表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
God knows  作者: 紅亜
23/34

王命

「見事な戦いであった。そして、その戦闘力を見込んでそなたに頼みたい」


王は、少しの間を開けた。


「そなたには世界を回り各地の魔物を倒しながら、こちらが指定する数カ所に“とある符”を張って、魔術を完成させる手伝いをして貰いたい」


ルークは王の頼み事に、今日一番の驚きを見せていた。


まず第一に、魔物を倒しながらという点。その言葉は、昨日のような魔物がまだ各地に存在しているということに他ならない。


第二に、各地を周り符を張るという点。


このガイアという世界には、確かに魔法が存在している。【魔法】は世界が発する魔力の素【マナ】を操ることで起こる現象のことだ。魔法の形態は個人によってそれぞれ十人十色の【型】が存在し、例を挙げるのならば、マナを氷に変換し氷を駆使するモノがいれば、何もない空間から武器を創り出す者、獣を召喚する者などもいたりと本当に様々。千差万別の魔法という力でただ1つ共通していると言えることは、どんな【型】であれ、魔法使いの想像でマナが変換される為、長ったらしい呪文を言う必要も魔法陣を作る必要もない。

その例外として、古代魔法の中に、複数の人間が1つの魔法を発動させる為に力を注ぐ時に補助として【符】を使うことがある。


これは本当に稀なことであり、実際に扱われた例は近年まずない。ルークも、教会の書庫にある本を読み漁っていなければ、何のことかさっぱり分からなかっただろう。


けれども、1番問題なのは…。


「…ちょっと待って下さい」


キイスが睨みを強くしてきたが、そんなことを気にしている暇はない。


「どうして、俺なんですか?この国には優秀な騎士様方の他にも、世界最強の魔法師団がいるじゃないですか」


ルークの言葉は最もな質問だった。彼は、あくまで“一般市民”。戦いの訓練も魔法の扱い方も、教わったことなどない。


それに比べて、王国騎士団と魔法師団。特に魔法師団は世界最強と謳われ、だからこそ人数でいえば倍以上の人口を抱える帝国との戦争を渡り合ってこれたのだ。


「そなたの疑問は最もなことだ。だが…」


王は言い難そうに、顔を顰める。けれどもやがて意を決したような表情を浮かべると、再び口を開いた。


「これは極秘事項に当たることだ。…我が国の魔法師団はほぼ壊滅状態にある」


「…え?」


「そもそも帝国との戦争で、徐々に魔道師団の数は減らされていた。けれども先日、あの魔物が戦場に現れ…その場にいた魔法師団を含めた我が国の軍と帝国軍は全滅したのだ」


「…それは、本当ですか?」


自分でも、思った以上に声が低くなった。


アルケディアの魔法師団の力は、一騎当千と揶揄されている。それに加え、戦場には騎士団と帝国軍。幾ら強大な力を持つ魔物だったとはいえ、それだけの力を持つ者たちがその他の多数の人たちと共にいたのだ。


倒すことができなかったとしても全滅とは…想像すらできない。


「残念ながら、事実だ。その場にいた兵が報告をしてきた。その兵も報告後すぐに死亡した為、俄かに信じられなかった我らはあの魔物への対応に遅れたのだ」


「ですが…」


「魔物騒ぎが落ち着いて、いの一番に調べさせた。戦場には、無残に殺された両国の兵達が転がっていたと報告が挙がっておることからも…疑いようがない」


王の表情は暗い。…王国を守る魔法師団と騎士団が無残に殺されたのだ。これからの防衛の不安に思うのも当然だろう。


だから、こそなのだろう。王は玉座に座ったままであるものの、頭を下げた。


その光景に、それを向けられたルーク以上に周りの者たちが騒ぎ出す。


「おやめ下さい、陛下…!」


「そうです、何故平民などに頭を下げるのですか?」


特にこの場に居合わせた貴族であろう者たちからの反発は大きい。けれども王はそのことなどまるで気にせず、頭を下げたまま再び口を開いた。


「頼む…っ!そなたしか、おらぬのだ…我に力を貸してくれ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