↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード:ヴァリアスワールド  作者: エトコッコ
天華天明篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/56

第6話「本部へ②」


閃と烈は、食事に向かうことにした。


日本支部の食堂は、一般的な企業と同じようなバイキング形式になっている。


しかし、イギリス本部は、まるで違った。


「…………」


閃と烈は、目の前に広がる光景を見て、再び立ち尽くす。


広大なフロアには、様々な飲食店が軒を連ねていた。


しかも、その多くが有名店と提携し、実際の店舗として出店している。


ファーストフードから本格的なレストラン、カフェ。


種類も、和食から洋食まで様々なものが揃っていた。


「大型デパートの飲食フロアやん……」


閃が呟いた。


「いくらなんでも、すごすぎんだろ……」


烈も呆気に取られながら言った。


本部に到着してからというもの、2人は驚きっぱなしだった。


そして今度は、店が多すぎて、食事処を選ぶだけでも一苦労だった。


「烈、心を読んでやろうか」


閃が不意に言った。


「おう」


烈は即答する。


「“和食食いてぇ、味噌汁飲みてぇ”」


「大正解」


烈は真顔で答えた。


「……和食行こ」


「おう」


結局、2人は迷うことなく和食店へ向かった。



2人は「和食処・魚拓」という店に入った。


名前からして、どうやら魚料理が中心の店らしい。


席に着くと、すぐにUBが注文を取りに来た。


2人は、とりあえず日替わり定食を頼むことにした。


「なんか、違う意味でどっと疲れとる……」


烈はため息混じりに言った。


「俺らって、改めて田舎出身なんだなって思い知らされたな〜」


閃も頬杖をつきながら言う。


「やっぱ田舎が性に合うわ」


2人がそんな雑談をしているうちに、先ほどのUBが日替わり定食を運んできた。


2人の前に、焼き魚を中心とした料理が並べられていく。


「うぉ!本格的な魚料理だな!」


烈が目を輝かせる。


「うまそう!」


閃も身を乗り出した。


「コチラノ料理ハ、スベテ天然物ヲ使用シテオリマス」


UBが説明する。


「え!?」


その言葉を聞いた瞬間、2人は同時にUBを振り向いた。


「そ、そういや値段見てなかった……」


閃の表情が僅かに引きつる。


「閃サマト烈サマノオ食事代ハ、スベテコチラデ負担サセテイタダキマス」


「え……いいんですか?」


閃が聞き返す。


「ハイ。マーク本部長ノ意向デゴザイマス」


「マジか……」


閃は少し驚いたように料理を見る。


「至れり尽くせりだな……」


烈はしみじみと呟いた。



2人は日替わり定食を食べ終え、店を出た。


「美味しかったぁー……」


閃は満足そうに言った。


料理はどれも想像以上に美味しく、2人とも大満足だった。


「まさか、普段からこんな天然物食べられるとはなぁ……」


烈も感心したように言った。


日本では、天然物は特別な日などに食べるのが一般的だった。


それを普段の食事として出しているあたりも、2人にとっては驚きだった。


「EDエリア行かない?」


閃が言った。


「そうだな。行ってみるか」


烈も頷く。


食事を終えた2人は、そのままEDエリアへ向かうことにした。



「うお……広っ」


やはりというべきか、ここも日本支部とは比べものにならないほど広い。


そんな中でも2人が真っ先に目を奪われたのは——エウリューラだった。


ワイバーンレギオンとの戦闘ログで、その存在自体はすでに知っている。


しかし、そのログは、あくまでエウリューラのコクピット視点から記録されたもの。


そのため、機体の外観まではほとんど分からなかった。


閃と烈にとって、トルーパーやファクターズの専用機以外のEDを実際に見るのは、これが初めてだった。


2人はエウリューラの前まで行き、機体を見上げる。


「すげー細いな」


烈が言った。


「いかにも空戦特化って感じ」


閃も興味深そうに機体を眺める。


「たしか、ファクターは風だっけか?」


「うん。音と同じ」


風のファクターが操るED。


しかし、音のツムギとは、そのフォルムも設計思想もまるで違っていた。


「同じ属性でも、こんなに違うもんなんだな」


烈はエウリューラを見上げながら言った。


初めて目にするEDに、2人は新鮮な気持ちで機体を眺めていた。



バサラヲとレンゴクも、同じフロアに格納されていた。


その2機の周囲には、人だかりができていた。


閃と烈がエウリューラを珍しがったように、本部の人々からすれば、バサラヲとレンゴクもまた珍しいのだろう。


しかし——


珍しがられているのは、機体だけではなかった。


(わぁ〜めっちゃ見られてる……)


閃は周囲の視線を感じながら思った。


2人の姿に気づいたスタッフたちが、明らかにざわついている。


どうやら、閃と烈自身もかなり注目を集めているようだ。


そんな中——


1人の男性が2人のもとへやってきた。


「あっ、君たちが閃くんと烈くんだよね?」


丸メガネをかけた、気の優しそうな男性だった。


「はい」


2人は頷く。


「初めまして。ボクはハーリー。ハーリー・カーター」


男性は笑顔で名乗った。


「ここのエーテル開発の主任をさせてもらってるんだ。よろしくね」


「ハーリー博士、よろしくお願いします」


閃が言った。


烈も挨拶し、2人はハーリーと握手を交わした。


「黒須博士は元気にしてるかい?」


ハーリーが尋ねる。


「元気……というか、いつも通りですね」


閃は少し考えながら答えた。


そもそも、黒須に“元気”というイメージがあまりない。


いつも眠たそうにしているか、タバコを吸っているか。


閃の中では、そんな印象だった。


「あはは、なら良かったよ」


ハーリーは笑った。


「日本に行った時は、よく黒須博士と居酒屋に行ってるんだ」


「そうなんすね」


烈が言った。


「そういえば——」


閃はエウリューラへ視線を向ける。


「あのEDは、ハーリー博士が開発したんですか?」


「そうだよ」


ハーリーもエウリューラを見上げた。


「君たちのEDと同じように、ファクターに合わせて設計しているんだ」


「エウリューラのファクター、大丈夫ですか?」


閃が尋ねた。


「うん。幸い、比較的軽傷で済んだよ」


その言葉に、閃と烈は安心した。


「そういえば、まだうちのファクターたちには会ってないよね?」


ハーリーが尋ねる。


「はい、まだです」


2人は頷いた。


「ふふっ」


ハーリーはどこか楽しそうに笑う。


「君たちに、すごく会いたがってるよ」


「うちの“シスターズ”がね」


「“シスターズ”……?」


閃は首を傾げた。


「会ったら分かるよ」


ハーリーは笑顔で答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。