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生きる意味  作者: カセージン
第三章
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覚醒

だが、健人の胸の奥で、どす黒く渦巻く「執念」がそれを許さなかった。



(違う。俺はまだ、何も成し遂げていない。あの家を、俺のすべてを奪った、あの茶髪の放火魔の女を殺すまで……ここで、こんな名もなき悪党の能力に潰されてたまるか……!)



心臓が、ドクンと大きく波打った。



体内の奥深く、5年間眠り続けていた「何か」の扉が、内側から凄まじい勢いで食い破られる。



脳の感覚が急速に研ぎ澄まされていく。



世界の景色が驚くほどはっきりと見え、迫り来る雫の「液体」の動きが、手に取るように分かった。



「これで終わりです。溶けなさい」



雫が冷酷に腕を振り下ろし、健人の頭上から、触れたもの全てを溶かす強酸の濁流が降り注ぐ。



けれど、健人は逃げなかった。



ただ、静かに右手を前へと突き出す。



「――消えろ」



パキィン、と世界がひび割れるような硬い音が響いた。



次の瞬間、健人の手を中心に、目に見えない無色の波動が全方位へと広がっていく。



ドササササッ―――!



健人の身体を溶かすはずだった強酸の濁流が、彼の数センチ手前で突如として『ただの水』へと姿を変え、無害な水しぶきとなって地面にこぼれ落ちた。



「な……っ!? 私の酸が……消えた!?」



雫は初めて眼鏡の奥の瞳を驚きに見開いた。

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