死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
ドサリ、と鈍い音を立てて、健人は夜の地面へと叩きつけられた。
2階から飛び降りた衝撃で、足首に激痛が走る。
手のひらはアスファルトで擦れて、血がにじんでいた。
けれど、必死だった健人の体は、そんな痛みをまったく感じていなかった。
「あ、カハッ……ゲホッ、ゲホッ!」
黒い煙を吐き出し、激しく咳き込みながら健人は顔を上げた。
目の前では、つい数時間前まで家族と笑い合っていた我が家が、巨大な炎を上げて崩れ落ちていく。
「父さん……母さん……優月……!」
健人は足を引きずるようにして、燃え盛る家へと近づこうとした。
けれど、その時だった。
火の手が弱まりつつあった1階の隙間から、健人は『それ』を見てしまった。
激しい炎に炙られ、焼け焦げた柱の隙間に横たわるいくつかの影。
それは、優しかったお父さん、いつも美味しいご飯を作ってくれたお母さん、そしてまだ小さくて生意気だった妹の優月の姿だった。
いや、もう『姿』と呼べるものではなかった。
黒く、ただ黒く焼け焦げた、あまりにも残酷な遺体。
小学生の健人であっても、それが何を意味するかはすぐに分かってしまった。
呼吸をしていない。動かない。
もう二度と、自分の名前を呼んでくれることはない。
全員、死んでしまったのだ。
「……父さん、母さん……、優月」
健人の口から、乾いた声が漏れ出た。
涙すら出てこない。
あまりのショックに頭が真っ白になり、ただ呆然と立ちつくすことしかできなかった。
その時だった。
木が弾ける音と遠くのサイレンの音に混じって、場違いな音が響き渡った。
「――クスクス、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」
何かがおかしくてたまらないような、高い笑い声。
この地獄のような場所で、それは確かに響いていた。
健人の背筋に、ゾクッと冷たいものが走る。
思わず、健人は声のした方へと振り向いた。
揺らめく炎に照らされて、一人の人影がゆっくりと歩いてくる。
それは健人と同じか、少し年上に見えるくらいの、茶髪の少女だった。
彼女は目の前で人が死んでいるというのに、まるで遊園地で遊んでいるかのように満面の笑みを浮かべていた。
「……こんばんは健人君。私の殺戮ショーはいかがだったかな? いや……寝ていたから見てない……か」
少女は首をかしげ、自分のあごを指先でトントンと叩きながら、信じられない言葉を吐き出した。




