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ランニング・ウォリアー  作者: 0・The Fool
1年インターハイ
19/32

インターハイ 表彰式

感想頂きましたレフェル様。並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。

SIDE ともみ


 ズザザァッ!!


「ちょ、ちょっと、山道!」


 地面の上を滑るように転がる山道を見て顔を青ざめて駆け寄る。抱き上げて様子を確認する。どうやら、気絶しているみたい。だけど、ケガは転倒による擦り傷だけらしい。


「ふぅ。特に大きなケガも骨折も無いみたいです。」


 心配そうに山道を見ている早妃さんにそう告げて、山道を見る。この小さい身体で富士山という険しい山道を登ったのね。星宮学園自転車競技部を優勝に導く為に頑張ったのね。


「お疲れ様。山道。」


 アタシは山道に膝枕をして、おでこを優しく撫でるのだった。




SIDE 八神


『ゴールの1位通過者は赤和学園の1年白石翔君です。』


 富士山五合目を目指していた俺達の耳にその放送が飛び込んだ。


『続いて2位は星宮学園の1年の登坂山道君です。』


「どうやら、うちのクライマーが山を征したようだな。」

「そうだな。」


 不二の言葉に俺は同意していた。

登坂。ありがとう。お前がいなかったら、インターハイという舞台で赤和学園と優勝争いする事が出来なかっただろう。本当にありがとう。


「さて、俺達も行かせてもらうぞ。佐久平。」

「わかっている。」


 佐久平は不二の風除けになりながら加速する。

2人の考えもわかる。今はまだ2点差だが、ここで3位、4位を通過して赤和学園の勝利をより確かにするつもりだろう。


「追うぞ!! 松郷!!」

「あいよ!!」


 松郷は俺の風除けになってくれる。

彼らの距離を詰めようとペダルを回すがなかなか埋まらない。

…もう、富士山唯一の下り坂についた。ここを超えるとひたすら上りが続く。

速く抜かないとまずいな。俺がそう思った時、


ズルッ!

「クッ!」


 突如佐久平がバランスを崩した。おそらくは罅がはいったアスファルトか溝の蓋にとられたかしたのだろう。


「チャンスだ! 松郷!!」

「わかってる!!」


 応えた松郷はシフトレバーを操作する。ガシャガシャと音がしてスプロケが数段重くなる。その加速により、佐久平と不二の二人を抜き去り走る。

そして、しばらく走り下り坂が終わり上り坂に入る。


「八神!! 皆の想いをゴールに届けてくれ!」


 松郷は叫びながら前に出た俺の背中を押し出す。

その加速を殺さぬようペダルを回していたが、後ろから何とも言えぬプレッシャーのような物を感じる。


「やはり追いついてきたか。不二。」

「…ああ。八神。一つ問う。

何故そこまで頑張れる? 確かにまだ決着はついてないとはいえ、俺達2人がゴールしてしまえばお前達の星宮学園に勝ち目はない。佐久平から聞いたぞ。松郷は少々手ごわいだけだと。なのに、何故あきらめずに走り続けれる?」

「ならば、逆に問おう。

何故、定峰やうちの1年はマシントラブルや限界を超えて走れなくなるまで走っていたと思う?」


 答えは決まっている。彼らも勝ちたかったからだ。だからこそ、登坂に希望を託して己の限界まで走っていたんだ。


「俺は仲間の頑張りを無駄にはさせん!! それに、勝負は終わるまでわからない。松郷だって意外にやるかもしれんぞ?」

「ならば、先にゴールして貴様等から勝機を奪おう!」


 不二は宣言してギアを重くしながらサドルから腰を上げる。


「させんと言っている!!」


 叫びながら俺もサドルから腰を上げる。

玉座を奪わんとする者と死守する者。2人の意地と意地のぶつかり合いが富士山五合目のゴールまで続き、そして、放送が先にゴールを超えた者の名前を告げた。


『3位は星宮学園3年の八神健吾君。

4位は赤和学園3年不二秀助君です。』


「おおおっ!!」


 その嬉しさに咆哮する。


「ちょっと、お兄ちゃん。うるさいわよ。」


 咆哮したらともみから苦情してくる。その膝には登坂が頭を乗せて気絶している。

ありがとう。登坂。岸川。佐渡。チームの為に全力を尽くしてくれる後輩を持てて俺は嬉しい。この争いで優勝を逃したとしても恨みごとはない。

しばらく待ち、1人の選手がゴールラインを超えた。




SIDE 山道


「…んぅ?」


 ボクはおでこを擽られる感触に目を覚ました。


「起きた?」


 ともみちゃんの声にボクは状況が理解できた。ともみちゃんに膝枕してもらってるのだ。


「ご、ごめん。」


 慌てて起き上がろうとするのだが、疲労感に再びともみちゃん膝の上に転がり込むのだった。


「落ち着いて。

富士山の五合目まで全速力で走って来たのよ? 少しは休みなさい。」


「…はい。それで、ともみちゃん。結果は?」


 その問いに表情を暗くするともみちゃんに状況を察した。


「負けちゃったの?」

「ああ。なんとか、並べたが、運悪くセンサーの位置が遠かったらしくてな。」


 成澤先生の言葉に悔しくて、先輩達にたいする申し訳ない気持ちで涙が出てくる。


「悔しかろうが1度決まった結果は変わらない。なら、その分次のレースの為にペダルを回していけ。」

「でも、成澤先生。松郷先輩達には今年しかないのに。負けたらいけないのに…。」

「誰も責めないぞ?」


 その声に視線をずらすと、松郷先輩がそこにいた。


「お前が頑張ってくれなかったら、ここまでこれなかっんだ。逆に俺達がありがとうって言うべきだ。」


 松郷先輩の言葉にもボクの涙は止まらなかった。




 しばらく休んで表彰式が行われた。

「まずは、ゴールの順位発表です。1位は赤和学園1年の白石翔君です。」


 その言葉に観戦者の人達は白石君に拍手していたが、白石君はどこか不満そうだった。


「続きまして、2位は星宮学園1年の登坂山道君。3位は同校の3年の八神健悟君。4位は赤和学園3年の不二秀助君。5位は同校3年の佐久平頼道君です。

合計ポイントは赤和学園が22ポイント。星宮学園が21ポイントで優勝は赤和学園です。」

 赤和学園の部長さんがトロフィーを受け取るのを皆が拍手していた。

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