第2話 ハンターチーム
温泉から上がると、ルッツとペトラはレストランへ食事に出かけた。
食事は、貴族の保養地らしく豪華なものであった。その食事を楽しんでいると、ある二人組の男女が現れた。一人は赤髪を長髪にした女性、もう一人は黒髪をショートにした男性だった。
「すまないが、君達が今話題のルッツ・ヴィルダーとペトラ・シュパーマーか?」
赤髪の女性がルッツ達に尋ねた。
「話題になっているかどうかは知らないが、その名は確かに僕と彼女の名だ」
「よかった。私はセレーナ・シュパーマー。この街を拠点に活動しているハンターチームのリーダーだ。こっちの男はテオドーレ・ペトルチェリ。チームの副リーダーをやっている」
セレーナから紹介され、軽く会釈をするテオドーレ。
「実は、チームリーダーとして、君達にお願いしたい事があるのだが……」
「話が長くなりそうね。空いている席に座って。ゆっくり話しましょう?」
ペトラに勧められ、セレーナとテオドーレは近くに席に座った。
「ありがとう。それで、頼みたい事と言うのは――」
セレーナの話を要約すると、どうやら近くの火山に『ピエトラ・リノチェローンテ』という魔獣が現れたらしい。
この魔獣は、火山地帯によく見られるサイ型魔獣なのだが、身体が岩で出来ており、非常に硬い。ガーゴイルよりも硬いとする説もある。しかも溶岩を飲み、血が溶岩で出来ているため、攻撃すればするほど溶岩が飛び散って危険度が増す厄介な相手らしい。
セレーナ達のチームは、そこそこ腕がいいチームで、街の人々からの評価も高い。そんな彼女たちですら、何度戦いを挑んでも敗退を繰り返してばかりだと言う。
だが、これ以上討伐に時間をかけすぎると、ピエトラ・リノチェローンテが人里に下りる危険性が高くなる。そのため、もう一刻の猶予もないらしい。
そこで、無理を承知で、助力を願いに来たのだと言う。
もちろん、受けてくれるのならば正式にギルドを通じて契約し、相応の報酬を支払う用意がある様だ。
「どう、ルッツ? この話、受ける?」
「あの兵器を使えば、何とかなるかもしれないな、ペトラ。この話、受けてもいいと思う」
「そう。あたしも、勝算があるなら受けるつもりでいたわ。そう言う事だから、セレーナ。あたし達、この依頼を受けるわ」
ペトラが快諾の意を示し、セレーナは歓喜した。
「本当か! ありがとう、二人とも!」
「ただし、条件がある。作戦開始は最低でも三日後以降にする事。少々準備に時間がかかるのでな」
「そうか。テオドーレ、大丈夫か?」
セレーナから水を向けられたテオドーレは、今までの戦闘や観測データを記憶から呼び起こし、結論を出した。
「そうだな。今の敵の進行ペースを考えると、三日はまだ余裕がある。彼らの準備も、入念に行えるだろう」
「……だそうだ、ルッツ。安心して、万全の準備を整えてくれ」
「助かる」
そして、ルッツとセレーナは握手した。次いで、ペトラもセレーナと握手した。
だが、テオドーレはその光景を妬みが混じったまなざしで見つめるのだった。




