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嘘②
「むぅ」
「ぬ?」
「んむぅ……」
テーブルに置いた本の同じページを、かれこれ20分は眺めている。
「アズ、なんの本を読んでるの」
テーブルの上の本から顔を上げたアズは、少し不機嫌な表情をしている。
「……ヤマダ」
珍しく、僕を手招きする。
「10個あるらしい。が、9個しか見つけられん」
「われの見立てではこの本は嘘をついておる。いや、その場合は著者か」
子供向け英雄譚のおまけページ。左右に馬に乗った甲冑の騎士の絵が並んでいる。
まちがいさがしだ。
「どれを見つけたか教えてくれる?」
「……兜の飾り、馬のたてがみ……」
アズが指をさしていく。
確かに9個は見つけているようだ。
「あ」思わず声を上げた。
「……見つけたのか」椅子ごと空中に浮いているアズが不満そうに言う。
「僕が言っていいの?」
「……やむを得ん。ヤマダはわれの使い魔だろう。つまりヤマダが正しければ、それはわれの勝利も同じことではないか」
「われは9個みつけたのだしな」
「はいはい。残りひとつはね……」
絵の外側を指さす。
「枠の太さが違う」
アズは腕を組んで本を睨みつけた。
「……われはもう、まちがいさがしに勝負は挑まん」
夕飯の支度を終えて、アズを見る。
「むぅ」と呟いている。
また、違うページで止まっていた。




