勇者との決戦
「ぐ……ぎっ……。」
「お前に罪はないけど……失せろ。」
両足を切り落とされた少女の上に乗って首をへし折る。
あれから俺は目につく奴等を片っ端から殺していった。ここまで大衆の面前で殺した後を考えずに殺せるのはありがたいことだな。
最も、参加者たちは本当に殺される『恐怖』を植え付けられることになるが……それは糧だ。上に至るための材料だ。冒険者の上位の実力者の多くが『死』という恐怖を知っている。そうでなければ……既に死んでいる。
『おーい、リーダー。聞こえるかー?』
「……やはりか。」
俺はアルンの声が聞こえた腕に着けた魔道具を見つつ岩影に隠れる。
この腕に着けた魔道具は地図でもあり通信も可能なのか。……これ、普通に欲しいな。売ったら高くつきそうだ。
「そっちはどんな感じだ?」
『うーん、結構殺したよ。リーダーの方は?』
「こっちもだ。……おおよその雑魚は消えたと見ていい。ここからが正念場となるだろう。」
『へへっ、俺っちも、エラも、エリカも、ジャスミンも同じ意見だぜ。……もう切るぜ。』
「おう。……!」
アルンと通信を切った瞬間、近くの地面に何かが当たり、辺りに大きな発砲音が鳴り響いた。
発砲音!?つまり、ここにいるのは……!勇者か!!
「こっちにいる!」
「はああああああああああああ!」
焦ったような声音の聞いたことのない男の声と共にユウヤの剣が俺の背中の岩を切り裂く。
殺気によって位置を理解した俺は振り向きざまに剣を振るい
「せえええい!」
「なっ!?」
割り込んできたアカネの高速で抜刀された刀に切り落とされる。
おいおい……あのときは全力じゃなかったのかよ……!!
「まずっ……!」
切り落とされた瞬間に後ろに跳ぶが深く踏み込んだアカネの刀を避けきれずに袈裟斬りにされる。
痛みのあまり上手く受け身を取れずに斜面を転がり、近くにあった岩で止まる。
ちっ……!
「昨日の借りは代えさせてもらったよ、ルーナ君。」
「ちっ……。いや、いいか。お前らは俺が潰す。」
剣を地面に突き刺してこちらを睨んでくるタクヤを睨みつけながら狂気的な笑みを浮かべる。
こいつらは確実に俺が『殺す』。大会だろうが関係ない。『死』という恐怖を味わわせずに生きた果てを俺は知っている。知っているからこそこいつらの中にいる屑をこの世界で『殺す』。
それもまた……悲劇を繰り返さないために。
「……[夜風
「遅いーよ!」
俺が夜風を使おうとした瞬間、リボルバーライフルで速打ちをしてくるスズネから身を翻して弾を避ける。
銃って言うのの引き金が引かれるのとほぼ同時に弾が飛び出す仕組みなっている。逆に言えば引かれそうになる引き金を止めることは出来ない。
「せりゃあ!」
「はあ!!」
・風翼]!」
背後と前方から現れたカガリとタクヤを両腕に帯びた黒い風で吹き飛ばし、腕を羽ばたかせタクヤの胸に蹴りを打ち込む。
「ぐふっ!」
「がっ!!」
「[夜風・乱風扇]!」
そのまま飛ばされそうになる二人を幾重にも重なる黒い風の扇が更に二人を吹き飛ばす。
「させるか!」
「はああああああああ!」
ユウヤとアカネは走りだし地面を蹴り二人を空中でキャッチする。
闘いにおいて……背中を見せるのは絶対にやってはいけないことの一つだぜ!
