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オオカミっ子!力狼丸くん  作者: ケンタシノリ


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第1部(7)力狼丸のイノシシ狩り

 力狼丸は、山兵衛といっしょに山奥を歩いています。山兵衛の左手には、狩猟に使うための火縄銃を持っています。

 「とうちゃ、獲物が見つからないね」

 「猟師にとっては、獲物を仕留めることで生活の糧にしているからなあ」

 山兵衛は、その日の食料を得るためにも、山奥にいる動物などを火縄銃で仕留める必要があります。しかし、自分が狙う獲物がいつも見つけることができるとは限りません。

 すると、力狼丸が自分の鼻でクンクンと地面のにおいをかいでいます。

 「力狼丸くん、もしかして獲物が近くにいるからにおいをかいでいるのかな」

 山兵衛は、力狼丸が地面をクンクンとかいでいる姿を見て、近くに獲物がいるかもしれないと期待している様子です。すると、力狼丸はにおいをかぐのをやめると、いきなり素早い駆け足で走り出しました。

 「とうちゃ、獲物が見つかったよ!」

 「おいおい、そんな速い駆け足でどこへ行くんだ!」

 力狼丸は、自分が狙う獲物が見つかったので、その場所へ向かって駆け足で走っています。しかし、力狼丸の駆け足は、大人が走る以上にかなり速いので、山兵衛はすぐに力狼丸を見失ってしまいました。

 「力狼丸くんは獲物を捕まえてくるのはいいけど、おれが立ち入らない危険なところまで行くからなあ…」

 山兵衛は、力狼丸が晩ご飯に必要な獲物を仕留めてくれるので、その点では大助かりしています。しかし、力狼丸の場合には、非常に危険なところまで行って獲物を捕まえるので、いつ命を落としてもおかしくありません。山兵衛はいつも力狼丸のことを心配しながらも、今日も無事に帰ってきてほしいと願っているのです。


 「クンクン、クンクン…。獲物はこっちのほうにいるぞ!」

 力狼丸は、地面を時折クンクンとかぎながら駆け足で獲物のいる場所へ向かって進んでいきます。力狼丸の入った場所は、傾斜のきつい山道が続く森の中です。そこは、太陽の光がほとんど入らない薄暗いところです。

 山道といっても、そこは人間があまり立ち入らないところです。よく見ると、地面には長細いひづめの跡が2つある特徴的な足跡がかなりあります。

 「イノシシがこの近くにいるぞ! ぼくがこの手で仕留めるぞ!」

 力狼丸は、足跡の特徴を見ただけでイノシシの足跡であることがすぐに分かりました。山兵衛からいろいろ教えてもらったおかげで、力狼丸は大部分の動物の足跡を見ただけで分かります。

 しかし、力狼丸の背後に突然野太い声が聞こえてきました。

 「ひひひひひっ! こんなに小さいチビがのこのこと入ってくるとは、おれたちのエサにぴったりだぜ!」

 力狼丸が後ろを振り向くと、そこにはどう猛なイノシシがいます。イノシシは、自分たちの縄張りにエサとなってくれるのが山道に入ってきたので好都合です。

 「ぼくはこんなに小さい子供だけど、イノシシには負けないぞ!」

 「フッ、大きな口が言えるのも今のうちだぜ。なぜなら、おれがおめえをエサとしておいしくいただくからな」

 力狼丸は、まだ3歳児の子供であるけど、目の前にいるイノシシには絶対に負けないと自信満々です。しかし、イノシシは力狼丸に大きな口が言えるのは今のうちだぞと挑発すると、すぐに力狼丸を倒すための戦闘態勢に入りました。

 「うりゃああっ!」

 「んぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐぐっ!」

 イノシシは、いきなり力狼丸に向かって突進してきました。これを見た力狼丸は、オオカミの両手で突進したイノシシの動きを食い止めています。

 「んぐぐっ、んぐぐぐぐぐっ! んぐぐぐぐぐっ!」

 「おめえはチビのくせに、どうしておれの突進を食い止めることができるんだ」

 「ぼくは、こんなにちっちゃい体であっても、イノシシみたいな強い動物であっても仕留めることができるぞ!」

 イノシシは、力狼丸が自分の突進を両手で食い止めていることに驚いています。普通だったら、大人の人間であってもイノシシに突き飛ばされて死んでしまうことも少なくありません。でも、力狼丸は強い動物であっても仕留めるほどの力を持っています。

 「なかなかやるな。しかし、おれは攻撃方法が突進だけと思っていたら大間違いだぞ」

 「うわっ、うわわっ!」

 イノシシは、鼻先をしゃくり上げるようにしながら、いきなり鋭い牙で力狼丸に襲いかかりました。力狼丸は、イノシシの鋭い牙による攻撃に対して、地面に倒れ込みながらも辛うじてかわすことができました。

 「えへへ、倒れ込んじゃって泥んこになっちゃった」

 力狼丸が倒れ込んだところは、地面が湿っているので、泥んこで自分の体が汚れてしまいました。でも、どんなに泥んこになっても、力狼丸はいつも通りの元気な笑顔をどう猛なイノシシの前で見せています。

