第5話 インペリヤルシティ
クエストをこなしたルッツ達は、そのまま街を後にし、次の街を目指した。
そして数日後、たどり着いたのは、ルレアラス王国の首都・インペリヤルシティ。芸術の街とうたわれている通り、並び立つ建物はみな美しい。ファッション関連の物も、常に新しさを求め続け、流行の最先端に立っている。
しかし、そんな街でも、他の国や街と同様、魔獣の脅威にさらされている。だからこそ、ギルドもある。
ルッツとペトラは、街に入って早々、ギルドを見つけようとしていた。
だが、結果的に、ギルドへ行くことはなかった。
「ペトラ、少し遠回りをするぞ」
「どうしたの?」
「さっきから、どうもつけられているらしい」
振り返ると、妙に厚着をした人物がぴったりとルッツ達の後ろに付いて来ている。おそらく、あの厚着の下には、相当な数の暗器が隠されているだろう。
このまま予想できる行動を取るより、多少予想外の行動を取った方がいいと判断したルッツは、ペトラを連れていきなり走り、小道へと入って行った。
だが、自分の存在に気付かれたことを知った不審者は、ルッツが走りだすのと同時に駆け足になった。
そして人通りが少なくなった頃を見計らって、袖の中に隠していた小型の弓を発射した。
矢は外れたが、依然としてルッツ達の不利は変わらない。何せルッツ達は、自分達の存在をルレアラス王国に感付かれたくないため、火器を使えない。その上、ここはルッツ達にとって地理に明るくない場所なのだ。
このまま不審者に追いつかれるのも、時間の問題だった。
そして、不審者の袖の中から再び矢が発射されようとしたその時、袖の中が爆発した。
「あー、そんな怪しい格好で少年少女を追い回しているなんて、犯罪しかないですよね?」
すると、その声の主が、ルッツ達をかばうようにして現れた。その人物は、線の整った男性で、身なりから魔獣ハンターだと思われた。
どうやら、さっきの爆発も彼の仕業らしい。
そして、不審者も形勢不利だと悟ったのか、さっさと撤退していった。
「すみません、おかげで助かりました」
「いや、何の非もない人が無意味に襲われているのを見過ごすほど、私は非情ではなのでね。それより、自己紹介が遅れた。私はエルメス。爆発系の異能を持つ魔獣ハンターだ」
爆発系、と聞いて、ルッツとペトラは少し驚いた。爆発系の異能は、火の異能の派生、あるいは進化した異能と考えられている、珍しい異能だ。
もっとも、ペトラの光の異能ほど珍しくはないが。
「ところで、君達が意味もなく襲われたという事は、この街にとどまり続けていると危ない。ここは、北にあるカリーを目指した後、ハンプトンへ脱出した方が適切ではないかな?」
カリーは、北にある港町だ。ハンプトン連合王国と目と鼻の先であるため、ハンプトンを目指したいなら必ず名前が挙がる港町である。
ルッツとペトラも、自分達が置かれている状況をよく考え、このままこの国にとどまり続けるのはやめた方がいいと判断。エルメスの提案に乗り、すぐに街を出る事にした。




