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生きる意味  作者: カセージン
第二章
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殺しの道へ

大村の言葉は、10歳の少年に向けるにはあまりにも残酷だった。



けれど同時に、今の健人にとっては唯一の救いの一手でもあった。



「俺たちのところに来れば、人を殺す技術のすべてを教えてやる。法律が裁かないゴミ屑を処分しながら、お前が追う『あの女』の情報にアクセスする力も手に入る。……どうする?」



暗闇の中で静かに投げかけられた問いかけ。



健人の頭の中で、昼間の平和な光景が走馬灯のように駆け巡った。



グラウンドに響く金属バットの気持ちいい音。



夕暮れの公園の匂い。



そして、自分を真っ直ぐに見つめて褒めてくれた幼馴染の少女――花山美有の優しい笑顔。



(美有……)



一瞬だけ、その名前が胸の奥をかすめた。



だが次の瞬間、激しい炎の熱とともに、焼け焦げてしまった家族の姿が思い浮かぶ。



そして、あざ笑う茶髪の女の顔が、美有の笑顔を真っ黒に塗りつぶした。



もう戻れない。



今の自分は、もう野球少年の中山健人ではないのだ。

正義も、法律も、子どもらしい未来も、すべてあの炎の中に置いてきた。



美有のいる明るい世界には、もう自分は居ちゃいけない。



「……行く」



健人は振り絞るような声で答え、大村の服を力任せに掴み返した。



そして、血の混じった不気味な笑みを浮かべる。



「その技術ってやつを、俺に教えろ。あの女を、八つ裂きにできる力を……俺にくれ」



大村は満足そうに、微かに口元を緩めた。



そして、自分よりはるかに小さい健人の身体を、ガッチリと支えるようにして立ち上がらせた。



「後悔はないな? 今日からお前は、俺たちの世界の人間だ」



「ああ……後悔なんて、最初からないさ……」



市川もまた、静かにナイフを収め、健人の反対側の腕を肩に担いだ。



こうして、中山健人はわずか10歳にして、闇に生きる暗殺組織の門を叩くこととなった。



普通の世界を捨て、復讐のためだけに生きる悪魔として。



『殺し』道を、健人は一歩、踏み出したのだった。

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