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魔術師
「アズってほかの魔術師と会ったことある?」
ふと思ったので聞いてみた。
壁に片足で立っていたアズが、ゆっくりと床に降りる。
「ないな」
「あるわけがなかろう」
アズが腕を組んで、僕を見ている。
「会ってみたいなって思ったこともない?」
アズがさっきより早く即答する。
「ない。できるなら見たくもないな」
「魔術師同士で盛り上がるかもよ」
僕の言葉にアズが息をつく。
「ふ」
「ヤマダは」
「……人殺しの狂人に、同じ人間であるという理由だけで会ってみたいというのか?」
「伝記には」
本棚から一冊の本を手に取る。
「一晩で国を焼き、その息で人を腐らせるとある」
本を閉じて、僕を見た。
「われができると思うか?」
本が浮いて、つい、と本棚へ戻っていった。
「戯れで人間を食べるとも書いてあるが」
僕が用意した、夕飯の鍋の蓋を開ける。
「む」
頷いて、蓋を閉じた。
「……そんな者と食卓を囲めるとは思えぬしな」