「[夜風・夜刀『演』]!」
「がっ!?」
「うっ……!?」
背後を見せた二人に向けて黒い風の帯が迫り、空中にいるせいで避ける事が出来なかった二人の背中を切り裂く。
「……あまいぜ。」
「なっ!?」
殺気駄々漏れでリボルバーから放たれた弾丸を夜刀で切り落とし、スズネが隠れていた岩ごと切り刻む。
ふむ……人を斬った感触がないな。ギリギリのところで避けられたのか。
「強い……!」
「これが、ルーナ君の本気か……!」
「ルーナ、お前は一体何者なんだ!?」
「くっ……そっ……。」
アカネが、ユウヤが、タクヤが、カガリが、それぞれ俺を戦意ある目で睨み付け、俺も返すように睨み付ける。
そう、それでいい。そうでなければ……惨たらしく死ね。
「皆さん、回復しま
「させると思ってんのか?[夜風・滅弾丸]」
岩影から飛び出て四人を回復しようとしたリリカに黒い風の弾丸を撃ち放つ。脳天に直撃した風の凶弾はリリカの脳を破裂させて白い光と共に消えた。
まずは、一人。
「なっ!?」
「この世界は人を殺しても問題ないっぽいからな。殺してもいいだろう。」
「でも、普通なら殺さないはずだよ!?」
「そんな良心はあの日に壊れた。」
俺に向けたユウヤたちの抗議の声に冷酷な声で答える。
あの日に俺は良心は壊れたんだ。高々この程度のことで心に響くとでも思っていたのか?
それに……本気で、全身全霊で殺してやるよ。
「喰らえ!『ブレイブ・ノヴァ』!」
「『天華千輪』!」
「『バースト・パニッシャー』!」
「『復讐者』
ユウヤは構えた剣から放つ光を、アカネの抜刀から生まれた華の攻撃を、カガリの気を溜めた拳の衝撃を純黒の闇を纏った両手で弾き飛ばす。
復讐者。俺の奥の手であり、魔力その物。魔力が自分の感情と魂によって決まるのならそれを表面化……自分の魂の形を現実化させれるかもしれない。そう思って作り上げたものだ。
この状態は俺の魔力が暴走状態になるがそれを完全に制御することで強靭な刃になり、または強固な盾にになる。そして、俺の魂の形は
「それは……剣!?」
「なんだそれは!?」
「なんじゃそりゃ!?」
俺の両手に持ったものを見たアカネたちは驚きに目を見張る。
俺の両手に携えた物は左手には白い刀、右手には黒い刀。しかもしなっている所には白い刀にはアザミが、黒い刀にはシロツメクサが描かれている。
どちらも、『復讐』の花言葉を持った華だ。まさに、俺の心その物か。
「俺も本気で殺す事にした。もう、容赦も加減もしない。殺すよ。」
「「「「ッ!!」」」」
「もう二度と攻撃できると思うな。[夜風・『剣式』夜刀]」
二つ剣から放たれる黒い風の剣撃が勇者たちを襲うが全員がギリギリのところで避ける。
最も、それは予想通りだが。
「[夜風・『剣式』風殺陣]」
「ぐあっ!?」
幕のように生み出された黒い風の剣撃が全員を均等に襲う。
その黒い風の鎌鼬の斬撃を避けきれなかったカガリは身体中を切り刻まれで白い光に変わった。
これで、二人。
「はああああああああ!」
「[夜風・『剣式』上弦]」
二人もの仲間を斬られたためかまともな理性を残せなかったアカネががむしゃらに刀を振り回すが俺の刀が僅かな隙を見えた瞬間に黒い風の剣で四等分にりおとして白い光に変える。
これで、三人。
「うおおおおおおおお!!」
「[夜風・『剣式』下弦]!」
自分に残った力を振り絞ったユウヤの剣と黒い風を纏った双刀がぶつかり合い、鍔競り合う。
俺の『夜風』の中でも最高速度の下弦と打ち合えるとは……敵ながら見事だ。
「いまだ、やれ!」
背後を見ると後ろに回り込んだスズネがこちらに向けて銃を突きつけていた。
まずい、避けれねぇ!!
「くひひっ」
狂気に満ちた笑い声と共に放たれた弾丸は
「えっ……?」
仲間であるユウヤの眉間に撃ち込まれた。




