嵐の前の静けさ
「ふう……どっこいしょ。」
「いつもお疲れ様。」
「……お疲れー。」
「なら、普通に起きろよ。」
俺たちはは休校していたため使えなかった食堂に来て、ケネスたちと同じテーブルに座った。
あれから数日がたち、学園では授業が再開された。
久々にここの食堂を使うな。今までは王都で下準備しながら食べたり、携帯食料で済ませたりしたから、今日は栄養バランスの整った物を食べれそうだ。
「そういえば最近、ルーナたちの部屋から大きな物音がよくするけど何かあったの?」
「……いや?何もないけど。」
「……何もないよ。」
俺とエラは内心ドキドキ、背中は冷や汗を流しながら答える。
実は、すぐに体調が良くなったカリアが部屋の掃除などのことをやりはじめのだ。その為、一応防音系の魔法陣を刻んだ部屋の外からも聞こえていたのだ。
ケネスの部屋は比較的俺と近いからな……バレても仕方ないか。後でカリアに注意しておかないと。
「そういえば、まだエラとルーナ同じ部屋なんだよね?」
「そうだな。」
「……別に困っていることもない。」
「ダメよ!男なんて基本的に野獣なんだから部屋を分けておかないと!」
アビーが少し呆れながら、シルクはいつもよりも激しい言葉遣いをしてきた。
いや、野獣って……。俺はそういったことは復讐を決意した時に諦めたことだからどうでもいいけど……。
「……ルーナなら……いいかな。」
「「「「……えっ?」」」」
エラが少し頬を赤めらせとんでもない爆弾を落とした。
……はっ!?ま、まずい、余りにも予想外すぎて少し気を失っていた……!
「え、エラちゃん!?その話詳しく!」
「ちょっと来なさい!」
「……えっ?」
食事を持ったエラたちは俺らとは別の席にいってしまった。
……何をするつもりだ?俺にはさっぱりわからん。
「ルーナ君はどう思うんだい?」
「俺は特に……、まぁ嫌いじゃない求められたら付き合うのも吝かではない。」
「……それ、あの二人の前で言っちゃいけないぞ……。」
「……分かってる。」
男二人、小さな、本当に小さな約束をした。
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「……あの糞ウサギ……始末してやりましょうか。」
「ディアナちゃん……。ウチにはアースリアちゃんの後ろにドラゴンが見えるのだけど……気のせいか?」
「ツバキ、大丈夫だよ……。私も見えてる。」
「はむっ、はむむっ!」
「クレアちゃんはちょっと落ち着いて食べようよ……。」
奴隷たちは皆元気です。
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朝食を食べ終わった俺らは何時ものように教室に来た。
てか、エラたちはどうしたんだ?もうそろそろ授業の時間だけど……。
「……ルーナ。」
俺の隣の席に少し疲れた顔をしたエラが座った。
な、何があったんだ……?一応、Aランク冒険者であるエラが何故疲れているのか気になるところだが……まぁ、竜の尾を踏みたくないし、聞かないでおこう……。
「……女性は恋愛話になると……怖い。」
「……。」
そのまま、エラは机に突っ伏して眠ってしまった。
……はぁ、授業になったら起こしてやるか……。
「あの……。」
「ん?どうかしたのか?」
桜色の髪にヘッドフォンのような物を耳につけた狼の獣人の女子が俺に話しかけてきた。
俺と殆ど面識なかったはずだけど……どうかしたのか?てか、名前なんだ?
「あ、私の名前はメリア・アルストロと言います。」
人の心をよむなよ……顔に出てたか?
「あ、いえ、私の加護は『読心』でして……人の心の声が聞こえるんです。」
「あ、そうなんだ。」
これはまた応用な聞きそうな加護だな……。けど、あまり人には好かれなさそうな加護でもあるな……。
「……あの、無表情でそこまで考えていたのですか?」
「ん?あぁ、心を詠むって色んなアドバンテージがあるなって思ってな。それで、何のようだ?」
そろそろ授業の時間だし、とっとと話してくれ。
「えっと……その……す、すみません!!」
そのままメリアは走って教室を出ていってしまった。
……結局、何がしたかったんだ?
「全員席につけー!」
レティーナがメリアの服の首もとを掴み、引きずりながら教室に入ってきた。
「さて、今日は……『サラマンダー』と合同の剣術訓練を行うこととなった。」
レティーナが心底面倒くさそうに今日の授業を話す。
何か嫌なことでもあるのか?その『サラマンダー』の奴らに。
「剣術訓練は本来、二学年になってから専攻で行う物だが……シェムハ・アルヴ・ローンチ元教王が何者かに暗殺された。」
教王の暗殺ねぇ……まさか、俺の隣で眠っているエラが実行したなんて思わないだろうな。
「そこで、最低限の自衛のために剣術の訓練を行うこととなった。」
教王を暗殺したほどの暗殺者がこの近くに潜伏しているとなると、魔法での攻撃よりも剣のほうが効果があるかもな(笑)。
「取りあえず、寝ている者を起こして、グラウンドに集合せよ。鎧を持っていない者は訓練用革鎧を来てくるように。」
話終えたレティーナはメリアを置いて教室を出ていった。
「……行こう、ルーナ。」
「……起きていたのか。」




