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生きる意味  作者: カセージン
第三章
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大村 心人

新幹線が終着駅に止まり、三人の殺し屋が関西の地に降り立ったとき、すでに周囲の空気は異様な熱を帯びていた。



大村志人がもたらした情報の通り、そこはもはや「揉め事」という生易しい言葉で片付けられる状態ではなかった。



目的地である組織の拠点の周辺は、文字通りの地獄絵図と化していた。



立ち並ぶビルは激しく打ち砕かれたようにへし折れ、アスファルトの道路は巨大な怪物の爪で引き裂かれたようにめくれ上がっている。



電柱は倒れ、火災の煙が視界を遮るほどに立ち込めていた。



一般市民はとうに避難しているのか、辺りには不気味な静寂と、ただ事ではない破壊の跡だけが広がっている。



「……これは、ひどいな」



市川太郎がナイフの柄に手をかけながら、いつになく真剣な表情で呟いた。



新幹線の中であれほどイチゴオレやポテトを巡ってじゃれ合っていた空気は、完全に消え失せている。



健人もまた、無表情のまま周囲を鋭く警戒し、真っ黒な銃の安全装置を解除した。



「これほどの規模の破壊、ただの人間業ではない。やはり『能力者』が絡んでいるな」



大村が冷徹に状況を分析したその瞬間、めくれ上がった道路の奥から、三人の影がゆっくりと姿を現した。



彼らこそが、関西の裏社会を恐怖で支配し、今回の惨劇を作り上げた「最強」と謳われる三人の殺し屋だった。



真ん中に立つのは、今回のターゲットであるボスの男。



驚くことに、その顔立ちは大村志人とそっくりだった。



「よおよお、東京からわざわざ可愛いお出迎えが来たと思ったら……志人じゃん! 元気してた?」



軽い調子で手を振るその男の名は、大村心人(おおむらしひと)。



志人の実の兄であり、この凄まじい惨劇を引き起こした張本人だ。



心人の持つ能力は、『局地的な災害を引き起こす能力』。



文字通り、小さな地震や強い突風を意図的に発生させ、周囲の建物を跡形もなく壊してしまう最悪の力だった。



性格は少しチャラチャラとしており、この惨状の中でも緊張感が見られない。



心人の右側に控えるのは、岡村雫(おかむらしずく)という名の女性。



彼女は冷たい眼鏡の奥から健人たちを値踏みするように見つめ、静かに髪をかき上げた。



「無計画な破壊は美しくありませんね、ボス。……彼らが東京の『殺し屋』ですか。あまり脅威には見えませんが」



雫の性格は極めて冷静で、頭が切れるタイプだ。



彼女の持つ能力は、『多様な液体を作り出して操る能力』。



ただの水や油だけでなく、触れたものを一瞬で溶かす強い酸や、爆発しやすい危険な液体を自在生み出すことができる。



そして心人の左側に立つ大男が、大滝魁(おおたきかい)。



「御託はいいんだよ、雫! どいつもこいつも、俺の力でまとめて潰しちまえば終わりだろ!」



魁は太い腕を震わせ、凶暴な笑みを浮かべた。



性格は考えるよりも先に拳が出るタイプ。



だが、彼の持つ『重力を操る能力』は、その単純な性格とは裏腹に圧倒的な脅威だった。



周囲の重力を部分的に重くして、敵の動きを完全に封じる力を持っている。



「まさか、兄さんがここのボスだったとはね」



志人が初めて、その冷徹な声に不快感をにじませた。



「チャラチャラした性格も、その頭の悪そうな破壊行為も相変わらずだ。ここで俺たちが片付ける」



「ハハッ、言うようになったねえ! じゃあ、始めようか!」



心人がパチンと指を鳴らした瞬間、激しい戦いの火蓋が切って落とされた。


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