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オオカミっ子!力狼丸くん  作者: ケンタシノリ


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第2部(1)力狼丸の日常と不気味な怪しい影

 力狼丸は、人間である山兵衛とおさえの2人といっしょに暮らしていますが、元々はオオカミであるミキエのお腹から生まれた子供です。そのため、力狼丸は生みの親であるオオカミのハヤゾウとミキエによく会いに行きます。

 今日も、力狼丸は山兵衛たちの家から素早い駆け足で森の奥までやってきました。そこにある丘には、ハヤゾウやミキエが住んでいる巣穴があります。すると、ハヤゾウとミキエは力狼丸がきたことに気づいたので、巣穴からすぐに地面まで下りてきました。

 「とうちゃ、かあちゃ、おはよう!」

 「力狼丸くんは、いつも明るくて元気いっぱいだなあ。小さい体でも、どう猛なイノシシを見事に仕留めることができるし、おれから見ても頼もしい男の子に育ったなあ」

 力狼丸は、ハヤゾウとミキエに朝のあいさつを元気な声で言いました。ハヤゾウは、力狼丸が相変わらず明るくて元気いっぱいであることに目を細めています。

 そして、ハヤゾウはどう猛なイノシシを自分の力だけで仕留めることで頼もしい男の子に成長した力狼丸を大絶賛しました。

 でも、力狼丸はまだ4歳児の男の子なので、ミキエのそばへ行くとあの言葉を必ず言うのが定番となっています。

 「かあちゃ! おっぱい、おっぱい!」

 「ふふふ、力狼丸くんは力持ちで頼もしくなっても、おっぱいは欠かさず飲むんだね」

 力狼丸は、4歳児になった今でも、人間であるおさえとオオカミであるミキエのおっぱいを欠かさず飲んでいます。おっぱいをいっぱい飲むことで、力狼丸は力強くて元気な男の子に育っているので、おさえもミキエも力狼丸がおっぱいを飲みたいと言ったときには必ず飲ませています。

 力狼丸は、すぐにミキエがいる手前でお尻を地面にペタリと座ると、両足を地面につけてからゆっくりとミキエのお腹の下へ潜り込むように入りました。力狼丸は、体が大きくなっているので、ミキエのおっぱいがあるお腹の下へ入るには潜り込むように入らないと体勢が保てなくなるからです。

 そして、力狼丸は、ミキエのお腹にあるおっぱいを飲み始めました。

 「チュパチュパチュパ! チュパチュパチュパ!」

 「力狼丸くんは、おっぱいのお乳をおいしそうに飲んでいるね。おっぱいをいっぱい飲んでいるから、力狼丸くんは丈夫で健康な子供に育っているんだね」

 力狼丸がおいしそうにおっぱいを飲んでいるので、ミキエは丈夫で健康な子供に育っている力狼丸のことが大好きです。

 「とうちゃ、かあちゃ、これから大きな滝へ行って遊んでくるよ!」

 「力狼丸くんは、相変わらずあの大きな滝の真上から滝つぼへ飛び込むのが大好きなんだなあ。でも、あそこはどう猛な動物もいるそうだから気をつけないといけないぞ」

 「どう猛なのが目の前にいたって、ぼくがこの手で仕留めるからね!」

 力狼丸は、ミキエのおっぱいを飲み終えると、すぐに自分の遊び場である大きな滝へ遊びに行くことをハヤゾウとミキエに言いました。力狼丸は、いつも険しい絶壁を真上まで登ってから、滝つぼに向かって飛び込みのが大好きです。

 ハヤゾウは、力狼丸がいつも厳しい大自然の中であっても元気いっぱい遊んだりする姿に目を細めています。

 しかし、大自然では人間やオオカミを襲うどう猛な動物が潜んでいます。ハヤゾウは、力狼丸にどう猛な動物に気をつけるように言いました。

 そんなハヤゾウの心配をよそに、力狼丸は自分でどう猛な動物を仕留めると元気な声で言うと、そのまま素早い駆け足で大きな滝のほうへ走り出しました。

 「力狼丸くんは、おれたちも手がつけられないほどの元気さがあるけど、時折おれたちですら入らないところに入るんだよなあ」

 「どう猛な動物に出会って、いつ命を落とすか分からないわ。今までは仕留めた獲物を持って無事に帰ってきたけど」

 ハヤゾウもミキエも、本来なら力狼丸がいつも元気に動き回るのを見守りたいところです。でも、力狼丸はしばしば人間やオオカミが絶対に立ち入らないところへ入っては、イノシシなどのどう猛かつ凶暴な動物に出くわすことが少なくありません。

 「おれたちも、力狼丸くんの後をついて行くぞ」

 「でも、力狼丸くんに気づかれるのでは?」

 「大丈夫、大丈夫! 力狼丸くんに気づかれないようにするから」

 ハヤゾウは、力狼丸が心配になってきたので、その後をついて行くことにしました。ミキエは、力狼丸にすぐ気づかれるので、いっしょについて行くことをためらっています。その様子を見たハヤゾウは、ミキエに対して、力狼丸に気づかれないようにするからと説得しました。

