冬季ロードレース スタート~横浜
感想頂きましたレフェル様。ならびにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
東京都中央区日本橋。今日、明日はここから箱根までがボク達の戦場になる。国道1号線に沿い皇居の前を走り、審判が旗を降り下ろした瞬間からレースが本当の意味で開催される。
「オラオラ! 邪魔だ! 道を開けろ!」
「…通してもらう。」
このフラットな道をチームを引っ張って、走るのは平坦な道が得意なスプリンターの役目だ。
岸川君と柳川先輩が前に飛び出して、ボク達を引いてくれる。
「代われ! 岸川!」
「柳川! 無茶はするな!」
オールラウンドの佐渡君と大川部長がスプリンターの2人を疲れさせないように前に出る。でも、ボクは?
「不満そうだな? 大方、皆がチームのために頑張っているのに自分は何も出来ずただ見てるだけってのが悔しいってか?」
松郷先輩の言葉にボクは首を縦に振る。
「なあ、山道よ? チームって何の為にあると思う? 自分が苦手な分野を仲間に任せて得意なものに全力で走るためだろう?」
松郷先輩の言葉にボクはハンドルをギュッと握る。
「岸川君! 梁川先輩! 坂は任せて! 平坦な道は任せた!」
「おう!」
「任せて。」
ボクの言葉に岸川君と梁川先輩が頷いた時、
「それでこそだ!! 挑戦者!!」
わざわざスピードを緩めて白石翔君が隣に並んで声をかけてきた。
「今回のコースは全体的にほぼフラット! 坂道は終盤の小田原を登る! そこで勝負するぞ!」
「うん! 今回はボクが勝ってみせる!」
白石君の言葉にボクが頷いた時、
「なにやってる!! 白石!!」
向こうの部長さんに怒られた。その叱責に白石君は列の最後にならび直した。
Side 十石
1号線をそって真っ直ぐ走り、横浜まで辿り着いた。
「後もう少しで給水ポイントだ! 各自水の補給はきちんとしておけ!」
後ろから聞こえる声に僕は思わず、ボトルゲージにさしてあるボトルを手に取る。
ちゃぷ。
手に伝わる感触から1本はもう少しでなくなるだろう。幸い、今は冬だから、この程度でも多分もつとは思うし、もう1つのボトルにはたぷたぷに水が入っている。
そう思いながらボトルに口をつけて揉むように水を出していたら、
「お! 見えたぞ! 給水ポイントだ!」
テントが張られているのを見て大野部長が声をあげる。ふぅ。と一息ついて後ろを見た時、
「ぶ、部長!! 大変です!!」
Side 岸川
くそ。やっぱり、十石はマジで速いな。あっという間にずっと先を走る赤和学園を睨み付けていた。
「おおっ!! 待ちやがれ!!」
吠えながらペダルを回すが! ちっとも差が縮まるようには見えない。
「代われ!! 岸川!!」
俺を疲れさせない為に佐渡が前に躍り出る。その佐渡にボトルを取り一口飲みながら最後部につく。そこでようやく俺達に足りないものに気付いた。
「お、大川部長!! 大変です!!」
「何だ?」
2人の部長の問いに2人の人物が同時に答えた。
『山道(翔君)がいないんです!!』




