルーナ。」
「俺、全くわからん。」
「……そうか?」
俺の前に座っている赤茶けた髪のしたヒューマンと焦げ茶色の髪をした毛深いドワーフが項垂れている。
こいつらはヒューマンのほうがジョン・タルー。ドワーフのほうがマイク・ドレンテ。どちらも騎士を目指しているらしく、前の剣術訓練の際に手加減した闘気術の攻撃を防いだのはこの二人らしい。
「こんな物、正直に言って習う価値がない。」
「習う価値がないって?」
「いくら簡単でつまらなくても言い過ぎだとは思うが?」
「はぁ……。お前ら、わかんなかったのか?この授業の内容、非効率の塊だぞ?」
俺は呆れながらこいつらに簡単に説明した。
簡単にしたのだから、一応分かるだろ?
「……本当か?」
「まじかよ……。」
「だから、俺はつまらいと言ったんだ。」
ん?背後から気配が……。
「……ルーナ君。」
「あー、先生。どうかしましたか?」
先生が背後で立っていた。
や、やべぇ。怒られるな……!
「頼む、俺の代わりに授業してくれ……!」
「……え?」