 こうして、ハヤゾウとミキエは力狼丸の様子を見ようと、力狼丸が遊んでいる大きな滝へ向かって行きました。


 「うわ~い! うわ~い! 大きな滝が見えてきたぞ!」

 力狼丸は、開けた場所にある大きな滝が見えるところまでやってきました。滝となって勢いよく流れ落ちる音を聞きながら、力狼丸はすぐに滝つぼの中へ飛び込みました。

 「ぼくは、この滝つぼと大きな滝で遊ぶことがとても楽しいよ!」

 力狼丸にとって、この大きな滝で遊ぶのがいつも楽しみです。普通の人間だったら及び腰になりそうな絶壁を垂直に登ることも、力狼丸だったら全く苦にすることなく楽々と登ることができます。これも、力狼丸が外見はほとんど人間でありながら、オオカミの血を引く男の子であり、なおかつ両手と両足はオオカミそのものだからこそなせる業です。

 「よ~し、今日も真上から滝つぼへ元気よく飛び込むぞ!」

 力狼丸は、今日も絶壁をオオカミの手足を使ってよじ登ると、すぐに真上の断崖に立ちました。そして、一旦後ろに下がると、勢いをつけて断崖からジャンプしました。

 「行くぞ! え~い!」

 断崖からジャンプした力狼丸は、空中で3回転しながら、見事に滝つぼの中へドボンと飛び込みました。力狼丸が飛び込んだときの水しぶきは、滝つぼから大きく飛び散るほどのすごいものです。

 「やったぞ! 今日も大きな滝から飛び込むことができたぞ!」

 力狼丸は、かなり高いところの断崖から滝つぼへ飛び込むことができたことを元気な声で喜びました。そして、力狼丸は大きな滝の真下へ行っては滝の水をゴクゴクと飲んだり、滝つぼの中で泳いだり遊んだりしています。

 力狼丸は、誰も立ち入らないであろう大自然の中にあって、開けた場所にある大きな滝で思いっきり遊ぶのが大好きです。

 しかし、滝つぼの周りの森の中に、何やら不気味さを漂わせる謎の人影が複数現れました。その人影は、滝つぼで遊んでいる力狼丸の様子を事細かに見ています。

 「噂に聞いたことがあるが、まさか本当にオオカミから生まれた人間の男の子が実在するとはなあ」

 「しかも、外見は人間そっくりだが、手足だけはオオカミそっくりだな」

 力狼丸の様子を見ながら話しているのは、どうやら本物の人間のようです。しかし、滝つぼの周りの森の中は、人間が誰も立ち入らない場所であるはずです。そんな場所に立ち入っている人間は、ある目的があってここへやってきたのです。

 「ふはははは! 人間でありながらオオカミであり、オオカミでありながら人間ということか。これはおもしろいなあ!」

 「いろんな場所でオオカミ狩りをしているおれたちにとって、オオカミの頭骨は魔除けの祈祷を行う人たちに高く売ることができるからのう、ふはははは!」

 人間たちの目的は、オオカミ狩りをするとともに、そのオオカミの頭骨を狼信仰をしている人たちに高く売ることを目的としています。そして、彼らの次のターゲットとして狙っているのが、オオカミから生まれた人間の男の子である力狼丸です。

 「よ~し、決めたぞ。あのチビをおれたちの手で始末して、その頭骨を狼信仰を行うところへ売りつけるとするかな」

 「オオカミから生まれた人間と言う触れ込みだったら、今よりも何十倍以上の値で売れるのは確かだろうしな。ふはははは、ふははははは!」

 人間たちは、力狼丸を自分たちで始末すれば、力狼丸の頭骨を狼信仰を行う場所へ何十倍もの値段で売れるのは確実だと考えています。そして、人間たちは腰の帯に差している刀に手を掛けると、できるだけ早いうちに力狼丸に襲い掛かろうと不気味な笑いを浮かべています。

 狼狩りを行う人間たちによる脅威が力狼丸の目の前に近づいていますが、力狼丸はまだその存在が迫ってくることをまだ知りません。そんな中にあっても、力狼丸は森の中にある大自然にある大きな滝で遊んだり、滝つぼで泳いだりするのが大好きです。

 「うわ~い! イワナを自分の手で取ることができたぞ! 家へ帰ったら、とうちゃとかあちゃに見せるぞ!」

 力狼丸は、滝つぼの中にいたイワナを両手で1匹ずつ取ることができました。イワナを取ったときの力狼丸は、いつものように無邪気な笑顔を見せています。

 しかし、力狼丸が遊んでいる滝つぼの周りで聞こえるのは、大きな滝から流れ落ちる大量の水が流れ落ちる音以外は、鳥の声も動物の声も全く聞こえません。それは、怪しい影が力狼丸に迫ってくる前触れであるとともに、嵐の前の静けさのような雰囲気を漂わせています。

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