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不幸な転生エルフ、復讐を誓う~怪物と呼ばれ異端の力を使い惨劇を~  作者: 月のウサギ
第一章 邂逅と第一の復讐
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閑話 月の始まり 後中編

「……見つけたぞ。」

俺は息を潜ませながら他のメンバーに伝えた。

俺たちは森の中を駆け回り、遂にゴブリンロードたちを見つけることができた。

が、


「……敵が多いな。」

「はい。しかもCランクの魔物、ホブゴブリンですよ。」

敵の姿を確認しつつ、俺とエリカは意見を合わせる。

相手も馬鹿じゃない。自分の周りただのゴブリンの上位互換である優れた部下(ホブゴブリン)を置くのは当然か。

「お前らに二つ伝えておきたいことがある。……一つ目、俺は指揮しない(・・・・・)。」

「「「「……え?」」」」

「相手は俺たちよりも格上、しかも指揮が今日初めての俺では全員の全力をだせれない。」

俺は登録して数ヶ月の新人だ。自分よりも格上の相手と戦っていて他のメンバーに指示を出せるほどの経験はない。

「二つ目は完全を夢想しろ。これが無詠唱の絶対的な秘訣だ。」

「「「「……!」」」」

無詠唱の秘訣を教えるのは僅かにでも生存率を高めるためだ。でも、これを使えるかは仲間たちの努力次第だ。

「じゃあ……行くぞおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

大声をあげつつ、木に飛び乗り、月夜に飛び出て


「[夜風・旋風落とし]」

体を包み込むように黒い風を纏い、一気に急降下し、地面に触れた瞬間全てを吹き飛ばす。


戦いが……始まった。


=======

「はああああああ!」

「グギャ!」

俺っちの剣がホブゴブリンの剣を弾き飛ばし、がら空きの胴をひと突きで穿つ。

「ギギャア!」

「せりゃあ!」

後ろから襲ってきたホブゴブリンはジャスミンの杖で弾き飛ばして、俺っちの蹴りで殺す。

「数が……多い!」

「確かにそうですね…。」

俺っちらは二十体越えた辺りからホブゴブリンの数えるのを止めた。

他の仲間たちの心配をするのも止めた。

ここまでしないと勝てる見込みが……正直ない。

俺っちはリーダーやエリカみたいに頭が良いわけではない。ジャスミンをエラみたい技術に優れているわけでもない。

なら……俺っちは俺っちの出来ることをやるだけだ……!

「……ジャスミン。」

「……何?」

「強化魔法使えるだろ?かけてくれ。」

襲ってくるホブゴブリンを剣で切り裂きながらジャスミンに乞う。

「……今は頑張って。こいつらを癒す(殺す)。」

俺っちはエルフやドワーフじゃないからわからない。けど、この大気中が痺れるような感覚……。ジャスミンがとんでもない魔法を放とうとしていることだけわかる。

「ギギャア!」

ジャスミンが魔法を詠唱しようとした直前、ホブゴブリンの一匹が剣を投げてきた。

不味い!魔法使いは魔法を使おうとするさい、致命的な隙になる。守らないと!?

「[ドロップアウト・ハデス]」

つき出した杖から凄まじい光の奔流が流れ、光に呑み込まれたホブゴブリンたちは、一匹残らず爆散した。

はっ……?しかも、さっき詠唱を全くしていなかったよな……?

「タガを外した回復魔法はまさに攻撃になるのですね。……アルン、避けて!」

「ギシャア!」

「うわぁ!?」

不味い、俺っちを巻き込まないようにしたから俺っちの近くのホブゴブリンが殺されてなかった……!あ、死んだ……俺っち。

「死んでたまるかああああ[模倣:巨人の右手タイタンライトハンド・レプリカ!」

俺っちの目の前に地中から大きな人の右手かホブゴブリンを掴み、握りつぶす。

あれ……?俺っち、何であっさりとできたんだ……?魔法は目の前にあるものしか創れなかったのに……?

(あっ……リーダーの助言。)

リーダーは無詠唱には完全な夢想が必要だと言った。俺っちの魔法もイメージが一番重要だ。無詠唱と俺っちの魔法は……似ている。

「ギシャア!!」

「掴んで!」

再び奇襲を仕掛けたホブゴブリンを巨人の右手で握りつぶす。

今は考えているどころじゃない!目の前の敵に集中するぞ!

「……あわせて、アルン。」

「……わかった。」

俺っちとジャスミンは互いに背中合わせの状態になった。

「背後は…!」

「任せた!」

再び、俺っちとジャスミンは目の前の敵に目掛け、攻撃を再開した。


=======

「[フレイム・リボン]!」

「「「「キキギシュシア!!」」」」

僕か杖から生み出した炎のリボンは複数のホブゴブリンを苦しむ隙を出さずに丸焦げにする。

敵が多すぎるよ……。僕一人だったら確実に負けてた。

けどね。


「……シッ!」

「「「「ーーーー!?」」」」

私の後ろのホブゴブリンはエラが音を出さずにナイフで斬り殺す。近接戦のエラと中・長距離戦の僕。ここまで良い相性の人はいないだろう。

「[エアロ・ドーム]」

前方にいたホブゴブリンたちをドーム状の風の結界に閉じ込める。

この方法、ルーナ君から無詠唱を教わらなかったらまず不可能な方法だったけど……ちょっと試してみようか。

「[フレイム・ブレス]」

僕の突き出した杖から生まれた火の息吹きがドームの中に流れ込む。

「シシャア!」

「……!?」

あ、またエラがホブゴブリンを不意打ちで殺した。

今のところ一緒に戦っているからわかるけど、エラは殺意なんかが余りにも希薄のようで、まるで呼吸するかのような自然の動作でホブゴブリンたちを暗殺している。

(……恐ろしい才能。)

僕は内心、エラに恐怖した。

エラの才能は冒険者よりも暗殺者に向いた才能。もし、敵に回ったら僕は何もできずに心臓にナイフを刺されてしまうだろう。

「いや、今は考えなくてもいいですね。[解除]」

僕が風の結界を解除した瞬間、辺り一帯に強い熱風が吹き荒れた。

(熱い……。熱すぎて呼吸が……出来ない!)

ここまで熱いのなら中のホブゴブリンたちは既に灰でしょう。だけど、ここまで熱いと自分にまでダメージが入ってしまう……!


「はぁ……はぁ……。」

数秒したら熱風は収まってきた。

ローブからでている部分……顔は除く……がヒリヒリして痛い。焼けただれてないけど、軽く火傷を負っている。後でジャスミンに回復してもらおう……。


「……エリカ。まだ敵は多い。油断できない。」

「わかってる……。」

なら、まだまだやってみたいコンボがあるから……ちょっと試しても問題ないよね?


この閑話は本編に影響することが幾つか書かれてます。

・ギルドの闇

・ルーナやエラを除く、三人の異端者

・ルーナの精霊魔法

これらがどう本編に関わってくるかは……本編をお楽しみに。次回で閑話は終わります。


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