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生きる意味  作者: カセージン
第四章
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再会

「え……?」



美有の足が、ピタリと止まった。



彼女の大きな瞳が、驚きと困惑でみるみるうちに開かれていく。



美有の目に映る健人の姿は、彼女の記憶にある「中山健人」とは、あまりにもかけ離れていた。



かつて野球に打ち込み、いつも明るい笑顔を見せていたあの少年は、そこにはいなかった。



今、目の前に立っている健んは、どこか暗い雰囲気を全身から漂わせている。



着ている服はどこかつ汚れ、激しい戦いでついた擦り傷や服の焦げ跡が、普通ではない暮らしを物語っていた。



何よりも、その瞳だ。



かつての輝きは消え、まるで冷たい氷のような、深い闇のような目をしている。



あまりの変わりように、美有は完全に言葉を失っていた。



目の前にいるのが本当に自分の知っている健人なのか、それともよく似た別人なのか、頭の理解が追いつかないようだった。



健人は、一瞬だけ、本当に一瞬だけ立ち止まった。



その無表情な顔の裏で、激しい思いが渦巻く。



(美有……)



健人はすぐに視線を前へと戻した。



まるで美有のことなど最初から見えていないかのように、完全に他人のフリをして、そのまま彼女の横を素通りしようと足を動かす。



缶コーヒーの入った袋が、カサリと小さく音を立てる。



美有のすぐ横を、健人が通り過ぎていく。



すれ違う瞬間、美有の髪から、昔と変わらないほのかなシャンプーの香りが漂ってきた。



けれど、健人は振り返ることもせず、ただ冷たく前を見つめたまま歩いていく。



あと数歩、このまま歩き続ければ、関わらずに済む。

美有を危険な世界から遠ざけられる。



だが――。



「――健人、なの……?」



背後から、震える、けれどはっきりとした美有の声が路地に響いた。



健人の足が、まるで地面に貼り付いたかのように、完全に止まった。



呼び止められてしまった。



無視してそのまま走り去ることもできたはずだ。



今の自分の足なら、彼女を置いて逃げることなんて簡単にできた。



けれど、その震える声の中に込められた温かさを感じた瞬間、健人の体は動かなくなってしまった。



夕暮れの街の影が、二人の間に長く伸びている。



健人は手にしたコーヒーの袋をぎゅっと握りしめながら、ゆっくりと美有の方へと振り返った。



美有は、今にも泣き出しそうな顔で、まっすぐに健人を見つめていた。



「やっぱり……健人、なんだよね? なんで……なんでそんな怪我をしてるの? ずっと、どこに行ってたの……?」



明るい世界にいる少女の問いかけが、闇の中で生きる少年の胸に、静かに突き刺さる。



夕焼けの赤が、二人の再会を静かに照らし出していた。

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