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God knows  作者: 紅亜
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謁見

城に入り、何やら大きな扉の前に立たされたルーク。やがて扉が開くと、あまりの衝撃に立ち尽くしてしまった。


…完全に、場違いだろ。そう、呆然とした。


鬱々とそんなことを考えていたら、何やら視線を感じて彼はそちらを向く。


見れば、キースが視線で彼を急かしている。


はあ…やっぱり、入らないとダメ、か。その時点で緊張よりも嫌な気分が勝っていたルークは、キースに急かされるまま部屋の奥へと進んだ。


「…そなたが、シスター・アンドレスの養い子、ルーク=タナトスで相違ないか?」


「はい」


玉座の近くまで来て、また頭をキースに下げさせられた彼は、そのままの体制で答える。


「面を上げよ。…そう畏まらずとも良い」


王様は苦笑めいて言った言葉に、素直に頭を上げた。


…これが、我らが王・ロイ=バルトゥス=ヴェルメルかと心の片隅で呟く。


ロイ王といえば、“智の王”として知られている。


その改革は庶民の立場に立ち、研究所を立ち上げ作物の収穫率の向上を務めさせたり、同種同業者間でギルドを建てることを推奨し、市場価格の透明性と安定に務めさせている。


また庶民の子供たちにも学ぶことを推奨し、無償で通える学院を創設させてもいた。


その結果…この国の国力は上がり、識字率は飛躍的に上がっている。


もし仮に今この世が太平の世だとしたら…このアルカディアはかつてないほどの豊かさを誇っていただろう。


そう、“仮に”太平の世であったならば。


生憎、今は戦乱の世の中。どんなに王が善政を敷こうが、戦争の最中では現状を維持することですら難しい。


「そなたをここに呼んだのは、他でもない。そなたに頼みたいことがあるのだ」


王の言葉に、現実に戻された。けれども、戸惑いが大きくて現実に頭が追いつかない。


「その前に確認するが、先日王都上空に現れた魔物を倒したのはそなたに間違いないな?」


「…それは…」


ルークは、イエスともノーとも言わなかった。


事実彼が倒したことに間違いないのだが、それを肯定してしまえば面倒くさいことが起こりそうな気がしてならなかったからだ。


「謙遜せずとも、良い。先日の戦いはそこにおるキイスを含む騎士も、我が娘も見ておったわ」


いや、謙遜じゃないんだけど…っていうか、キイスさんは頼むから睨まないでくれ。そう口に出して言いたいが、流石にこの場でそんなことを言えないことぐらいルークも弁えている。

ただ、後半部分は切に口に出したいと思っているが…。


さっきからキイスの不機嫌な視線がチクチクとルークを精神的に攻撃してくる。


それは、王に不敬なことを働かないか監視しているのか、それとも王国の騎士を差し置いて手柄とも取れるものをとったからか。


何れにせよ、ここに来る事を望んでいなかったルークにとっては迷惑な話だ。


ん?そういえば、娘って…?ふと思い浮かんだ疑問に、首を傾げる。


公式的に、王の子供は息子1人。王族にしては珍しく王が正妃を1人しか娶っていない為、他国と比べて極端に子供の数が少ないのだ。



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