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7 弾丸

使われた弾丸は3発。

ルイスの遺体のそばにあった銃から2発。

ハリエットの遺体が手にしていた銃から1発。


最初に撃たれた弾丸はどれだろうか。


私は頭を捻った。


「ランドルフは銃を持っておらずハリエットが撃ったのは1発ですから、ルイスを殺した後ランドルフとハリエットが心中したというのは考えにくいですよね。」


レストレード警部が「ええ、そのようですな。」と頷いた。



「最初にルイスがランドルフを撃ち、次にハリエットがルイスを撃つ。

そして瀕死のルイスがハリエットを撃った、というのはどうでしょうか。」


この考えはレストレード警部によって否定された。


「ルイスは右肩から鎖骨下の動脈を撃ち抜かれています。

大量に出血している上に彼は右利きですから、右肩を撃たれた状態で正確に狙いを定めるのは困難でしょうな。

しかし、ハリエットは眉間を撃ち抜かれていますから、確実に急所を狙われています。」


右肩を撃たれた後のルイスには、ハリエットの眉間を撃つことはできない。


「では、ランドルフを殺されたことに怒ったハリエットがルイスの拳銃を奪ってルイスを撃つ。

その後、ハリエットがランドルフの後追いをした、というのは。」


レストレード警部は、「銃を持っている相手に襲いかかって銃を奪うのは、ハリエットのような戦い慣れない女性には難しいでしょうな。」と言う。


「それにハリエットの遺体は銃を持っていたのです。

危険を犯してまでルイスの銃を奪う必要がありません。」


私はこれ以上思い付かず、小さく唸った。


「カメリア様はどう思われますか。」


カメリアは、「ひとつ仮説を思い付きましたわ。」と微笑む。


「それを確かめるには、ある方にお話を聞かなくてはなりませんわ。」





「お加減はよろしいですか、ベンヤミン様。」


カメリアに問われたベンヤミンは、青い顔で「ええ、なんとか。」と答えた。


「立ち直るには時間がかかりそうです。」


「ご友人と従兄弟を亡くされたのですから、無理もありませんわ。」


ベンヤミンは「まさかこんなことになるなんて、思いもしませんでした。」と俯く。


「あの生真面目なルイスがランドルフを殺すなんて。

ハリエットも、人を殺すようには見えなかった。」


カメリアのブラウンの瞳がベンヤミンを見つめる。


「ベンヤミン様、私はこの事件について仮説を立てておりますの。」


「仮説、ですか。

それはどんな?」


「ハリエットはランドルフに会いに教会に来ました。

2人は、ハリエットの後をつけてきたルイスと鉢合わせます。

最初にルイスがランドルフを撃った。

そして、恋人を殺されたハリエットがルイスを撃ったのです。」


私はカメリアに、「それではハリエットを撃つ人物がいないのではありませんか。」と聞いた。


「あの場にはもう1人いたのですわ。

その人物はルイスが持っていた銃を使ってハリエットを撃ったのです。

そして自分の存在に気づかせないために、銃をルイスの遺体のそばに残していきましたのよ。」


カメリアは「これが私の仮説ですわ、ベンヤミン様。」と笑いかける。


「そのもう1人はどこに行ったんですか。」


カメリアの冷静な声が「貴方にはお分かりでしょう、ベンヤミン様。」と断言する。


「教会で会った時、私はベンヤミン様に何があったのか訊ねましたね。

貴方は『殺し合いですよ。』と答えた。 

しかし警察は3人の遺体があったことしか公表していませんわ。」


「それは…。」


「さらに貴方は先ほどこうおっしゃった。


『あの生真面目なルイスがランドルフを殺すなんて。

ハリエットも、人を殺すようには見えなかった。』


誰が誰を撃ったのか、あの場にいなければわかりませんわ。」


ベンヤミンは言葉を失う。


「ベンヤミン様、貴方は見ていましたわね。」


「おっしゃる通りだ、カメリア様。

俺がハリエットを殺したんです。」

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