『サラマンダー』
ここで一つ、この学園の設備について話そう。
この学園には三つのグラウンドがある。
一つ目は騎士派練習場。
学園の授業や行事で主に使われる場所だ。医務室にも近く、一番面積も広いのが特徴だ。また、将来騎士を目指す者たちが日々、ここで剣の腕前を高めている。
二つ目は魔法派練習場。
主に将来魔法使いを目指す者たちが使う場所だ。特徴として、研究棟に近くこの学園内で魔力が溜まりやすくなるように設計されている。
三つ目は隷属練習場。
主に奴隷たちが使う場所だ。
規模は最小ながら辺りに巨大な結界が張られている。また、諸外国から攻めいられた場合、貴族たちの避難所となる。
……奴隷たちに人権はないから全員放り出されるけど……。
「……なぁ、ケネス。」
「どうかしたんだい、ルーナ君。」
「……何であんなにギスギスしているんだ?」
俺たちは騎士派練習場に到着して、先に来ていたクラスメイトたちの雰囲気に若干引きながらケネスに理由を尋ねる。
『サラマンダー』と『ノーム』、二つのクラスが何故か睨みあっているのだ。
『サラマンダー』の生徒は全員が赤をベースとしたミスリルと呼ばれる金属でできた鎧型魔道具を装備している。対して『ノーム』は半分くらいの生徒が茶をベースとした鉄製の鎧型魔道具を装備し、もう半分は練習用の革鎧を着ていた。
何処をどう見ても武装の材質とかがおかしいのだが……。てか、高級素材であるミスリルの鎧型魔道具とか何で使ってるんだ?俺だって少ししかミスリル製品を持ってないのに。
「見るからに武装が違うのだが……。」
「それは『サラマンダー』の人たちをよく見れば分かると思うけど……。全員が貴族、その上最低でも侯爵なんだよ。」
ケネスがサラマンダーの生徒を見ながら少し怒り気味に話す。
貴族の上、爵位もそこそこ高い。更によく見ると大半がヒューマンで占められ、エルフやドワーフたちも居心地が悪そうな顔をしている。
「ルーナ君は知らないと思うけど、クラス決めには一定の法則があるんだよ。」
「法則?」
「『サラマンダー』は貴族階級が大半、特にヒューマンが多い。『シルフ』は騎士階級が大半、獣人が多い。『ウンディーネ』は貴族平民拘らず女性が多い、特にエルフが半分くらい占めている。そして『ノーム』は問題児、異端児の集まりなんだ。」
この学園のクラスの法則を言った後ケネスは呆れながら歩き始め、俺も隣を歩く。
問題児に異端児の集まりねぇ……。エラや俺、ケネスはそれぞれ悲惨な過去や複雑な家庭環境で育ったけど……他の奴らもそんな過去や環境で育ってたのか……。
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それぞれの集合場所に集まった俺らの前に筋肉質なスキンヘッドのヒューマンの男と神経質そうな顔立ちに分厚い眼鏡を掛けた男とレティーナが歩いてきた。
筋肉質な男は恐らく今回の演習の教官だろう。神経質な分厚い眼鏡の男は恐らく『サラマンダー』の担任か。
「俺の名前はウォード・ゼルン。元騎士団長であり、この学園の教官でもある。」
スキンヘッドのウォードが俺らの前に立ち、大声で自己紹介する。
さて、どんな訓練をするんだ?
「さて、まず君たち二つのクラスには私に剣か魔法、どちらかを当てて貰う。無論、爵位や身分に関係なく行くぞ。」
ウォードの言葉に二つのクラスそれぞれ戸惑う。
『ノーム』は攻撃を加えることに戸惑い、『サラマンダー』は爵位や身分に関係なく行うことに不満をもつ。
成る程、騎士団長だから自分の体を使い動きを見るつもりか。てか、『ノーム』はともかく『サラマンダー』の奴らは戦いのなん足るかを知らないのか?戦いにおいて身分や爵位なんてどうでもいいんだぞ?
「まず『ノーム』から見させてもらう。『サラマンダー』の生徒たちは後ろに下がっていてくれ。」
ウォードが言うとあっさりと『サラマンダー』の奴らは下がって行く。
何か嫌な予感がするが……まぁ、いっか。
「まず、役割を決めよう。」
ケネスが皆に話しかけた。
役割ねぇ……確かに有効だけどどうするんだ?
「レティーナ先生と前に戦った時、僕たちは何も出来なかった。出来たのはエラやルーナくらいだ。だから役割を決め、行動を見直そう。」
「俺は問題ない。」
「私もよ。」
クラスのほぼ全員がケネスの意見に賛成した。
「まず、ルーナとエラは間違いなく前衛だ。二人とも高い近接戦の実力を持っているからな。また、シルク、アビー、騎士志望の人たちも前衛だ。また、魔法科志望の人たちは後衛を頼む。兎に角使える魔法をバンバン撃ってくれ。」
ケネスは俺たちに大雑把な指示を送る。
今回の訓練の場合、練度がまだ低い人が多い俺らにとって元々上手く動ける事を求めてはそれ以上、それ以下の動かれるとただでさえ上手く連携の取れない俺らにとっては連携が更に連携が上手く機能しなくなる。
「おーい、もういいか?」
「問題ありません!」
ケネスがウォードの言葉に反応し、応答する。
「よし……ではレティーナ先生。」
「……えぇ。」
凶暴な笑みを浮かべたウォードはレティーナに声をかける。すると、レティーナはポケットから一枚のコインを取り出す。
「では、このコインが地面に落ちた瞬間訓練を開始します。ルールはウォードが降参するか私が中断させる、または貴方たちが全滅するかのどれかで終了となります。また、魔法の使用は非殺傷のみ使用可能とします。」
レティーナは大雑把な説明の後、コインを上にあげる。
「[我が体に力を宿せ、無にして有の精霊よ。『フォーム・アップ』]」
「[青き水のせせらぎよ、私の体に潤いを、流れるような力よ『アクア・ダッシュ』]」
「[夜風・闇夜纏]」
前衛のそれぞれが身体能力を底上げする魔法を自身にかける。
そして、コインが落ちる
「始め!!」




