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異世界旅行記 メイクワールド  作者: 芥4653
第2章:力を手に入れろ!第1部:始まり
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混乱、そして天然は天然ゆえに天然なのだ

何とか投稿。皆様お待たせしました。

 どうもこんにちは、諌です。

 こんにちはというのはあくまで自分基準ですのあしからず。

 

 というのも―――

 

 実は今、俺は自分の状況がさっぱり分からない。

 今が昼なのか、夜なのか、果ては朝なのか、それすらも分からない。

 視界が暗くて何も見えないから俺が今どこに居るのかも分からない。

 まあ、見えていたとしてもどこに居るかは分からなかったと思うが。


 暗くて全然見えないが話声は聞こえてくる。

 こそこそ話しているみたいだが周りが静かなここではある程度聞こえてくる。

 何か分かるかもしれない。


 そう思った俺は寝た状態のまま耳を傾けてみる。  



「誰?」


「……もあいつが―――」


「またか―――」


「もし……て、……つらのスパイじゃあ―――」


「―――ええ!?」


「……あえず――――」


「……え、…なに…たら……殺したら――――」


「…は…長は―――」


 ………………。

 断片的に聞こえるけど、何か物騒な言葉が聞こえたよ。

 これって多分状況的に俺の事だよね?

 

 ……聞かなきゃ良かった。 

 

 今の物騒な会話を聞く限り下手に動いたりしたら殺されそうだな。

 こういう過激な集団は変に刺激しない方が良い―――ってどこかで聞いた事があったな。

 

 けど、今は少しでも状況が知りたい。

 

 仕方なくその物騒な会話を聞く。


 というかそれしかする事が無いんだけど…。

 少しでも状況を知る為だ。がまん、がまん。

 

 とはいえ、何をするかと言えばただこの会話を聞くだけ。


 暇だな…。


 なので話声や聞こえてくる会話をBGMにして、する事が無い俺はボーっと今までの事を思い出していた。 

 

(えっとそうだ。俺は確か―――――)

 そして今までの出来事を思い出して、身震いした。

 今更になってあの時の恐怖が思い出される。

 身体が震え、歯がガチガチなる。


 向こうに気付かれてないか心配だが、自分の意志などお構いなしだ。

 それに止めようと思って止まるものじゃない。


 あの時、あの恐竜みたいなの―――いや、スサノオも恐竜が居た云々を言っていたから多分そうだろう―――に何故か追いかけられ、食べられそうになった。

 あの時の俺はとにかく必死だった。

 恐怖とかは確かにあったしあんな非現実的な生き物が居た事実にパニックになった。


 だけど、それ以上に逃げるのに必死だった。

 そして火事場の何とやらで奴との距離が離れ逃げ切れると確信した時に転び、もう駄目かと思った。

 その時に走馬灯みたいな物を体験して、家族を、あいつ―――恣意の事を思い出して何が何でも生き延びようと俺に決意させた。


(まあ、そこはあいつに感謝だな。あいつの存在が無かったら絶対諦めていたし。今度あいつの好きなキク屋の練《ね》りきりでも買ってやろう。いつになるか分からんけど)

 取り敢えず俺はそう思った。

 そんな事を考えていたら震えが少し治まる。


 しかし、よくあんな危ない事が出来たな。


 今考えても無茶にも程があるぞ。


(またやれって言われたても絶対に出来ない)

 改めてそう思う。

 そこまで考えて俺は気が付く。


(そういえば痛くない?というか傷が無くなってる?)

 肩からの出血やかすり傷が綺麗に無くなっている。それに―――――――


(それに筋肉痛みたいな物もない。あんなに動いたんだから筋肉痛や身体への負担があってもおかしくないのに……)

 普通に動く。

 脳のリミッター外れてたんじゃないのか?

 あんな常人を超える動きをしたんだから絶対何かあると思ったんだけど。

 

 何もない。


 そんな事を考えている時、周りが騒がしくなった。

 なんだ?

 そう思って周囲を目だけ動かして観察する。

 目はもう慣れている為か周りの風景がある程度見える。


 そして絶句した。


 俺が見たままの感想をそのまま言うと―――

 

 背中から翼の生えた方達に囲まれてます。

 どういう状況?  

