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能無しハンター  作者: 四葦二鳥
第6章 温泉と火山
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第3話 vsピエトラ・リノチェローンテ

 3日後。セレーネ達は、ルッツとの集合場所に足を運んでいた。


「そろそろ、時間だな」

「隊長、何か不審な物がこちらに向かっているようですが……」


 テオドーレが指を指した方向からは、頂点に長い筒状の物を装備し、2つのベルトを回転させて疾走する鉄の箱がこちらに向っていた。

 その鉄の箱は、セレーネ達の近くで停車すると、筒の裏のふたが開き、何者かが顔を出した。


「おはようございます、セレーネさん。時間に間に合ってるか?」


 顔を出したのは、ルッツだった。


「ああ……おはよう。ところで、ペトラはどうした?」

「ペトラは操縦席だ。今から顔を出すと思う」


 ルッツが穴から出ると、そこからペトラが顔を出した。


「おはようございます。ちょっとこれを使いこなすのに時間がかかっちゃったけど、獲物に動きはないわよね?」

「あ、ああ……そんな報告は入っていないな。だが、その鉄の箱はなんだ?」


 ようやく、セレーナが言いたかった一言を言った。


「ああ、これは『戦車』っていうくくりの武器だ。車種名は『ティーガーⅡ』。キャタピラで車体を動かし、備え付けの大砲で標的を撃つ。悪路も問題なく動ける。装甲も厚いタイプだから、力負けはしないと思うがな」


 ちなみに、ティーガーⅡは開発当初、最高の防御性能と火力を持った大型戦車として登場した。しかしあまりの重さゆえ、オーバーヒート寸前になるまでエンジンを動かさないとろくに動けないという、重大な欠陥があった戦車だった。

 だがルッツ達の乗っているティーガーⅡは、アスカの時代の技術を応用し、大幅な軽量化とエンジンの高性能化により、最大の問題点を解決できた。その機動性は、もはや小型戦車並みだ。

 さらに、レーダーやセンサー、通信機器を最新式の物に変え、コンピューターを搭載し、オートメーション化を推し進めて二人だけでも動かせるようにし、装甲を爆発装甲に換装し、砲身と砲台も改良を加えた結果、ティーガーⅡの外見をした全く新しい戦車として生まれ変わってしまった。


 なお、ルッツがこの討伐戦に3日の準備期間を必要としたのは、ティーガーⅡの操縦に慣れるためである。


「じゃあ、そろそろ行くから。何かあったら、信号弾を打ち上げる」

「ああ……頑張ってくれ」


 そして、ルッツとペトラはティーガーⅡに乗り込み、火山へ向かっていった。

 セレーネ達は驚きと期待を込めた眼差しで見送ったが、テオドーレだけは異質な目で見つめていた。


◇◆◇◆◇◆


「レーダーに反応。ターゲットのピエトラ・リノチェローンテであると思われる」

「了解。そっちに進路を取るわよ」


 レーダーでターゲットとなるピエトラ・リノチェローンテを見つけたルッツ達は、その方向へティーガーⅡを進める。

 ちなみに、ルッツは車長、レーダー索敵係、砲撃手を兼任。ペトラは操縦士と通信士を兼任している。もっとも、オートメーション化が推し進められているこの戦車では、こんな無茶な兼任をしても苦にならないし、通信士に至っては僚機がいないため、たまにアスカと連絡を取り合うくらいである。


 しばらくすると、目標を発見した。だが、敵の方が早く発見しており、岩みたいな身体を持つサイの巨体が、ティーガーⅡに向って突進してくる。


「飛んで火にいる夏の虫、とはこの事だな……。衝撃に備えろ。来るぞ」


 ルッツの予言通り、飛んで火にいる夏の虫となる結果だった。

 このティーガーⅡの装甲は、爆発装甲に換装している。爆発装甲とは、装甲内に爆薬を仕込み、外から衝撃が襲い掛かってくると内部の爆薬が炸裂し、外からの衝撃と相殺する構造となっている。

 そのため、体当たりしたピエトラ・リノチェローンテは、この爆発装甲の爆発に巻き込まれ、吹き飛ばされてしまったのだ。


「ひるんだか。今の内に、弾を撃ち込ませてもらう」


 ピエトラ・リノチェローンテが態勢を崩している最中に、ルッツは何発も貫徹甲弾を打ち込む。

 やはり改造したティーガーⅡの砲身は伊達ではなく、ゴーレムよりも固いと言われているピエトラ・リノチェローンテの外殻を貫通し、溶岩の血を流させることに成功した。

 ピエトラ・リノチェローンテは痛みでもだえ苦しむと同時に、ルッツ達へ怒りを募らせた。


「そのままおとなしく攻撃的になるのを待っているほど、僕達はお人良しじゃない」


 すると、ルッツは別の弾を装填し、敵の出血部分目がけて発射した。

 弾は、傷口から敵の体内へもぐりこみ、爆発した。そう、この弾は、爆発性の榴弾を発射し、傷口から体内で爆発させたのだ。


 だが、敵もかなり頑丈なようで、2,3発撃ち込まれた程度では死ななかった。しかし、敵はすでに虫の息で、とても反撃できる状態ではなかった。


 にもかかわらず、ルッツは非常にもどんどん弾を撃ちこむ。

 30発に届こうとしたところで、とうとうピエトラ・リノチェローンテは息を引き取った。

 それを確認したルッツは、運搬用の台車を出し、それにピエトラ・リノチェローンテの死体を括り付け、さらに台車をティーガーⅡと連結させ、セレーネ達が待っている場所へと戻った。


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