挑戦者と王者
感想頂きましたレフェル様。ならびにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
「急げ!! 急がないと!!」
ボクは叫びながらペダルを回す。
急がないと約束の時間に間に合わないからだ。必死にペダルを回してキュポラ広場についた時は約束の時間の5分前だった。周囲を見渡そうとしたところで、
「遅い!! 俺を待たせるとはどういうつもりだ!!」
待ち合わせていた人物に怒鳴られてしまった。
「まぁまぁ。登坂君は約束の時間にはちゃんと間に合ったし、待たされたのは気が急いて朝の7時頃に軽井沢を出た翔君が原因なんだし。」
苦笑しながら、十国君が白石君を宥める。
「歩。その事は言わないでくれと言っただろう?」
十国君の言葉に白石君は苦情を言うが、それより、気になる事が。
「白石君。今日は金曜日だよ? 授業はどうしたの?」
「もちろんサボって来た。」
「いやいや! 何堂々とサボって来てるの!」
ボクのツッコミをものともせずに白石君はロードバイクに跨がる。
「さて、待たせるのもなんだし。さっさと行こう。」
これ以上何を言っても無駄だろうと判断して、信号を渡りロードバイクに跨がる。(自転車は進行方向に対して左側を走る物です。後、明かりなし、ヘルメット無しでの走行は危ないので良い子はやっちゃダメです。悪い子もダメです。)
しばらく走って自宅にたどり着いた。ロードバイクを物置小屋にしまうと、玄関をくぐる。
「おじゃまします。はじめまして。登坂君のお姉さん。こちらは白石翔君と申します。
そして、僕は十国歩と申します。」
十国君は頭を下げながら十国君と白石君の紹介するけど、間違いが1つ。
「あらあら♪ 嬉しい事を言ってくれるわね♪ でも、残念ながら私は山道の母の早姫です。よろしくね?」
母さんの言葉に白石君も十国君も驚いて母さんを凝視する。
「白石君も十国君も突っ立ってないで上がって。」
「白石君。十国君。おやすみなさい。」
ボクはそう言って床の上に横になる。
「登坂山道。今日は楽しかったぞ。」
白石君がベッドに横になりながらお礼を言う。
「ボクも楽しかった。
あのさ、ボクにはお父さんがいないんだ。」
白石君のお礼にボクも語り出す。
「友達も作らないで本ばかり読んでたんだ。不満はなかったけどさ、寂しくも感じてたのかもね。今日は楽しかったよ。
ありがとう。」
ボクはそう言ってから床の上に敷いた布団に横になる。
「早く寝ろ。明日は早い。そして、目が覚めたら俺達は敵になる。」
白石君はそう言ってから寝始めたらしいすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえる。
「おやすみなさい。」
白石君にそう返してから瞼を閉ざした。
「よぅ。おはよう。」
校門をくぐった時、佐渡君が声をかけてきた。
「ふぁ。おはよう。佐渡君。」
「眠そうだな?」
「まだ自転車のイベントにはまだ慣れてないんだよ。ちょっと顔を洗って来る。」
ロードバイクを壁にたてかけ、そう言いながら蛇口まで向かうんだけど、寝不足なのが響いたのかなにかに躓いて転んでしまう。
「つたた。」
呻きながら立ち上がると、ふぁさとそんな音とともに頭に何かの布が被さる。そして、目の前に白い逆三角形が浮かんでいる。
「おはよう。山道。」
真上からかけられるともみちゃんの声に硬直する。な、なんとか、声をかけたくても体か振るえて声がでない。
「そして、朝からなにやってるのよ! スケベ!」
ともみちゃんの拳が後頭部に炸裂した。
「お、ようやく来たか。思ったより遅ーぞ! こっちはもう受付済ませたんだ! 十国も白石も済ませて来い! ってか、そのチビどうした? でっかいたんこぶこさえて?」
「気にしない方が良いですよ。大野部長。」
赤和学園の新部長さんはボクを見て首をかしげるけど、十国君がやんわりとそう言った。
「夏のインターハイではやられたが、今回は俺達が勝つぜ。」
「いや、勝つのはこっちっすよ?」
松郷先輩の言葉に大野さんがにこやかに笑みを浮かべて答える。
あ、熱い! 2人の間で火花が散っているみたい!
「挑戦者。」
その様子を見ていた白石君がボクに声をかける。
「大野が言ってた通り、今回も赤和学園が優勝を決めるぞ。」
「いや、今度はボク達が優勝するよ。」
白石君にそう返して互いに笑みを浮かべて拳をぶつけ合った。