 余計訳が分からない。

 なので、取り敢えずまた今の状況を整理しようかと思います。


 まずは今の俺の状態―――

 

 地面に寝かされている。

 でも、ご丁寧に下に茣蓙《ござ》を敷いてくれていて寝心地はまあまあ。 どうりで、身体が余り痛くないと思った。

 そして見渡す限りの岩、岩、岩、岩、岩。

 どうやら洞窟に居るようだ。俺はそこに寝かされていたと。

 そして周りには翼の生えた人?が片手に槍やら弓やら剣やらをそれぞれ持ってこっちに向けて構えている。


 それもぐるっと隙間もないくらいに。

 

 これぐらいだろうか。

 結果…ますます混乱した。


 そんな時、新しくここにやって来たと思しき老人が一緒に連れて来た少女に声を掛けた。

 暗くて余り見えないが、それでもある程度は見える。

 文句なしの美少女だ。

 年は俺と同じくらいか一つか二つ上だろう―――で見た目は高校生に近い。


 とても大人びている。

 腰まであるであろう長い黒髪にスラッと伸びた足に着物を軽く着崩して居る様はとても色っぽい。


 腰に刀?みたいな得物を差している様はとても絵になっていた。

 どうでもいいが、着物は何故かサイドの片方が切れていて足が見える。

 そして何より特筆すべきは背中から生えている綺麗な漆黒という言葉が似合う翼だろうか。


「おい、こいつは何だ?翡翠《ひすい》」


「ん?ああこれ?……お土産?」

 その美少女…翡翠と呼ばれた子がこちらを見て少し考えつつそうやって答えた。

 お土産て…おい。

 しかし、なぜ疑問形?


「お土産?これが?こいつは何だ?どこで拾った?」


「質問が多い。一つずつ」

 なんかマイペースな子だな。

 そんな風に思った。


「はあ。じゃあ、まずは一つ目。こいつは何だ?」

 老人がため息を吐いて質問を始める。

 このやり取りに慣れているみたいだ。


「だからお土産」

 今度は断定された。


「それは聞いた」


「じゃあ何で聞いたの?」

 翡翠と呼ばれた子―――翡翠は若干イラついた様にそう答える。

 なんか老人が可哀想だ。

 

「だからその先を聞いている」

 老人はその態度を気にせず質問を続けた。

 大人だよこの人…もう人でいいや。


「先?……それだけだけど?」

 こいつ何言ってんの?って顔をしながら答える翡翠。


「……質問を変えようか」

 諦めたなこの人。


「なぜ、お土産なんだ?」

 そうやって内容を変えず質問を変えた老人。

 諦めた訳じゃなかったみたいだ。さすが老人。


 ……確かにそれは気になった。


「サボ…巡回中の帰りに見つけて拾ったから?」

 何でこの子疑問形が多いんだ?それと今サボリ中って言おうとしただろ。

 そこは老人もスルーしたらしい。

 やっぱり慣れているな。


「拾った?」


「うん」


「どこで?」

 

「えーと、隠れ蓑《みの》の里付近の縁部《えんぶ》の間で」


「縁部の間!?それは本当か!?」

 老人が驚いている。何だ縁部の間って。


「うん」


「……」

 老人が急にこっちを向いた。そして目が合う。

 俺は慌てて目を瞑る。

 しかし老人は何も言わず翡翠の方を向いた。


 ……見逃してくれたのか?


「はあ。お土産は分かった。じゃあ、改めて聞くがこいつは何だ?…いや、何者だ?」


「知らない。本人に聞けば?もう起きているんでしょ?」

 そう言ってこっちを見て来る翡翠。

 俺はタヌキ寝入りを続けるが、そのじぃ―――っと見つめ続ける視線に負けて渋々起き上がる。


「……おはよう」


「……おはよう」 

 因みに前者が翡翠で後者が俺だ。


「良く眠れた?」


「まあ。下に茣蓙が敷いてあったから寝心地は悪くなかったよ」


「それは良かった」

 そう言って翡翠はホッとしたかの様に息を吐いた。

 一応心配はしていてくれたらしい。


「…そろそろ良いか?」

 そう言った老人はこっちを見ていた。いや、老人どころか周りも静かに俺達―――というか俺を見ていた。


 そういえばさっきから皆静かだな。

 取り敢えずその手にある危ないものを下して欲しい。

 

 その旨を老人に伝えると―――


「まあ、敵意も無さそうだし、ここではゆっくり話せんだろう。俺の家で話そう。ああ、お前たちは解散してよし」

 そう言ってついて来いと言い、老人は飛んで行った(・・・・・・・・・)

 

 ……………。


「っておい!!」

 ついて行けるか!俺は翼なんて生えて無いぞ!


