↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生きる意味  作者: カセージン
第一章
PR
4/61

あたたかい手

あの日、お父さんとお母さんが残してくれた、あの桜のブローチだった。



美有はいつも、このブローチを特別なお守りとして、服のポケットに大切に入れていたのだ。



「あ……」



健人は足を止め、砂の上に落ちたブローチをそっと拾い上げた。



手のひらの上で、ピンク色のガラスが太陽の光を浴びて、キラキラと優しく輝いている。



健人はそれをじっと見つめたあと、しゃがみ込んで美有の前に差し出した。



「これ、美有ちゃんのブローチでしょ? パパとママにもらった大切なものだから、大事に持っておかないとダメだよ?」



健人の声は、さっきよりもずっと柔らかくなっていた。



幼いながらも、美有が抱えている深い悲しみを、そのブローチを通して察したのかもしれない。



美有は涙をこすりながら、健人の手のひらからブローチを受け取った。



お父さんとお母さんの温もりが、まだそこに残っている気がした。



「うん、ありがと」



美有は小さくうなずき、胸の前でブローチをぎゅっと握りしめた。



まだ涙は止まらなかったけれど、不思議と、胸の奥がじんわりと温かくなっていくのを感じていた。



「これは、パパとママの形見だから……私が大切に持っておかないと」



泣いてばかりじゃダメだ。



お父さんとお母さんが命がけで守ってくれたこのお土産を、私がずっと守っていくんだ。



4歳の美有の心の中に、小さな、けれど確かな強さが芽生え始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。