表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード:ヴァリアスワールド  作者: エトコッコ
エジプト篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/30

第2話「案内人」


閃はエジプトの空港へ到着した。


入国審査を終え、無事に入国する。


預けていた荷物も問題なく受け取ることができた。


(わぁー……ついに外国に来たんだ)


まだ空港の中だというのに、目に映る光景は日本とはまるで違っていた。


初めて目にする景色に、閃は思わず周囲を見回した。


やがて気持ちを切り替えると、現地で合流する予定のエレシャ派の協力者を待つため、空港内のロビーへ向かった。



15分後。


「こんにちは」


不意に後ろから声を掛けられた。


閃が振り返ると、そこには褐色の肌をした40代手前ほどのスーツ姿の男性が立っていた。


「こんにちは」


閃は軽く会釈しながら挨拶を返す。


「“千野チヒロ”さん——で間違いないかな?」


男性は確認するように尋ねた。


「そうでやん……そうです」


いつもの口調が出かけたものの、閃は慌てて言い直した。


「待たせてしまってすまないね。私はギャッツ——“案内人”だ」


男性はそう名乗った。


彼こそが今回の案内人。


つまり——エレシャ派の協力者だった。


「ギャッツさん。よろしくお願いします」


閃は頭を下げた。


「こちらこそよろしく頼むよ。とりあえず、移動しながら話そう」


ギャッツはそう言った。


閃は頷くと、ギャッツの後について歩き出した。



ギャッツのエレカに荷物を積み込み、閃は助手席に腰を下ろした。


窓の外に広がる景色は、どれも閃にとって新鮮なものばかりだった。


見慣れない街並み、異国の人々、どこまでも続く空。


そのすべてに目を奪われ、思わず周囲を見回してしまう。


「エジプトは初めてかな?」


そんな閃の様子を見て、ギャッツは笑いながら尋ねた。


「はい。というか、海外自体が初めてです」


閃はそう答えた。


「そうか。エジプトもそうだが、ソランティス王国は美しい場所だよ」


ギャッツはどこか誇らしげに言った。


「楽しみです」


閃は笑顔で答える。


「ただ……今から向かう場所は、王都でも王国でもないんだ」


ギャッツが続けた。


「え?」


てっきりソランティス王国へ向かうものだと思っていた閃は、思わず目を瞬かせた。



「ある程度——オルフェでソランティスの内情は聞いているね?」


ギャッツは前を見据えたまま言った。


「はい」


閃は頷く。


「今現在、王都はギシャ派の支配下にある」


「そして我々エレシャ派は、王国外の各拠点に身を潜めている」


ギャッツは淡々と説明した。


「なるほど……」


閃は小さく頷く。


ギャッツの話によると、王都がギシャ派の支配下となったのは、今から約3か月前のことらしい。


「情勢としては、ギシャ派が優勢なんですか?」


閃は尋ねた。


「兵力という意味では、ギシャ派が優勢だ」


「しかし、国民の支持率はエレシャ派の方が高い」


「割合で言えば、6対4といったところかな」


ギャッツは答えた。


「そうなんですね」


閃は感心したように言った。


「まぁ、あまり情報を詰め込みすぎても混乱するだろう?」


「とりあえずは、少しずつ理解してくれればいい」


ギャッツは穏やかに言った。


「お気遣いありがとうございます」


閃は頭を下げる。


「チヒロくん——いや、閃くん。お腹は空いていないか?」


ギャッツは笑いながら言った。


ここまで来れば、もはや偽名を使う必要はない。


「空きました!」


閃は即答した。


「ははは!そうか!」


「なら、まずはレストランに行こう。好きなだけ食べてくれ!」


ギャッツは笑いながら言った。



その後。


いかにも高級そうなレストランで食事を済ませた2人は、再びエレカに乗り込んだ。


当然ながら、公共の場では当たり障りのない話しかできない。


食事中の会話から、ギャッツが不動産会社を経営していることも分かった。


整った身なりや高級なエレカを見れば、それも十分に納得できる。


エレカが走り出してしばらくした頃、閃はふと思い出したように尋ねた。


「そういえば、僕の“でっかい荷物”ってちゃんと届いてます?」


“でっかい荷物”——もちろん、バサラヲのことだ。


「もちろん。問題なく届いているよ」


ギャッツは笑顔で答えた。


(よかった……)


閃は胸をなで下ろした。


今回の任務において、バサラヲは欠かせない存在だ。


無事に到着していると分かり、ようやく安心できた。


その間も、ギャッツは目的地へ向かってエレカを走らせていた。


ただし、そのルートはどこか不自然だった。


最短距離ではなく、あえて遠回りをするように進んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