「どうしたの?」

 俺を取り囲んでいた人達が各々飛び立って行くそんな中、翼を広げて飛び立とうとしていた翡翠は俺の大声を聞いて不思議そうな顔を向けてやって来た。

 いや、そんな不思議そうな顔しなくても。


「いや、俺飛べないんだけど」 


「そうなの?」

 いや、驚くなよ。


「……確かに言われて見れば翼が無いね?」

 なぜ疑問形?


「そんな訳で俺はどうすれば……?」

 そう聞いた俺に彼女は―――


「ん、じゃあ私が連れて行くね」


「え?―――っ」

 俺を抱きかかえて――――俗に言うお姫様抱っこをして、飛び立った。


「は!?っちょ!ちょっ!おまっ!?」

 言葉にならない俺。


 飛んでるよ!?こう、ふわってしてる。

 神様の時とは違って揺れるぞ。

 怖い。

 しかしそれ以上に―――何これ?


「……ん?……ああ、空をこうやって飛ぶのは初めて?」

 そうやって能天気に聞いてくる彼女。


「え!?いやまあ確かにこうやって(・・・・・)飛んだのは初めてだよ」

 何て格好で運ぶんだよ!


「そう。じゃあ初体験だね、おめでとう」

 こいつ、嫌味が通じないんですけど。


「いやいやいやいや」


「?」

 なに首傾げてんの?いや、可愛いけども。


「取り敢えずさあ」


「うん」


「この状態何とかならない?」

 正直に言って恐怖とかそんなのより先に恥ずかしさの方が凄いくる。


「?何が?」

 心底分かって無いなこいつ。

 天然なのか?まあ、家の天然には勝てないだろうが。


「いや、このおひ…抱えられ方の事なんだけど」

 改めてお姫様抱っこと言うのがめちゃくちゃ恥ずかしいから言い方を変えてしまった。

 何この羞恥プレイ。


「何か変?……あっ、あなたも男の子だもんね。女の私に抱きかかえられるのは恥ずかしい…とか?」

 そう言って悪戯っぽく微笑む翡翠。

 俺はその笑顔に見惚れてしまう。


 って、微妙に期待していた答えとは違ったが、あながちそれも間違っていないのが何か妙に腹立たしいな。


「……もしかして怒っちゃった?気を悪くしたなら謝るよ。…ごめんね?」

 俺のちょっとした表情の変化を感じたのか、そうやって謝って来る翡翠。

 整ったその端正な顔を申し訳なさそうにして謝る翡翠にまたもや見惚れてしまう。


 そしてなぜか物凄い罪悪感が……。

 わざとやっている様には見えないし、やっぱりこいつは天然だろう。

 家とはベクトルがまた違う新しいタイプだ。

 まったく…もうちょっと自分の魅力を自覚してほしい。


「いっいや、別に気を悪くはしていないから気にしないで良いよ。…この格好は恥ずかしいけどな」

 そう言って少し慌ててフォローしつつ苦笑いをする俺。


 もう諦めたわ。こんな表情されてまで無理して言う事では無い。

 …そう思う事にした。


「それなら良いけど」

 そう言って安堵の表情をする翡翠。


「でも、やっぱり恥ずかしいんだ?」


「それはまあ」

 当たり前だろう。

 やるなら普通逆だろう。


 いや、やらないだろうけど。


「でも、もうちょっとだから我慢してね?」

 こんな可愛い子にそんな風に言われたらもう我慢するしかないだろ。

 でもこの状態は色々とやばい。

 会話する時に視線を向けると着崩した着物から胸の谷間がちらちら見えて目に毒だし、飛んでいても分かるくらいに漂う女の子特有の良い匂い。

 正直めちゃくちゃ辛いぞ。色々と。

 しかもそれに気づいていないであろう彼女。

 

 この天然め。


 そうやって心の中で毒づくのは許して欲しいものだ。

 

 が、伝わる筈が無い。

 

 こうして俺は周りの景色とかよりも、この状態と天然が巻き起こす天然な誘惑に、老人の家に着くまでモンモンとし続けていたのだった。










新キャラ登場。

さあ、この子はヒロインなのか!?はたまたセリーヌさんルートなのか!


セ「ちょっと!それはどう云う意味よ!?」

お楽しみに~。


セ「ちょっ!?待ちなさいよ!!待ちなさ――――」




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