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ランニング・ウォリアー  作者: 0・The Fool
1年インターハイ
16/32

インターハイ 山岳ポイント~スプリングポイント

感想頂きましたレフェル様、並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。

SIDE 白石


「すまない。不二。1位を取れなかった。」


 チームの列に戻った佐久平が部長の不二(ふじ)秀助(しゅうすけ)に謝罪した。


「構わない。まさか、山岳ポイントを落とす事になるとは、思わなかった。

それだけ、松郷が力をつけたというわけか。」

「いや、松郷は少々手ごわいだけの相手だった。俺が山岳ポイントをとられたのは登坂とかいう1年の助力のおかげだな。」


 そうか。あの、挑戦者(チャレンジャー)が山岳ポイントを阻んだか。王者を脅かす一角に成長したか。


「面白い。そうでなくてはな。」

「? 白石。お前、登坂とかいう1年を知っているのか?」

「少し前にときがわ町で行われたヒルクライムレースの時に1度会った。その時、たいした相手ではなかった。」

「そうか。つまり、登坂とかいう1年はそのわずかな間に俺達の驚異になりうる存在に成長したというわけか。」

「まさか、ウチらが玉座から退かないといけないってことですか? 相手はたかが、1年坊主でしょ!!」

「いや、実際のところは走ってみないとわからん。」


 大野の言葉に不二は首を横に振る。


「それに大野。お前だって並み居る実力者の3年達を抑え2位まで駆け上がったただの2年だし、白石と十石(じっごく)に至ってはたかが1年で2年も3年も抑えトップスプリンターにトップクライマーにまで上り詰めたからな。」


 佐久平の言葉に大野は痛いところを突かれたかのように硬直した。この先の下り坂を過ぎると長い平坦な道で、そこにスプリングポイントがあったはずだ。ここを1位通過しておかないと、優勝を逃す。


「十石。」

「はい?」

「星宮のスプリンター達と適当に遊んで来い。」

「御意。」 俺の指示に十石はニコニコと笑みを浮かべながら答えた。


「御意じゃねぇよ!! 何1年ボウズが偉そうにしてやがる!! 十石ものるな!!」

 俺の指示に何故か大野が吠える。まったく、1応先輩なのだが怒りっぽい輩だな。


和田(わだ)。」

「何かな? 不二。」「十石とともにスプリングポイントを取れ。」

「責任重大だね。ここで、スプリングポイントを落としたら、優勝出来ない。

わかった。引き受けよう。」


 和田はニコニコといつもと変わらぬ笑みを浮かべて答えた。




SIDE 岸川


「すみません! 部長! チームを引いて走れっていう役目を押し付けてしまいましてすみません!」

「だが、登坂の判断が無ければ山岳ポイントを取れなかったんだ。その事も考えてくれないか?」


 松郷先輩の言葉に八神部長は頷いた。


「わかった。もとより、責める気などない。

次はスプリングポイントだ。」「よし!! ここはスプリンターの俺のステージだ!」

「いや、俺のだろ! 間違えんなよ!」


 俺の言葉に定峰先輩は笑みを浮かべながら否定する。


「ハァッ!! どう考えても俺でしょう! 先輩こそ間違えないでください!」


 互いにいがみ合いながら走っていて、平坦なコースについた時、


「皆! 頑張りなさいよ!」


 給水ポイントに先回りしていたともみ達がボトルを手に掲げていた。


「サンキュー!!」


 俺達はそこで、空のボトルと交換して走る。


「そんじゃ、行って来ます!」

「1位を取ってくるぜ!!」


 俺と定峰先輩はそう言って集団を飛び出す。


「邪魔だ!」

「道をあけやがれ!!」

 スプリンター集団を抜けたと思った時、

ゾクリと背筋に冷たい悪寒が走った。例えるなら、凍りついた刃物で首筋に突き立てられたような。

思わず、後ろを見たのは当然だろう。


「君達、星宮学園のスプリンターだよね? 思ったより速いね。」

「定峰君。久しぶりだね? 元気してた?」


 赤和学園のスプリンター2人に声をかけられた。1人はおそらくは身長175センチ。大柄よりむしろ線が細く、かといって痩せている訳ではなさそうだ。春風のように爽やかな笑みがチャーミングポイント。セミロングの髪が風に靡いていた。

もう1人は165センチぐらいだろう。細い目を線のように細めてニコニコと笑みを作っている。


「まあな。

岸川。こいつは赤和学園3年で和田(わだ)(とおる)。赤和学園のエーススプリンターだ。」

「よろしくね。」


 定峰先輩の言葉に和田とかいう先輩が笑みを浮かべた。


「僕は赤和学園1年の十石(じっごく)(あゆむ)。よろしくお願いします。」


 十石と名乗った男はそう言って下ハンを握る。


「自己紹介も終わったし、スプリングポイント目指してかけっこしようか?」


 十石と和田さんはその宣言と共に加速した。


「な! はええ!!」


 驚きながらもペダルを回す。そして、なんとか追いついたらまた加速して引き離そうとする。


「先輩! 俺の後ろについてください!」

「仕方ねぇ!!」


 俺の頼みに定峰先輩は俺の後ろについて足を休める。


「オォォォォッ!! 関東の早馬の意地を見やがれ!!」


 吠えながらペダルを回す。その速度は先程よりも速く徐々にだが距離を詰めていくしばらく走ってようやく十石と和田さんに並んだ。そして、先輩方が前に出る。


「よし! 先輩! 先に行っててください!」


 俺と十石は先輩を押し出す。

その加速により、凄い勢いで走る。


「…ごめんなさい。翔君。」


 十石の呟きと共に寒気がまた走る。


「彼からの指示は君達と適当に遊んで来いというものだったから力抜いて走ってたんだけど、ここで少しでも点を稼がないと赤和学園が優勝を逃しかねないのでちょっとだけ、本気出すよ。」


 十石はそう言いながら左側のシフトレバーを操作する。とっさに十石の前側のギアを見る。シフトレバーは右側が後ろのギアを、左側が前側のギアを操作する。そして、コイツの前側のギアは大きい歯車にチェーンがはまっていた。大きい歯車と小さい歯車。回したらどちらがより速いか? 答えは大きい歯車だ。大きい歯車の方が一周にかかる距離が長いのである。つまり、コイツはギア比を軽くして走ってたのか!

 シフトレバーを操作した十石はとてつもない速さで先輩方を抜いて走る。


「…ああ。定峰君の情報に間違いがあったから訂正するよ。赤和学園のエーススプリンターは僕じゃない。十石歩君だよ。」

 十石はその速度を維持しながらスプリングポイントを1位通過した。


『只今の結果、赤和学園1年の十石歩君。続きまして同校3年の和田透君。最後に星宮学園3年の定峰健二君です。』


「ちくしょう!!!!」


 1位を取れなかった悔しさに吠える。


「岸川。悔しいか?」

「当たり前でしょう!」

「なら、その悔しさをペダルに込めて進め。前を走り続けろ。

悔しいという想いは達成した気持ちは人を強くする。それを様々な勝負から学んだ。

強くなれ。岸川。これからの星宮学園のためにもな。」

「はい!!」


 定峰先輩の言葉に俺は頷いた。


リザルト


赤和学園9ポイント

星宮学園9ポイント

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