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8 狂気

挿絵(By みてみん)


「俺がハリエットを殺した。」


ベンヤミンは罪を告白した。


「貴方が何を見たのか、何をしたのか、すべてお話ししてくださいますか。」


カメリアの言葉で、ベンヤミンの淡い瞳が虚に濁る。


「俺がこの教会の裏庭に来たとき、ハリエットは先についていて、ちょうどハリエットとランドルフと再会したところでした。

俺は2人を邪魔しないように、建物の影に隠れました。」


許されない恋に落ち、悲劇に引き裂かれた2人。

彼らは感動の再会をした。

そこに、ルイスが現れた。


「ルイスは最初から、ランドルフを殺すつもりでした。

裏庭に足を踏み入れるやいなや、銃をランドルフにむけた。

ランドルフは抵抗する間もなく殺されたんです。」


ルイスはランドルフの右胸を撃った。

ハリエットを手に入れる為、ルイスは恋敵を殺したのだ。

しかしハリエットはルイスを拒んだ。


「ルイスは泣き叫ぶハリエットを無理やり連れて行こうとしました。

ハリエットはランドルフの持っていた銃をとって、ルイスを撃ったんです。」


右肩を撃たれたルイスはゆっくりとその命を終わらせた。

そんなルイスに目もくれず、ハリエットはランドルフに縋りついた。

彼女の前に、ベンヤミンは姿を現した。


「カメリア様の言うとおり、俺はルイスが手にしていた銃でハリエットの眉間を撃ち抜いたんです。」


ベンヤミンは淡々と語った。


すべての惨劇を1番近くで見ていたベンヤミン。

そんな彼が、なぜハリエットを殺したのか。


私は彼に「どうしてハリエットを殺したんですか。」と問うた。

ベンヤミンは顔を歪めた。


「許せなかったんです。

自分だけ生き残ったあの女のことも、何もせずただ見ていた俺自身のことも。」


ベンヤミンの目から涙がこぼれ落ちた。


「テオとルイス、ランドルフ、マルセルだって、みんなあの女のせいでおかしくなって死んでしまった。

あいつは報いを受けるべきなんだ。」


惨劇を目の前で目撃し、家族も友も失ったベンヤミン。

彼の深い悲しみは、ハリエットへの憎しみに変わった。


「ハリエットを殺すことが俺が背負う罪だと思った。

だから殺したんです。」


若者たちが愛と狂気に取り憑かれた惨劇の中で、ベンヤミンは自分1人なんの罪も負わずに生き残ることに耐えられなくなった。

彼もまた、狂気に取り憑かれたのだ。


カメリアは「お話ししてくださりありがとうございます、ベンヤミン様。」と微笑みかけた。

そして彼女は「ひとつお聞きしたいことがございますわ。」と言う。


「貴方はなぜ、明け方に教会を訪れたのですか。」


「手紙をもらったんです。

ランドルフとハリエットが明け方に教会で会う、2人を恨んでるルイスもそこに来るかもしれない、と。」


ベンヤミンは「差出人は誰だかわかりませんでしたが…。」と視線を落とした。

カメリアは「やはりそうでしたのね。」と言う。


「この事件には、黒幕がいますわ。」


私は「どういうことですか、カメリア様。」とカメリアの顔を覗き込んだ。


彼女はブラウンの瞳を知性的に輝かせて言うのだ。


「これは悲劇の恋物語などではありませんわ。

計画的に引き起こされた殺意の連鎖なのですわ。」








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