 「ひひひひっ、おれの攻撃を間一髪かわすとはなかなかやるな。しかし、おれの攻撃を緩めることは決して無いぞ」

 「ぼくだって、イノシシを仕留めてとうちゃとかあちゃに見せてあげるんだよ!」

 「おれを仕留めるということか。だったら簡単なことさ。おめえはおれのエサとしておいしくいただくだけさ、ひひひひっ!」

 力狼丸は目の前のイノシシに向かって、自分がイノシシを仕留めたのを山兵衛とおさえに見せてあげたいと言いました。しかし、イノシシは鋭い牙をむき出しにして、力狼丸を自分のエサとしておいしくいただくだけと不気味な笑みを見せながら言いました。

 「うりゃああっ! これでも食らえ!」

 「こんなところでイノシシにやられてたまるか!」

 イノシシは、再び鋭い牙をむき出しにしながら、その牙で力狼丸を一突きにして素早い攻撃を仕掛けました。これを見た力狼丸は、イノシシの牙を両手で強くつかみました。

 「ぐぐぐぐぐっ、ぐぐぐぐぐっ」

 「え~い! んぐぐぐぐっ、んぐぐぐぐっ!」

 イノシシは、力狼丸に自慢の牙を強く握られてこれ以上進めないので、かなり興奮しています。力狼丸は、両手がオオカミの手であるので、イノシシの鋭い牙であっても平気で持つことができます。

 そして、力狼丸はそのイノシシを鋭い牙を持ったままで持ち上げることができました。イノシシの体重は推定で約30貫(約112.5kg)もあり、大人の人間であってもなかなか持ち上げることができない重さです。しかし、力狼丸は体全体に力を入れることができれば、こんなに重量があるイノシシであっても持ち上げることができます。

 「どりゃあ~っ!」

 「ドシィ~ン! グエエッ、グエエエッ!」

 力狼丸は、自ら持ち上げたイノシシを放り込むように勢いよく投げつけました。イノシシは、近くにあった大木にドシンと自分の頭を強打すると、そのままぐったりと倒れ込みました。

 「お、おれはおめえみたいなチビをあなどっていたが…、ま、まさかおめえに倒されるとは…」

 イノシシは、意識がもうろうとしながら、自分が力狼丸に力ずくで仕留められたことに対して声を震わせながら言いました。そして、どう猛なイノシシはその言葉を言うのと同時に、そのまま永遠の眠りにつきました。

 「やったぞ! どう猛なイノシシをこの手で仕留めたぞ! これをとうちゃに見せてあげるぞ!」

 力狼丸は、目の前にいたイノシシを自分の力で仕留めることに成功しました。そして、力狼丸は早く山兵衛に見せたいので、仕留めたイノシシを両腕に力を入れながら持ち上げました。

 「んぐぐぐぐっ! これをとうちゃのいることろへ持って行くぞ!」

 力狼丸は、イノシシを真上に持ちながら駆け足で山兵衛のいるところへ戻ることにしました。どんなに重いものを持っても、力狼丸は素早い駆け足で走り続けていきます。


 「あ~あ、今日は獲物が1つも見つからなかったなあ」

 山兵衛は、もうすぐすると太陽が西に傾くので、山奥での狩猟を終えるところです。しかし、今日の狩猟は獲物が1つも見つからなかったので意気消沈しています。そして、山兵衛が気になるのは力狼丸のことです。

 「それにしても、力狼丸くんは遠くのほうまで獲物を探しに行ったみたいだけど、いったいどこまで行ったんだ」

 山兵衛は、力狼丸が素早い駆け足で獲物を探しに行ったのは事実ですが、どこまで行ったのかは分からないので少し心配しています。すると、奥のほうから何かを持ち上げて駆け足で走ってくる小さい子供の姿が少しずつ見えてきました。そして、聞き覚えのある元気な声も次第に大きく聞こえるようになりました。

 「とうちゃ! とうちゃ!」

 「おおっ、力狼丸くんか! 無事に戻ってきて本当によかった!」

 力狼丸は、山兵衛の顔を見て明るくて元気な表情を見せています。山兵衛も、力狼丸が今日も無事に戻ってきたことが何よりもうれしそうです。

 「とうちゃ! とうちゃ! 見て見て!」

 「力狼丸くん、これはもしかして…」

 「ぼくは、この手で大きなイノシシを仕留めることができたよ!」

 力狼丸は、真上に持ち上げているどう猛なイノシシを山兵衛に見せながら、自分の手でイノシシを仕留めたことを笑顔で言いました。

 「力狼丸くんのおかげで、今日はおいしい晩ご飯がいっぱい食べることができるな。これだけ大きなイノシシだったら明日の分まであるぞ!」

 「とうちゃ、イノシシ食べるのだいちゅき(大好き)だよ」

 「ははは、ちゃんと力狼丸くんの分もあるぞ。それに、力狼丸くんが大好きな大きなイモも食べさせてあげるからな」

 山兵衛は、力狼丸のおかげでおいしい晩ご飯を食べることができるので、力狼丸に感謝の気持ちを込めてイノシシ肉と大きなイモを食べさせてあげると言いました。これを聞いた力狼丸も、自分が大好きなイモも食べることができるので大喜びしています。

 こうして2人は、今日の晩ご飯を楽しみにしながら家のほうへ帰っていきました。

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