インターハイ スプリングポイント~ゴール 前編
感想頂きましたレフェル様。並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。
SIDE ともみ
「あちゃぁ。定峰先輩も岸川も負けたか。」
ラジオから流れてくるリザルトに溜め息を吐いていた。
「点数も9対9で同点になったし、ゴールまで決着はわからないわね。」
アタシの言葉に成澤先生は首を縦に振っていた。
「そうだな。だが、赤和学園は強い。赤和学園の自転車競技部は層が厚く常に選手争いをしているから、強い。」
「でも、星宮学園も負けてないです。」
成澤先生はアタシの言葉に頷いた。
頑張りなさいよ。山道。アタシは胸の内でそうつぶやいていた。
SIDE 山道
「待たせな!」
「戻って来たぜ!!」
岸川君と定峰先輩はその言葉と共に戻ってきた。
「…ん? 八神と松郷は?」
不審そうに周囲を見回す定峰先輩の問いに重い表情になるボク達。
「………まさか、」
「ああ。2人とも事故で走れなくなったんです。」
佐渡君の答えに定峰先輩の足は一瞬止まる。
「運がなかった。定峰先輩達が走り出したすぐ後スピードを出しすぎたスプリンターが滑って転んでそれに巻き込まれた。運良くケガはなかったみたいですが、ホイールがいっちまった。」
「…なんてこった。ここまできて。」
定峰先輩は悔しそうにしていた。
「赤和学園も別の所で落車に巻き込まれたみたいだから条件は同じですよ。
それと、部長からオーダーを預かっています。俺達で1位を奪え。だそうです。」
「おっしゃっ!! お前は後ろに下がってろ!!」
定峰先輩は先頭を走る佐渡君を下がらせ、代わりに先頭を引いて走る。その間に作戦会議が始まる。
「いいか! 俺達は2人かけて4人! 向こうは3人かけて3人! そして、ゴールまでの富士山五合目入り口までが、下りか平坦なコースだ! 岸川! お前達は赤和学園のスプリンターに食らいつくつもりで走ってくれ! 定峰先輩もお願いします!」
「わかりました!」
「任せとけ!」
佐渡君の指示に岸川君と定峰先輩は力強く頷いた。
「富士山についたらスプリンター達を捨てて、先頭を引いてくれ!」
「わかった!」
「俺は山道が疲れたら、風除けになって足を休ませる!」
佐渡君にボクは頷いた。しばらく走りつづけ、その間に岸川君と定峰先輩は互いに交代しながら走っていた。そして、富士五湖の1つ山中湖の湖畔にたどり着いた時、
「定峰先輩! 代わります!」
「いや。しなくていい。その代わり見ててくれ。スプリンターの意地をな!」
定峰先輩はペダルを回し、走りつづける。
「佐渡! 風除けが2人いた方がいいよな!」
定峰先輩はそう言ってペダルを回す勢いを強める。後の事を考えていない。ただひたすらに追いつくしか考えていない。そんな気迫を感じた。
定峰先輩の頑張りが実ったのか、赤和学園を視界に捉えた。スプリンター1人は既に切り離され、もう1人のスプリンターもちょうど力尽き切り離そうとしている。ただ、そこが定峰先輩の限界だった。力を失った定峰先輩が後方に流されていく。
「後は任せたぞ!!!!」
定峰先輩の叫び声に後ろを振り返ろうとして、
「なにやってる! 走れ! 登坂!」
佐渡君が叱責する。その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。ギュッとハンドルを握りペダルを回した。




