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エーテルコード:ヴァリアスワールド  作者: エトコッコ
エピソードEX.1

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10/30

「メル再動」


閃はシャワーを浴び終え、食堂へ向かっていた。


その時——


突然、後ろから抱きつかれる。


「くぉっ!?」


驚いた閃のアホ毛がピンッと立った。


振り返ると、そこにいたのはメルだった。


「メル!久しぶり!!」


閃はぱっと表情を明るくする。


「せっちゃーん♡寂しかったァ♡?」


メルも満面の笑みを浮かべていた。


以前と変わらない、甘えるような口調。


だが、その服装には一つ変化があった。


赤いワンピースの上から、オルフェのブルゾンを羽織っている。


その姿を見た閃は目を輝かせた。


「おぉ!ついにメルもオルフェの一員になったんだ!」


嬉しそうに言いながら、閃はメルのツインテールを軽くつつく。


「えへへ~♡」


メルは機嫌よさそうに笑った。


エドワードの一件の後、メルは正式にオルフェへ所属するため、1ヶ月以上日本支部を離れていた。


そして今日、ようやく戻ってきたのである。


メルのオルフェでの役職は防衛隊員。


各国のオルフェ支部には、EDやファクターだけでなく、自衛戦力としてSD防衛部隊も配備されている。


もっとも、日本支部は少し特殊だった。


ファクターズに加え、訓練生も在籍しているため、SDによる防衛を必要とする場面がほとんどない。


そのため、日本支部に配備されているSDはわずか2機だけだった。


メルは、その貴重な防衛戦力の一員として正式に配属されたのである。



メルがオルフェへ入った理由について本人は、“ヒマだから”、あるいは“さすがにタダ暮らしするほど図々しくないから”——と軽い調子で話していた。


だが、それが本音なのかどうかは誰にも分からない。


元天華連盟の強化兵。


しかも最高戦力であるΩクラス。


その経歴を考えれば、本来なら簡単に受け入れられる存在ではない。


しかし、日本支部での生活態度や日頃の様子が評価され、危険性は低いと判断されたのである。


そもそもオルフェは、その組織の性質上、世界中の様々な勢力から狙われやすい。


さらにエーテル保有者の保護を掲げる以上、防衛戦力と抑止力は必要不可欠だった。


その点において、メルの存在価値は非常に大きい。


戦闘能力だけを見れば、彼女は間違いなくトップクラスの戦力だった。


メルは、イギリスにあるオルフェ本部へ渡り、様々な面談や適性検査、心理検査を受けることになる。


そして——


最終的に問題なしと判断された。


こうしてメルは正式にオルフェの一員となり、防衛隊所属として新たな立場を得たのである。



メルはトーマスや松永への報告を終えた後、食堂へ向かった。


そこで偶然、閃の後ろ姿を発見した。


せっかくの再会ということもあり、2人は少し遅めの昼食を取ることにした。


それぞれ食事を受け取り、向かい合って席に着く。


「どうだった?本部」


閃が尋ねた。


「やっぱ本部だけあってデカかった」


メルはフォークを動かしながら答える。


「難しかった?」


「ぜーんぜん?」


「めんどくさかっただけー」


メルはあっさりと言った。


閃をはじめとするエーテル保有者たちは、一般職員とはまったく異なる手続きや教育課程を受けている。


そのため、メルのような通常職員がどのような審査や研修を受けるのか、実はよく知らなかった。


「せっちゃん達はどうだった?」


今度はメルが尋ねる。


すると閃は少し考え、


「もう、色々ありすぎて——」


「なになに~?」


メルが興味津々な様子で身を乗り出す。


こうして2人は食事をしながら、それぞれの不在期間に起きた出来事を語り合った。


久しぶりに流れる、どこか穏やかな時間だった。

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