別れと決意
「ひっ、ひぎゃあああああ!?」
「うるさい。」
「ひぎっ!?」
俺は最後の盗賊の体を細切れにした。
あの後からルーナはひたすら盗賊たちを殺していった。ある者は頭を飛ばされ、またある者は肉片しか残らないほど細切れにされた。昔の俺を知る人が見たら口を揃えて「あり得ない」というほどの惨状だな……。
ま、それを平然と行う程俺はきっと残酷な性格となってしまったんだろう。
「ん、雨か?」
俺が盗賊を殺し終わってしばらくしたら曇天の空から雨が降り始めた。
「ま、今の俺には雨の方が似合っているか。」
様々な小説とかで悲劇に見舞われた主人公に雨は降り注ぐものだけど、確かにその通りなのかもな。
(……、生きていたら、セレナ母さんやクリオラが洗濯物をしまってたんだろうな。)
もう、俺には帰る場所も、大切な家族も、なくなってしまった。
その事を俺はこの雨の中、その事実を再確認した。
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その後、俺は山を降り村だったところに戻った。死んだ人たちの死体を埋葬するためだ。
「…………」
俺は無言で死体を集めていく。
多くの死体は焼け焦げており、また、いくつかの女性の死体は服が破られていた。恐らく、グシウスが陵辱した女性だろう。
また、クリオラ以外の家族の死体も見つけた。
セレナはグシウスに陵辱されたのか服が敗れ、肌が見えており、口から涎を垂らし、首に手の跡を残して死んでいた。
オレガノは頭に大きな打撲傷があり、吐血して死んでいた。
一番ひどいのはカイだ。カイの死体は身体中のほぼ全ての場所に切り傷がつけられていて、傷が無いところの方が少ないほどだ。その上、体の主要な血管には傷がほとんどつけられていなかったため、長い時間苦しんで死んだんだろう。
「……ひどい。」
改めて俺は勇者たちがこれ程の殺人をおこしながら、何一つとして罪の意識がないことに恐れおののき、マグマのような怒りを覚えた。
それを心の中に押し込め、村人の死体を集めていった。
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「よし、これで全部だな。」
村人の死体を全て広場だった場所に集めた。そして、俺は家だったところからスコップを持ち出し、穴を掘っていく。
(あんなに凄惨なことが起きたのに、火葬で何もかも失くすのは忍びない。それに……、焼け死んだ奴もいるし、もう一度焼くのはなんか嫌だ。)
俺は悲しみの余り、目から涙を流しながら穴を掘っていった。
「よし、できたな。」
数時間が経過した頃、ようやく俺は村人全員が埋めれるだけの数の穴を掘り終えた。
「よいしょっと」
そして、村人の一人を担ぎ上げ、穴の中に入れて土を被せた。そして、盛り上がった土の上にそこそこ大きな石を置いた。
そうして村人の死体を一人一人穴の中に埋めていった。
そして、残ったのはルーナの家族だけとなった。
「………、母さん。」
初めてこの世界で見た時の記憶、初めて母乳を飲んだ時の記憶、今までの愛された記憶を思い出しながら俺は母親であるセレナの死体を穴の中に入れ、土を被せた。
「……、父さん。」
初めて魔法を見せてくれた記憶、初めてこの世界のことを教えてくれた時の記憶、教えてくれた時の記憶を思い出しながら父親であるオレガノの死体を妻のセレナの隣の穴に入れ、土を被せた。
「……、兄さん。」
初めて一緒に狩りをした時の記憶、一緒にセレナ母さんに怒られた記憶、楽しかった記憶を思い出しながらオレガノの隣の穴に入れ、土を被せた。
「………、クリオラ。」
産まれてきた時の記憶、慕ってくれた時の記憶、そして自分の腕の中で死んでいった時の記憶、いとおしい記憶と煮えたぎるような憎しみの記憶を思い出しながらカイの隣の穴に入れて土を被せた。
「……いってくるで。必ず、成し遂げて見せるからな…。」
そうして俺は村から出ていった。
(……、あいつらに復讐するにはどうすればいい。)
(あんなに復讐するには力が足りない。)
(力を付けるにはどうすればいい。)
「……魔導学園。」
ぽつりと、俺は言葉を発した。
魔導学園は父親であるオレガノが勤めていた学校であり、魔法や剣術などを習える学校である。
貴族と平民はこの学校の中では対等な立場で生活する、とオレガノが俺に学校での生活を話していたな。
「取り敢えず、まずはその学校に入って力を付けよう。もう二度と、自分の大切な人たちを守る為に、そして自分の幸福を掴むために、復讐する力をて手に入れる為に。」
ルーナは決意を新たに歩きだした。
ー復讐の果てに何もなくても。
ここから数話ほどルーナの昔話が始まります。
嫌いな人は飛ばしてもかまいません。
なお、時系列は無茶苦茶です。




