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掃除
「ねぇアズ、僕はこうやって掃除してるけど、あんまり汚れてないよね、この家」
ふと思ったことを聞いてみる。
アズは水を丸く浮かせて、そこから僕を見ていた。ぐにゃぐにゃの顔。
「われは掃除をしているからな」
「伝説の魔女は、“綺麗好き”なのだ」
アズが雑巾で床を拭いているところなんて、見たことがない。
「掃除?嘘でしょ?僕しかしてないよ」
アズは「ふむ」と鼻を鳴らして、指をつつい、と動かした。
僕の手から雑巾が離れて、飛ぶような速さで床や壁、本棚まで拭きあげていく。
「……ずっるい」
アズは反対の手で、僕を指さした。
「にんげん」
そして自分を指さす。
「まじゅつし」
「……ふ」
空中の水の玉が、浮いたグラスに注がれていく。
なみなみと水が注がれたグラスが、ふよふよと僕の前にくる。
「ごくろう、ヤマダ」




