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宝剣の塚守  作者: ディーディー
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03 お祭り騒ぎ

次の日の朝になると、食事をとった宿泊客はそれぞれ旅路につき、イースとジルはそれぞれ担当の仕事をこなす日常に戻った。


塚と廟とうまい飯くらいしかないところなので、連泊する客は少ないのだ。


珍しい連泊客のヴィンスさんは、宝剣の謎を解くと言って一人で外出してしまったが、イースは「まあ、世話焼き小人がついているから大丈夫だろう」と言っていたので、好きにさせておくことにした。


小人のメアリはヴィンスのことを「お嬢様」と呼んでいたけど、あんな「お嬢様」もいるんだねぇ。





そして、森の中の一軒宿オールドホーントは、それから3日もたたずに、喧騒の渦に巻き込まれることになった。


宿泊客から話を聞いた噂好きの連中が、腕試しとばかりに伝説の宝剣に殺到してきたのだ。


宿はもちろん満員だし、周りにテントを張りだす者が続出したため、イースが仕切り役に回った。


「ほら、ここからここまで印があるだろう?、あんたはこっち、あんたはそっちな。他の奴は印つけるまで待ってろよ~。水場は少し森に入ったところに泉があるから汚さないように使ってくれ。ゴミはこっち、排せつはこっちで頼む。ちゃんとマナーを守れないやつはこれで叩きのめすからな。それから、宝剣を試すのは一人1回、俺が廟にいる時のみな。ダメならあきらめて帰れよ。」


巨漢が斧を振り回すようにすると、皆、おとなしく言うことを聞いたので助かった。


僕だけじゃ混乱のるつぼになっていただろう。


夜は夜で、毎晩、焚火を囲んで酒を酌み交わすお祭り騒ぎだ。聞くところによると、宝剣の噂が広まり、温泉街リリアスでも宿は満杯、街道沿いも人が行き交い、特需になっているらしい。


ああ、こんなことなら何か土産物をたくさん用意しておけばよかったな。


こちらはこちらでキャパシティをはるかに超えているので、僕とイースだけでは手がまわらず、お客様のはずのヴィンスさんまでが宿の切り盛りを手伝ってくれている。





「ヴィンスさん、すみません。」


「なに、もとはと言えば私の責任でもあるからな。メアリもこういうことが大好きだからいろいろ任せていいぞ」


そういって、ヴィンスさんは、部屋の掃除やベッドメイキングを担当してくれている。


ドアの隙間からチラッと見かけたら、小人のメアリさんが普通の人サイズになってヴィンスさんと一緒に働いていたのでビックリしてしまった。


なるほど、大きくもなれるのか!便利である。






外では薪割りや食料調達を終えたイースが廟に行くと、腕試し志望者が行儀よく列を作る。


そこでイース立ち合いのもと、剣を抜こうと皆がんばるのだが、いまだに一人も成功していない。


ごまかして二度以上挑戦しようとする者は、イースがひと睨みして追い返していた。


こうして毎日のように入れ替わりたち替わり大勢の人が詰めかけると、そのうち目ざとい商人たちが街道沿いに屋台まで出すようになった。


その様子を見て、イースは懐かしそうに眼を細める。


今までにも何度か、こういう塚参りブームが起こり、その都度たくさんの人が廟に詰めかけたらしい。


イースの家は代々塚守と言っていたから、きっと何百年もこういうことが続いているんだろうな。


何百年も誰も抜くことができなかった剣は、今後もそのままなのだろうか?





ヴィンスさんは、焦りを見せるようになった。聞くところによると、お姉さんが結婚させられてしまうまでひと月を切ってしまったらしい。


それでも、彼女は希望を捨てていなかった。


最近はイースとよく話をしているし、リリアスに通って古老を訪ね、塚のことを聞いてまわっているとのことだった。


時間を共にしたせいか、僕はかなりヴィンスさんに肩入れしてしまっているような気がする。


僕に何かできればいいのだが。





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