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生きる意味  作者: カセージン
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55/61

創?の?力

激しい雨が上がり、異様な熱気だけが立ち込める廃ビルの一角。



かつて地下隠れ家(アジト)と呼ばれたその場所は、見る影もなく焼き尽くされ、黒焦げたコンクリートの塊と化していた。



その中心で、健人は銃口を真っ直ぐに前方へと向けていた。



視線の先にいるのは、黒いレインコートを纏った女――多島絵里。



彼女は市川の命を奪ったその場所で、退屈そうに自分の爪を眺めていた。



「あはは! やっと来た、健人君。遅いよ、待ちくたびれちゃった」



絵里は健人の姿を見るなり、身体を震わせて不気味に笑い始めた。



その瞳には、人間らしい感情が一切存在しない。ただ純粋な悪意と楽しさだけが濁った膜のように張り付いている。



「多島絵里……!!」



健人の咆哮とともに、戦闘の火蓋が切って落とされた。



健人が引き金を絞ると同時に、物陰から大村志人が飛び出す。



志人は激しい襲撃を生き延び、傷だらけの身体でありながらも、冷徹な目で絵里の隙を狙っていた。



健人は自身の能力を全開にし、絵里の周囲の空間そのものを「無効化」しようと意識を集中させる。



今までどんな強力な能力者も、健人のこの力の前には無力化されてきた。



しかし。



「『拒絶の盾』」



絵里が低く、歌うようにそう唱えた瞬間。



何もない空間から、突如として真っ黒な巨大な盾が出現し、健人の放った弾丸を完全に弾き返した。



「なっ……!?」



健人の目が見開かれる。無効化が発動しない。いや、発動するよりも早く、「新しい物質」が空間に誕生しているのだ。



多島絵里の持つ真の能力。それは炎の操作などではなかった。



『創造の力』――彼女が口にした言葉、唱えた概念を、何もない空間から文字通り「何でも」創り出してしまうという、神の領域に近い絶対的な能力だった。


あの実家を焼き尽くした炎も、彼女がただ「炎」と唱えて創り出した副産物に過ぎなかったのだ。



「無駄だよ、健人君。君の力は『あるものを消す』だけでしょ? 私は『ないものを創る』の。どっちが強いか、バカでもわかるよねぇ?」

絵里はケラケラと不気味な声を上げて嗤った。

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